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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第8章 塔で神力の訓練をしよう
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6話 蹂躙

「う・・・うう・・・。み、皆さん、ひどいです~」

 何やらピーチが、干からびたヒトデの様にソファーの上にうつ伏せになって萎びていた。

 シュレインやシルヴィア、コレットが、耐久テストと称して次々とピーチに攻撃を仕掛けていった結果だ。

 それを見た三人は、何となく気まずそうに顔を見合わせていた。

 最初は、まさしく実験と言う感じで軽く攻撃を当てていたのだが、全くびくともしないと分かると、調子に乗ってどんどん威力を上げていっていた。

 最後の方は、攻撃が全く通らないのを見て、威力の高い攻撃をどんどん繰り出していた。

 それでもその中心にいたピーチは、一つの怪我もなく立っていたのだが。

 とはいっても、あれだけの攻撃の中心に立っていた本人としては、気が気でなかっただろう。

 その結果が、現状のピーチと言うわけである。

「い、いえ。ごめんなさい。つい、調子に乗っちゃって・・・」

「うむ。正直すまんかった」

「ごめんなさいですわ」

 さすがにやりすぎたと思っているのだろう、三人がピーチに対して頭を下げていた。

「も、もういいです~」

 それを見たピーチが、慌てて手を振ったが、それでも三人の中には気まずさが残っている感じだった。

「そ、そうね・・・それじゃあ、こうしましょう」

 突然コレットが、シュレインとシルヴィアを引き寄せて、ひそひそと声を潜めて何やら相談し始めた。

 その相談が終わったころには、三人の顔がニッコリとほほ笑んでいた。

「ピーチ、今回の件のお詫びを用意したからそれを受け取って頂戴。それで、今回のことは無しにしましょう」

「いえ~。別にそこまでして貰わなくても・・・」

「そのお詫びが『コウスケ殿を一日自由にしていい権利』であってもかの?」

 ソファーに伏せていたピーチが、勢いよく上半身を起こした。

「喜んでもらいます~」

 シュレインの提案を聞いた瞬間、即行で受けとることを決めたピーチだった。

「え~? それって僕に何のメリットも・・・・・・」

「黙りなさい。そもそも、最初は普通の攻撃を当てていたのに、途中であおってきたのは誰?」

「何か、攻撃を当てられてる最中に、おお全く効いてないなぁ、とか聞こえてきました~」

「喜んで景品になります」

 これまた即行で頭を下げた考助であった。

「それに、こんな美人と一緒に過ごせるのに、何か文句でもあるの?」

 コレットのその言葉に、改めてピーチを見直す考助だった。

 改めて考えてみなくても、ピーチはメンバーの中でも、コウヒやミツキに次ぐ美貌の持ち主である。

 そもそも考助の感覚で言えば(ちなみにこの世界の価値観でも)、塔のメンバーは揃って美形だったりする。

 よくもまあ、ここまでタイプの違った美形が揃ったもんだと、改めて思い直した考助だった。

「いえ。とんでもありません。謹んでお受けいたします」

「やったあ~」

 現金なことに、先ほどまでの態度を一変させて、喜び勇んで飛び上がるピーチ。

 それを見た考助も、たまにはそういう日があってもいいか、と思うのであった。

 

 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

 

