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焼けつく思ひ出
姫の記憶、こびりつくあの時の情景。
無人の城塞は青々と蠢いていた。
否、蠢いていたのは、崩れた城壁に絡みつき、風が吹くたび揺れる草花であった。
その群れの様子から、この場所の流れた月日が長いことが分かる。
あれからもう17年経つ。
熱い。
燃え盛る城内に立つ、黒龍。
音にならぬ叫びが耳の奥から離れない。
赤子の時の記憶など、あってないようなものだ。
しかしそれでも、この感覚が、あの光景が、あの時のものであることは確信していた。
でなければ頬をつたうものの意味が分からない。
100年戦争の最中滅びた我が国、その最後の希望として、私は、必ずこの役目を果たしてみせる。
千切れた雲を仰ぎ見て、目を細めれば、
空も一緒に涙してくれている気がした。
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狂喜乱舞しております。わっほい!!