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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第8章 塔で神力の訓練をしよう
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8話 成長(物理)

 結局考助は、神力がそれぞれに何らかの効果を与えることに関しては、素直にアスラから聞いたまま話すことにした。

 隠す意味がない上に、いざ何かが起こった時に、慌てるのもばからしいと思ったのだ。

 神化の可能性に関して話したときは、一同はフーンとあっさりしていた。

 どういう事が起こるか分からない上に、そもそも何も起こらない可能性もあると言われれば、そんな感じしか受けなかったのかもしれない。

 ついでに言えば、ナナの変化を見ているために、自身でも起こり得るだろうと、それぞれがどこかで考えていたこともある。

 結局、神力による神化が、どの程度の変化を起こすのかが分からない以上、何かが起こった場合は、きちんと報告することになった。

 特に強制ではないのだが、いざというときは、シルヴィアか考助を通して神託(交神)を受けることが出来るのだから、ある意味当然である。

 むしろ頼む側になるだろうというのは、シュレインの弁だ。

 他の三人も、特に反論することもなく頷いていた。

 悟りを開いているということに関しては、シルヴィアは、むしろ当然と言った感じで聞いていた。

 神力を扱えると言われているのが、高僧や位の高い巫女だと言われているのだそうだ。

 それに加えて、神力は魂の力であるという話がある。

 そもそも魂に触れる(力含む)こと自体、悟りへの道と伝えられているので、神職にあるシルヴィアにとっては、当たり前のことなのだろう。

 他のメンバーも似たり寄ったりの反応だったので、むしろ一番驚いたのが考助だったということにある。

 まあ、その辺に関しては、考助の思考のベースが、あくまでも以前の世界(日本)が元になっているので、仕方ないのかもしれない。

 そんなわけで、とりあえず神力に関しての話は伝え終えたので、考助は次のフラグを回収するために、第四十八層へ向かうのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 第四十八層の神社を訪れた考助を、セシルとアリサの二人が出迎えた。

 当初二人には、第八層の百合之神社の管理をしてもらっていたのだが、折角なので第四十八層の神社も時折管理してもらうことになっていた。

 階層の移動は、一々徒歩で移動してもらうのも時間がかかるので、転移門を設置している。

 前もって行くという連絡をしていなかったのに、タイミングよく考助達を出迎えてくれた。

 あまりのタイミングの良さに、逆に考助達が驚いた。

 そのことを聞くと、なぜか二人は笑うだけで答えずに、すぐに別の部屋へと連れて行かれた。

 その疑問はすぐに氷解することになる。

 神社の中で一番大きい部屋に連れて行かれたのだが、そこには他の人物が三つ指をついて出迎えてくれた。

「ご無沙汰しておりました」

 その挨拶に、一瞬考助は、頭が真っ白になった。

 見覚えが無いわけではない。

 その金髪と赤目は、以前の物と全く変わっていなかった。

 だが、それ以外の姿(言葉遣いも)が、以前の物とは大きく変わっていたために、一瞬脳が理解するのを拒否してしまった。

 周りを見ると、他の者達も唖然とした表情になっている。

 考助達の目の前にいたのは、十五・六歳ほどに成長したワンリであった。

 慌ててステータスを確認したが、間違いなくワンリだった。

 

 固有名:ワンリ

 種族名:九尾狐(人型)

 固有スキル:狐火LV8 (噛みつきLV8) 回避LV8 察知LV9 (言語理解(眷属)LV9) 神力操作LV8 妖精言語 陽炎LV8 月光LV6 星闇LV6 体術LV5

 天恵スキル:変化LV8 念話LV7 妖精召喚LV5(全属性)

 称号:考助の眷属 太陽神の祝福 月神の祝福 精霊神の加護(星神の祝福と統合)

 

