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戦利品の花嫁  作者: 37号
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完璧なる王子の完璧なる面倒ごと


久しぶりに投稿です(;´д`)



俺は辟易していた。



何が悲しくて亡国の、しかも竜族の姫などと婚約しなければならないのか。

しかも明日王宮に赴くなどと、急な話ではないか。

全く…身内だからといって何でもアリである。当事者である俺に少なくとも一月前には伝えるべきであるとも思うが、姉上にはどうも弱い。


姉上の紫暗の瞳は、王と重なるから厄介であった。




内心悪態をついてはみるが、明日は避けられるものではなく、姫に会うことは決定事項であり、ならばそれを非の打ち所の無いように滞りなく進めることが重要だ。

不確定要素を排除することこそ、今俺がすべきことである。


そう、エドウィンとは完璧なる王子様なのだから。




そこでふと、竜族とその王国について思いを馳せる。会ったときに会話の話題に持ち込める情報と、姫との婚約が我が国にとってどんなメリットがあるのかという情報。少なくともこの二つは明日までに頭に入れておかなくては。


相手方の情報は歴史学と現在の国との関係性を考えればスルスルと出てくるものだ。




竜王の国アラハルト。


先の大戦により滅びた国であり、

独自の文明を持ち、小国ながらも栄えた国でもあった。しかも竜族は一般の人間の八倍もの力を持ち、王族の血筋、その中でも男子に限り、人間から黒龍の姿になれるとされている。


そのような強大な力を所有していながら小国に収まっていたのは諸説あるが、一番有力的な説は、竜族の数の少なさであろう。

各々の魔力が巨大なせいで、力同士が反発し、子供をなすことが難しかったのだろうとされている。


他の種族と交わることも一般的であったようだが、混血の魔力は純血に比べ大きく劣る。

長年の交配により血が薄まっていったのも、戦争で敗れた原因であることは明白だった。




感情が高ぶれば魔力が膨張するのは必然である。

(まぁ俺には関係ないけどね。)


そう、俺には関係ない話だ。

誰でも多かれ少なかれ所有している力であるはずの魔力を、どういう訳か、俺は持ち合わせていない。

皆無なのだ。


そのため俺の背中には外気の魔力にあてられないように術式が描かれている。





それはさておき、我が国にとってのメリットは何だ。

滅びた国の姫などに、なんの価値も見出だせない。

政治には利用できる訳もない。

婚姻式という(まつりごと)を国民の一時の娯楽のためにするというのは、分からなくもないが…亡国の姫でなくても有益な人物はいるであろう。



しかも姫が生きていたことが驚きだった。

大戦の最中産まれた姫は、容易く殺されているだろうと推測していたからだ。


大戦の時、確か俺はまだ3歳であったから、そこから考えるに姫の現在の年齢は17か。

その年齢まで何処に隠れていたのか。


死んでいると思っていた人間が生きながらえていて、俺と婚約する。

考えただけで卯すら寒い。





(…死んでると思ってた人間の趣味とか好きなことなんか分かるわけないし……話題が詰まったら姉上に任せよう。)




分からないことを何時までも考えていても無駄だ。




ふぅ…溜め息を吐くと、明日くる面倒ごとを対処するための計画を思案することにした。








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