~合流する、先輩後輩。~
実は、月曜から研修旅行に行ってきます。
ですので更新が出来なくなります、ごめんなさい。
ですが、月曜までには騎馬戦争編は頑張って終わらせようと思います!!
宴は先町に向かって走り出し、その拳の間合いの少し手前で踏みとどまるようにして左足で踏み込み、勢いそのままに後ろ回し蹴りを叩き込む。
だがそれを先町は裏拳をぶつけ、弾き返す。
ニヤリと宴はそれを見て笑い、弾き返された勢いを使って逆回転し、先町のほうへ振り返ろうとする。
その宴の振り返りざまにも先町は拳を放つが、それをしゃがむような形で避ける。
そして回転の勢いで先町に足払いをかける。
先町はそれに蹴りで対応する。
いくら強化系とはいえ、宴はバランスを崩していたので強化されていない先町の蹴りでも十分に対応できた。
宴は足払いを蹴りで返されながらもその間に体勢を整え、しゃがんだ状態から跳び上がる様にして先町の懐に迫る。
「!?」
身体と身体が密着するほど近くに迫る宴。
「そうなってしまえば、満足に拳も振れないよなぁ!!」
宴はそのまま両腕で先町の胴を掴む。
そして押し倒すようにして突き倒す。
先町は尻餅をついて地面に押し付けられる。
その隙を縫って、宴は両足を掴んだ。
「おらぁ!!」
そのままブンと回転させ始める。
一回転、ニ回転――――――。
「宴」
そのとき、宴に高原から声が掛けられた。
「先町をどっかに飛ばすなら、テントから右五度のところに吹っ飛ばせ」
「……何しようってんだ」
一瞬いぶかしんだが、俺が考えても仕方ないかと頷き、その方向に先町を投げ飛ばした。
その飛距離も強化されているだけあって尋常ではなく、数十メートルほど飛ばされていた。
すると、飛ばされていた先町が何か別の男に直撃しているのが見えた。
「おー、流石だな高原。あれにはそういう意味があったのか」
そう呟いて、先町がぶつかっている方へ走り出す。
そこでは赤井、紅、相馬が一倉と戦いを繰り広げていたようだった。
「意外に俺お前に勝てるかもな」
「黙れよ宴宗十郎、これで勝った気になるな」
先町は俺を睨みつける。
……ようやく本気になったか。
宴は、先町がいまだ全力を出し切れていないことを見抜いていた。
先町には今まで、無駄な力が入っていた。
(おそらく、白樺にいいとこ見せようとか、二度と負けられないとでも思ってたんだろうがな。あいつもそういうところは男なんだなぁ)
だが、今は違う。
先町の顔はあまり変わっていないが、無駄な力が抜けている。
調子に乗って飛ばしすぎたか、と宴は考えるが、すぐにそれを否定する。
調子に乗る、それが俺の才能の極意みたいなもんだろうが。
「しっかし、一倉が二年と闘ってるとはな」
「お前が余計な茶々さえ入れなきゃ俺はこの二人を倒せてたんだよ!!」
一倉が棒を構えて俺に迫る。
棒を右から左へ、横に振う軌道で振ってくる。
「あいつの棒は触れるだけで重力のコントロールを持ってかれるからな……」
とにかく今は、少し向こうにいる赤井君達と合流、コミュニケーションをとる!!
そう思い、力いっぱいジャンプした。
紅や先町のような部分的な才能じゃないから威力もそうでもないが、それでもここから回避くらいできる!!
俺は一倉の背を飛び越えると、赤井君達の元へ一直線に走った。