 何度見てもワンリで間違いがなかった。

「・・・・・・あ、あの?」

 あまりに長い間、黙ったままだったので、堪りかねたようにワンリが不思議そうに首を傾げていた。

「・・・わ・・・ワンリ?」

「はい・・・そうですが?」

「え!? ・・・やっぱり!?」

 ワンリ(幼女改め少女?)の答えに、まずはコレットが驚き、

「・・・・・・どういう事ですか~?」

 ピーチが目いっぱい目を見開き、

「・・・・・・流石ね」

 なんと、ミツキまでが、呆れたように驚いていた。

 現在のワンリは、以前の幼女と言った感じはなくなり、少女を飛び越えて大人の女性一歩か二歩手前と言った容姿になっている。

 セシルかアリサのどちらかが用意したのか、シルヴィアと同じような巫女服を着ていた。

「はあ~~~。・・・なんというか、驚いた。ほんとにワンリなんだな?」

「は、はいそうです。あ・・・あの、驚かせたくて今まで黙っていたんですが・・・駄目、でしたか?」

 なんとなく不安そうに自分を見つめてくるワンリに、考助は思わず以前と同じように頭にポンと手を乗せて、撫でてしまう。

「ああ、いや。驚いただけで、ダメってことは無いよ。・・・・・・あっと、頭撫でてごめん」

 さすがに今の容姿だと、子供を可愛がるように頭を撫でるのはダメだろうと思い、慌ててワンリの頭から手を離した。

「・・・・・・アッ・・・」

 手を離した瞬間、ワンリの口から残念そうな吐息が漏れたが、残念ながら考助の耳には届かない。

 何故かニヤニヤしながらこちらを見てくるその他三名に向かって、考助は首を傾げた。

「・・・ん? どうかした?」

「いやー。なんでもないよー?」

「流石ですよね~」

「まあ、考助様だしねぇ。・・・それより、ワンリ。ちょっと立ってもらっていい?」

 突然のミツキの要求に、座ったままだったワンリは、慌てて立ち上がった。

「・・・え!? は、はい?」

 その姿をひとしきり眺めたミツキは、

「・・・・・・フム。合格」

 と、考助にとっては、訳の分からないことを呟いた。

 ちなみに、この言葉の意味が分かっていないのは、考助だけである。

 言われたワンリは、安堵したように溜息を吐き、コレットとピーチはウンウンと頷いていた。

 流石にそれを見た考助が、疎外感を感じて疑問を口にした。

「・・・えーと、どういう事?」

「分からなければいいのよ。そのうち分かるから。別に急ぐことでもないし」

 ミツキのその言葉に、ワンリが何とも複雑な表情をしている。

「あー。やばいわ。すっごくかわいいー」

 ワンリのその顔を見たコレットが、我慢できないという感じでワンリに近づいて行き、頭を撫で始める。

「あー。ずるいです~。私もー」

 何故かそれにピーチも交ざってきた。

 更には、頭を撫でるだけでは飽き足らず、髪形を変えてみたり、ワンリを使って色々とやりだした。

「・・・・・・えーと・・・」

 どうにも置いて行かれた感じのする考助が、所在なさげにその光景を見つめている。

「あのね、考助様。このままだと収まりがつかないから、一度、管理層に連れて行った方がいいわよ? 他のメンバーもワンリに会いたいだろうし」

 その考助を見て、ミツキがアドバイス(?)を投げかけた。

 考助もワンリを管理層に連れていくのは、問題が無いのだが、どうこの状況を収めたらいいのか分からずに、立ち尽くすことしかできなかった。

 それを見たミツキが、ため息を一つ吐いた後、コレットとピーチの暴走を止めた。

「コレットもピーチもそれくらいにしておきなさい。ワンリには管理層に来てもらうから」

「ホント?」

「予定はないんですか~?」

「あ、はい。大丈夫です」

 コクリと頷くワンリに、じゃあ行きましょう、と言ってその手を引っ張り転移門へと引き連れていく二人であった。

 

 結局、ワンリを伴って管理層へと向かったのだが、二人の暴走は止まらなかった。

 と言うよりもむしろ悪化した。

 コレットとピーチに加えて、シルヴィアとシュレインも加わったためだ。

 最初は、ワンリの変化に驚いていた二人だったが、あっという間にコレットとピーチの輪に加わったのだ。

 ちなみに、コウヒはと言うと、最初は驚いたようにジッとワンリを見つめていたが、すぐに考助の傍へと寄ってきた。

 そのコウヒに向かってミツキが、コウヒへとからかうような視線を向けた。

「あら。我慢せずに、あそこに加わったら?」

「がが、我慢などしていません。・・・あなたはどうなんですか?」

「私は、後でたっぷりと可愛がるから今はいいわ」

「・・・・・・」

 しばらくの間、ワンリを見ていたコウヒだったが、四人に囲まれて戸惑っているのを見て、

「・・・・・・では、私も後ほどにします」

 と言っていた。


 思いもよらなかったその流れに、考助は見守ることしかできない。

 だがまあ、嫌われるよりいいか、と思い直して取りあえずは、好きにさせることにしたのであった。

管理層のマスコット誕生!(幼女じゃなきゃマスコットとして認めん、という意見は無視しますw)

妹キャラ登場に、みなさん浮かれているようです。

幼女バージョンの時には、こんなことにならなかったのに・・・。なぜなのかは謎です。

この後、散々皆(考助除く)に可愛がられます。


九尾狐バージョンのステータスは、次回公開します。


2014/5/20 名前のミス訂正

2014/6/21 誤字修正

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