~篠崎は決意し、消えた桜はここにあり。~
更新がドンドン遅れてますー。
ごめんなさい。
「……お、終わったのか?」
隠れながらも様子を見ていたが、どうやら相馬は一人で行ってしまったらしい。
「珍しいわね、相馬君が女子にあんな態度をとるなんて」
と、紅が不思議がる。
そうだな、とか、珍しい……とかも言いあっている。
「まあ、相馬君にも色々な事情があるってことでしょうよ。覗き魔さんたち」
と、いきなり目の前に篠崎が現れた。
驚いてみんな硬直する。
高原さんと姫岸さんはこの場から居ない。
「あぁもう!! どうして私がこんなことで悩まなきゃならないのよ!! 訳わかんない!! 私は深窓の令嬢だったはずよ!!」
明らかに深窓の令嬢らしからぬ叫びを繰り出す。
「篠崎、大丈夫?」
おもわず友達の紅が聞き返す。
「大丈夫よ、私は」
口調だけは落ち着いたものになる。が。
目はギラギラと光っている。
「それ多分大丈夫じゃないと思う……」
「ちょっと行ってくる。あの馬鹿野郎に」
そのまま篠崎は走り去ってしまった。
「……元気だな」
「元気すぎた気がするけどね」
「あの篠崎が、叫ぶなんて」
「……想像以上……」
篠崎と関係の薄い赤井と藤崎と天音はインパクトを、関係の深い紅は少し落ち着いてきていた。
「どうでもいいけどさ」
「? 何?」
そこで赤井が口を開いた。
「紅、桜さんは一体どこに行ったんだ?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「凄いです、桜さん!! お前ら、礼!!」
『ありがとうございましたぁ!!』
桜は、体育会系と思しき集団に思い切り敬意を持って礼をされていた。
「つーか、ちょっと手伝いしただけだろ?」
桜は出店に入る直前、その視力で設営に手間取っている人だかりを発見したのだ。
それで、ひょいっとその問題を解決していたのだ。
すぐに合流できるつもりで何も言わなかったのだが、その後も色々と手伝ってしまい、赤井達に合流できずじまいであった。
「いやいや、あの体裁きは一体どうやって鍛えてるんですか!! 2mほどを軽々と飛んでませんでしたか!!」
「あー、努力すれば出来る。……多分」
「それで才能者じゃないなんて……、すごすぎます!!」
「気にするな」
このままではずっと質問攻めにされそうな気配を感じた桜は、その言葉とともに走り去った。
「……、学生ってのは若いな、まったく」
結局出店を一人でぶらぶら回ることになってしまった。
この後、間之崎学園では『桜伝説』とよばれる化物じみた身体能力を持つ人の話が出来るわけだが、それはまた別の話である。