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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
91/144

~三人の攻防、もてあそぶ先輩。~

「あらよっと!!」

 一倉先輩の棒が空を切る。


「一発でも受けたらリタイアさせられるぞ!!」

「分かってる!!」

 だが、一倉先輩の棒捌きは見事で、棒の間合いから中には入れない。


 一倉先輩から棒の射程範囲まで、球状にゾーンが出来ている。


 あの球状の空間に入ってしまえば、一撃で帽子が持っていかれる。


「私が道を、作ります!!」

 相馬がそう二人に叫び、一倉先輩に突っ込んでいく。


「うん、まずい」

 一倉先輩は顔を少しゆがめて口走ると、その場から一瞬で消えた。


 正確には、物凄い速度で空中へ飛び上がった。


「……おそらく、自分に掛かっている重力のみを消したのでしょう」

 相馬が上空を睨んで言う。


「空中なら!!」

 紅はそれを見て跳び上がる。


「なっ、馬鹿!!」

 空中では足場が無いから、方向を変える事は出来ない。

 その上踏み切ることも出来ないから、まともな攻撃なんて本来出来ない。


 そして相手は、一部にありとあらゆる重力をかけられる。


 一倉先輩はそれを見越していたようで、顔を笑みで染めた。

「無鉄砲だぜ? “赤き稲妻”」

 棒を紅のほうに向け、帽子を弾き飛ばすように下から上に弾き上げる軌道を取った。


 だが、紅も馬鹿ではなかった。


 紅は無理やり身体を丸め、棒の上に足をかけた。


「これなら足場も、ある!!」

 棒を足場に一倉先輩へ駆けていく。


「はっは!! やべぇな畜生!!」

 そう叫んだ瞬間、紅の足が止まる。


「っっ重っ!!」

 紅が棒から滑り落ちそうになる。

 ぎりぎりのところで棒を掴むが、それも一瞬のことで紅が先に落とされた。


 どん!! と大きな音を立てて紅が地面に着地した。


「どうした紅!!」

「なんか急に身体が重くなって……」

「“偏有引力プレジュディスフォース”でしょう。重力を増やされて身体が重くなったように感じたんです」


 その間にゆっくりと一倉先輩は地面に降り立つ。


 着地した瞬間に先輩は物凄い速度でこちらに走り出してきた。


「この状況は!!」

 やばい、と言う暇すらも無かった。


 一倉先輩は棒をまるで銃弾のような勢いで突き出してくる。


 相馬は“通行許可証(オールパス)”ですり抜ける。

 しかし、紅は着地すぐ、俺はその行動に反応できない。



 終わった――――――――――――。



 棒が俺の帽子を突き上げるように当たるが、その軌道が何故か横に吹き飛んだ。


「!?」

 その光景を見た赤井、紅、相馬も唖然としている。


 一倉先輩が赤井に攻撃するかしないかの刹那、ある男が一倉に衝突したのだ。


「っ痛、手前何しやがる!! ってお前……」

「……すまん」


 ぶつかった男は、申し訳なさそうに腰を低くする。


 その顔は、忘れることは無い。


 つい一時間ほど前、激闘を繰り広げた。


『先町先輩!?』

 俺と紅の声がシンクロした。


「おー、流石だな高原。あれにはそういう意味があったのか」


 先町先輩が吹っ飛んできた方向から、ある男が歩いてくる。


「意外に俺お前に勝てるかもな」

「黙れよ宴宗十郎、これで勝った気になるな」

 その男は、宴先輩だった。

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