 デート、デート、一日デート~。

 とよくわからない歌で喜ぶピーチを、不思議そうな顔でミツキが見つめていた。

 今まで考助の傍にいたのは、コウヒだったので、ミツキは別の場所に行っていたのである。

「何かあったの?」

「・・・ああ、うん、まあ。色々と」

「ふーん・・・まあ、いいけど。ところで、第九十一層の神力回収値見た? なかなか面白いことになっているわよ?」

「・・・え? 見てないけど?」

 ミツキの言葉に、すぐにチェックをしてみた。

 ちなみに塔の管理メニューで、各階層ごとに神力の回収値を見ることが出来るようになっている。

 ミツキはそれを見るようにと言っているのである。

 そして、指定の第九十一層の神力の回収値を見た考助は、目を丸くした。

「・・・は!? 何、これ?」

 昨日までの第九十一層の神力回収値は、自然発生値では一日ごとに百に達していなかった。

 それが、今日この時点で一万近くなっていた。

 第九十一層は、上位系モンスターが出現する階層だ。

 モンスターさえ倒せれば、可能な数値であるので、不思議ではないのだが、それを誰がやったのかが問題なのだ。

「ミツキがやったの?」

「違うわよ。私はそれを見て、誰がやったのか確認してきたのよ」

 基本的にコウヒとミツキは、考助の護衛の立場を崩していない。

 どちらか一方が手が空いているときに、塔に何か変わったことがあった時は、それを確認しに行っていたりしている。

「・・・じゃあ誰が?」

「だから、面白いことになっているって言ったじゃない」

「確認しに行きましょう」

 珍しくコウヒの口から意見が出て来た。

 コウヒも第九十一層で何が起こっているのか、確認しに行きたいのだろう。

 考助としてもそれを断る理由もない・・・というより早く確認したいので、それをすぐさま受け入れた。

 ミツキが楽しそうにしていることから、特に大事にはならないと思っているのだが。

 

 結局、塔のメンバー全員が付いてくることになったのだが、ミツキを除く全員が目の前の光景を茫然と見つめていた。

 珍しいことに、非常に珍しいことに、それにはコウヒも含まれている。

 それを見たミツキが、楽しそうに笑っている。

「どう? 言った通り、面白いことになっているでしょう? 私も最初はそうなったから」

「・・・・・・非常識ですわ」

「・・・・・・ありえない」

「・・・・・・どうすれば、こうなる?」

「・・・・・・少し浮かれてた自分が恥ずかしいです~」

「・・・なんというか・・・どうしてこうなった?」

 彼らの目の前で、上位系モンスターの蹂躙が行われていた。

 第九十一層に出現するモンスターは、上位系の中でも下位の部類のモンスターが出現する。

 とはいっても、上位系は上位系。その強さはコウヒ&ミツキからの折り紙付きだ。

 そのモンスター(ヘルミズック:昆虫系モンスター)が軽くあしらわれていた。

 軽くあしらっているのは、ナナであった。

 最初はそれがナナであるという認識が出来なかった。

 大きさも毛並みも大きく変わっていたのである。

 最初考助はただのモンスターだと思っていたのだが、そのモンスターのステータスを慌ててチェックした考助が、思わずナナの名前をつぶやいた。

 それを聞きとがめたメンバーたちが、最初に発したのが、先の台詞であったのだ。

 

 モンスターとの戦闘を終えたナナが、最初から気づいていたのか、嬉しそうに考助の方へと近寄ってきた。

 近づいて来れば、その姿が以前とは全く違っているのがよくわかった。

 まずは大きさ。考助一人どころか、大人二、三人を乗せても平気そうな大きさになっている。

 そしてその毛並みは、輝くような銀色になっていた。

 今はモンスターとの戦闘で、所々に血がついているのだが、それでもその美しさはよくわかった。

 ナナはその血が気になるのか、しきりに毛に付いた血を舐めとっていた。

 その眼だけは、以前と変わらない光を放っている。

「いや~。これは、参ったな」

 思ってもみなかった変化に、当然の様に考助は、ナナのステータスをチェックした。

 予想外というか、あるいは当然というべきか、大幅にそのステータスを変化させていたのであった。

 

 固有名:ナナ

 種族名:白銀大神

 固有スキル:遠吠えLV9 体当たりLV8 噛みつきLV9 威嚇LV10 集団行動LV7

         言語理解(眷属)LV9 神力操作LV10 妖精言語 風魔法LV8

         月光LV9 水魔法LV6 月輝LV5

 天恵スキル:統率LV9 白銀大神 体長変化 

 称号:考助の眷属 月神の使い(大神) 月神の加護

上位層でコウヒやミツキがモンスターを倒して稼いだ方が、色々設置出来たんじゃね?

と、思った方へ。

・・・その通りなんですが、チート使ってゲームクリアしても面白くないと考える考助なので、そういう事に二人の力を使うことは考えていません。

必要ない限りは、二人の力は使わないことにしています。いる、つもりです。タブン


2014/5/20 訂正

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