~棒倒し終決!!~
棒倒し編ラストー。
そして今気がついたんですが、~競技も固まり、いよいよ間之スポが近づく。~で色別競技と学年対抗競技が逆になってました……。
ですので直してあります。
「おいおい、何か策のある人間をここで通すと思ってんのかい?」
俺が走って行くと、スタジアムの中央に人が。
さっきまで嵐の槍を撃っていた、嵐山だった。
「喰らいなぁ!!」
一気に三本ほどの槍を撃ってくる。
この攻撃は才能の物ではあるが、『風』自体に才能は無い。嵐山がやっていることは、風を集めて撃つだけ。実際の槍には才能の力が無い。
つまり、俺はこの槍を避けなければならないのだ。
まず一本。
横に飛んでかわす。
二本目。
それも横に飛んでかわす。
が。
その時に思い切り態勢を崩してしまった。
三本目の槍が迫る。
「スタートへ戻りな!!」
くそ、と思ったそのときだった。
「“遠当破撃”」
槍が目の前からいきなりバシュ、と音を立てて消え去ったのだ。
「何!?」
嵐山も何が起こったのかわからず驚く。
「今のは……」
見覚えがある。それもついさっきのことだ。
「赤井、先に行け!! ここは俺が何とかしておく!!」
「樹野……、お前良いとことったなぁ!! あんがとよ!!」
その才能は、樹野のものだった。
遠距離の物、空間に自分の攻撃を当てることができる。
なるほど、これなら風で吹っ飛ばされること無く安定して嵐山の嵐の槍を壊せるのか。
「行かせるかぁ!!」
「邪魔はさせない!!」
赤井の背に向けて嵐山から攻撃をするが、樹野が全て打ち落とす。
「ダークホースか……」
「叶先生、見ててくれよ」
男の戦いが幕を開けた。
……。
スタジアムの向こうまでは結構距離がある。
ふと後ろを振り返ると、棒は60度くらいにまで傾いていた。
もう時間が無い。
間に合うか?
「もう何やってんのよ、赤井。あの時の戦いを思い出しなさい」
その声は前から猛スピードで近づいてきていた。
「私が痛くないように、蹴り飛ばしてあげる、からっ!!」
その声は紅のものだった。
念能力系の技で弾き飛ばされた後も何度も挑戦したが駄目だったようで、あたりを回ってチャンスをうかがっていた様だ。
「足に、乗りなさいっ!!」
紅が急ブレーキ、そしてそのまま片足を直角に上げる。
「っておいおい……、いいのかよ!!」
「もちろん!! 急いでるんでしょ!!」
後ろを振り返ると、確かに危険な状態だった。
「……任せるぜ」
「任せなさい」
両足でジャンプして紅の足に乗る。
その瞬間グンッ、と物凄い重力を感じた後で、空に吹っ飛ばされた。
「って高っ!!」
だが、ちょうどいい。
これだけの高さがあれば十分だ。
あれが出来る。
そのまま赤井は足を下にして蹴るような要領で落ちていく。
その下には、ふわふわと浮かんで支えあってる棒があった。
「避けてないと危険だぜぇ!!」
そしてそのまま棒を、下に蹴るようにして着地した。
『ぐっ!?』
棒を抑えていた敵軍もいきなり顔をしかめる。
そして、崩れる。
ホイッスルがピー、と鳴り響いた。
「試合終了です!! 1対0で2ーAの勝利となりました!!」
その瞬間、スタジアムが静まり返った。
そして、数秒後。
『おぉぉぉぉぉ!! やったぁぁぁ!!!』
という声が、俺達のクラスのほうから聞こえてきた。
その後。
「赤井、一体お前あの状況で何しに行ったんだよ。何か最後は蹴り飛ばして終わってたじゃねぇか」
「そーだぜ? ありゃ一体どうなってたんだ」
クラスの話題は俺のことで持ちきりだった。
「あぁ、あれはな。篠崎が“重力遮断”で重さを消してただろ? だから棒が不安定なかたちで支えられてたんだ。だから、そこに俺の“才能帰却”で触れることで、重力、つまり棒の重さを取り戻させることで、バランスを崩してやったんだ」
だから急に崩れだしたんだー、という声が聞こえる。
『おぉぉ』
「すげぇぜ赤井!!」
「カッコいいぜ!!」
その後俺と、染山、紅は胴上げされることになった。
……とても、楽しかった。