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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
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~先輩の意地。~

 あと数秒で紅達の部隊と敵の前列がぶつかろうというとき、それは起こった。


「ん? 何かが、来る?」

 向こうのほうを見据えていた(おそらく観測者使用中)高原がそう呟いた。


「宴、“無令効(フィーバー)”を使え。一分ほどでいい」

 高原は宴にそう命令すると、二つ返事で能力を開放した。


 そして次の瞬間。


「あ、危ねぇ」

 宴が何かを見てそう呟き高原の前に躍り出る。


 その時砲弾のような何かが高原目掛けて飛んで来た。


「だろうが」

 だがその砲弾のようなものにも眉一つ動かさず、宴は拳一発でその砲弾を地面に叩きつけた。


「こりゃ、人じゃねえか」

 殴りつけた後を見ると、人が倒れていた。


 それを見て高原は全てを理解する。


「そういうことか。俺達と相手の部隊が接触する直前、俺達内野の守りが薄くなるときを狙って、どんな才能かは知らないが人を送り込んで俺の帽子を奪うつもりだったんだろう」

 白樺ならこういうスマートかつえげつない作戦をとるだろうな、と頷く。


「ったく、無粋にも程があるだろ。宴をこんな戦いで終わらせて何が楽しいんだあの女」

 宴は忌々しく呟く。


「そういうな。アイツの策、勝つためのスマートさなら俺を上回ってるし、今回の策だって人を送り込むなんてなかなか発想として出てこねえよ」

 高原はその行動を評価しているようだ。


 だがその後で。


「とはいえ、こんなんで終わらされる祭りってのはがっかりだ。俺達の副将を舐めないでもらいたいな。何せ大学生を除けば最高学年なんだから」

 そして最後に「もっとも、それは相手もわかってることだろうがな」と呟いた。


 静かに地面の男の帽子をとった。


「最初に得点を取ったのは紅組!! この策には驚きました!! 砲弾のような勢いでしたからね!!」

「才能でしょーね。彼の情報がまたこっちに来てませんから、何とも言えません」


 その頃。


「やはり撃墜されたようですよ?」

「大丈夫、これで成功するとは思っていない。挨拶みたいなものよ。どうせあの男は今でもこの間之スポをもりあげることしか考えてないでしょうしね」


 白組の大将、白樺と副将が話していた。


「勝負は勝ち負けを争うから勝負。私達の戦法を、舐めないでよ?」


 そして、紅の部隊と白組の部隊が衝突した。


「行くよぉぉぉ!!!」

「美紀様に勝利を!!」

 衝突した瞬間から、人が無双のように吹っ飛び始めた。


「えええぇぇぇ!!!」

 俺の声です。


 というか人ってあんなに飛べたんだなー。


 最近慣れてきました。

 でもまだ俺この光景に驚けるよ?


 その爆心とも呼べるような場所では、二人が戦っていた。


 一人は紅、もう一人は相手の選手のようだった。


「オ○オ○オ○オ○ァァァァ!!!」

「無○無○無○無○無○ぁぁ!!!」


 それは違う漫画だっつの!!

 これ以上消されるようなセリフを吐くな!!


 ごめんなさいごめんなさい!!


 ……ごほん。


 紅は足が増えて見えるような速度で蹴りを繰り出すが、相手はその蹴りを全て拳で受け止めている。


 足の筋力と腕の筋力では、三倍の差があるという。

 さらに“超跳躍(ホッパー)”を付与され、“5,01事件”以降兄にある程度の蹴り技を教えてもらっている紅の蹴りは、的確で鋭く、最近(かかと)落としで瓦を割ったらしい。


 それを拳で撃墜しているあの男は一体何なんだ?


「……っ!! まだまだぁ!!」

「舐めるなよ、後輩風情がぁ!!」

 どうやら相手は先輩のようだ。


「ならこれは!!」

 紅が鋭い足払いをかける。


 だがそれは紅に迫るように跳んで避けられる。

 そのうえ拳が紅の顔面――――――の上を狙っている。


「終わりだぜ、紅鍵音」

 男の手には赤い帽子が握られていた。

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