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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
99/144

~最後の祭り、もちろん全力で挑む。~

 そうして、最後の祭りが始まった。


「俺を捕まえられるものなら、捕まえてみな!!」

「は、速っ!? 紅先輩、おねがいします!!」

「ええ!!」

 後輩の後ろを追い駆けていた紅だったが、その救援に一言で頷くと、


「詰めるよ!!」

 たったワンステップで後輩を追い抜き、ぐんぐん泥棒へと間を詰める。


「げ!? あの紅先輩!?」

 泥棒も状況に気づいたようで、急に角を曲がる。


「無駄だよ!!」

 すると紅は今まで上げていた速度を片足で止め、方向を90度変える。


「うわ、うわうわうわうわ!!!!」

 泥棒はその速度になすすべも無く、間はぐんぐんを詰められ、そうして組み伏せられてしまった。


「これで、終わりね」

 そして紅は泥棒のウォッチャーに自分のウォッチャーを合わせ、その後ボタンを押した。


「はいはーい、すごいですね紅先輩。もう四人は検挙してません?」

 すると、何も無かったはずの空間にいきなり女子が現れた。

 彼女がテレポーターなんだろう。


「……私の担当は貴方なのかしら? ま、あの校長のことだから笑って許したんでしょう? 常識的にはありえないわよ」

 紅はその彼女を知っている。

 覚えているだろうか、あの“5.01事件”で間之崎学園から逃げていた赤井達をバラバラに飛ばしたテレポーターのことを。

 “痛”の部下であった彼女は今も変わらず、間之崎学園で生活し続け、そしていまけいどろ大会で借り出されているのだった。


「過ぎたことは気にしないのー。私も覚悟してたのに、あの校長は謎すぎる。とりあえず仕事するわね」

 その女の子は泥棒の腕を掴むと、どこかに消えてしまった。


「ふぅ……、貴方も頑張ってね」

 横にいた後輩に、髪を少したなびかせて笑顔で話しかけた。


「………………」

 だが後輩は、ポカンとした顔をしている。


 あ、あれ? 間違えちゃったかな?

 これからはもっと優雅なキャラで頑張るつもりが……。


 だが、そんな心配は杞憂だった。


「す、すごいですっ!! サインとか、いただけますか!!」

 目を輝かして、ピョンピョンと飛び始めた。


「え、えぇ……」

 とりあえず応じて、サインをあげることにした。


 私のサインなんて、価値も何も無いと思うんだけどなぁ……。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 泥棒side、高原衣。


「やっぱり紅さんは強敵だねぇ」

 一人しかいないその部屋で、呟いた。


「時間稼ぎと捕まらない程度のお相手するか」

 おそらく点の動きからして、紅さんは間之崎学園の円周付近にいるだろう。


「一人分で大丈夫かな……。いや、念のためにもう一人連れて行くか」

 腕につけたウォッチャーがジャラリと鳴る。

 そこにあるウォッチャーの数は、五つ。


 次の瞬間、高原が二人になっていた。そして次には、分かれた片方がまた分かれ合わせて三人となった。


 一人はウォッチャーを三つ、残り二人はウォッチャーを一つずつ持っていた。


 そしてウォッチャーを一つずつ持っている二人が、そこから出た。


(残り三つか。でもま――――――――)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 時は戻って紅。


 あの後輩と別れた後、単独で行動していた。


 正直そっちのほうがやりやすかったりする。


 今は学園から少し離れたところを歩いている。

 とはいえ、周囲には注意を張りいつでも飛び出せる構えではあった。


 そこに二人、歩いてくるものがいた。

 その二人からは、ピコン、ピコンと音が鳴っている。泥棒だ。


「ここか、紅さん」「ま、“観測者”で視えてたけどな」

 瓜二つの顔、そこには。


「高原先輩……!? しかもそれ、隠してるんじゃなかったんですか!?」

 紅はそれを見たことがある。


「「あぁ、“もう一人の自分(ドッペルゲンガー)”のことか。気にすんな」」


 二人で笑いあう。


「高校生活最後だぜ? 折角だから魅せてやるよ」

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