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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
82/144

~拳は重く、集中を切らす。~

「君が有名な“才能帰却”の赤井君、かぁぁ!!」

 いきなり先町先輩の鋭い拳が繰り出される。


 それを俺はすんでのところで避けるが、次に逆の拳が迫る。


 一回目の拳でバランスを崩していた俺は、両手でその拳を受け止めた。


「な、ぁぁ!?」

 その瞬間、拳で大砲の攻撃を受け止めたような(実際には受け止めたことなんてないけれど)重みが走る。


 身体がふわりと浮き上がり、2,3mほど吹っ飛ばされた。


 肉体強化系は“才能帰却”の弱点と言ってもいい。

 触れた瞬間能力は解除されるが、その攻撃の威力はそのまま、つまり攻撃は普通に受けるということである。


「……なるほどな。それが“才能帰却”。確かに殴った瞬間に力が抜けた」

 先町は拳を開いては閉じている。


「俺向いてないんだよなこういう系。残念なことこの上ない」

 まだ帽子は取られていない。終わっちゃいない。


「ん? 根性だけはあるようだが。変な体術を使うものだ。当たるぎりぎりまで避けないとはな」

「それは俺の師匠の褒め言葉か?」

 アイツ、崩野はいつもそういう態度だった気がする。


 相手の動きを限界まで見極める。


「師がいるのか。珍しいな」

「一悶着あったんですよ」

 少し思い出しかけたが、今はそんなことを考えている場合じゃない。


「会話中悪いけどさ、頂くね?」

 その声は俺の真後ろから聞こえてきた。


 そして帽子が引っ張られる。


「!?」

 それに気がつくが、一手遅い。


 取られる――――――。


 だが帽子が取られる直前、後ろでズドンと何かが落ちるような音がする。


「……危ない危ない。危うく腕が持っていかれるところだった」

 俺が振り向くと、そこには誰かの後姿が。


 向こうには、先町先輩の友達さんが見えた。


漆原うるしはら。相変わらずよく背後を取る男だな」

飛鳥あすか。相変わらずよく上空を取る男だな」


 俺の目の前に立っている人は飛鳥さんというらしい。

 先町先輩の友達の人は漆原うるしはらさんというようだ。こうやってタメ口で話しているということは、二人とも先輩なのだろう。


「余所見はよくないな。対戦相手から意識を切らすなど、愚の骨頂」

「あ」

 気がつくと、先町先輩に帽子を取られていた。


「ああああぁぁぁぁ!!!」

 負けてしまった。


「あー、何やってんだよ赤井君。期待の星だというのに」

 飛鳥先輩にはがっかりされた。


「おぉっと、転校生“才能帰却”の赤井君が一時敗退!!」

「先町の能力は鬼門だったよーですが。それよりも敗因は敵に背を向けたことでしょーか」

 俺はとぼとぼとテントへ向かう。


 ここで30分すごすのだ。


 テントに着くと、紅があからさまに落ち込んでいた。


「負けた……。悔しいぃ……」

 その負のオーラを感じたか、他の生徒はそこに近づいていない。


「ったく、何しょげてんだよ」

 俺はその隣に座る。


「……赤井?」

「お前らしくもないじゃないか。そこまであからさまに落ち込むなんてよ。相手は先輩だぜ?」

「そういう問題じゃないんだよ。私の才能は“超跳躍”。簡単に言うなら一部の肉体強化じゃない。だから普通の肉体強化よりも強い力が足にあったんだよ。相手の先輩が同じ才能系なのは認めるけどさ。腕と足の筋力差って3倍差だよ?」

 あ、知ってたのか。


「まぁまぁ落ち着――――――」

「畜生ーーーーーー!! 悔しいーーーー!! 次は絶対勝つ!!」


 うがー、と両手を挙げて立ち上がった。


「大体私が落ち込むような女じゃない!! 蹴り倒してやる!!」


 なんかすごく元気でした。


「赤井も負けたんだって? 先町先輩に」

「あれは俺の責任でもあるけどな」


「なら負けた者同士、一緒に組みましょう!!」

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