~四人の邂逅、それは不能。~
昨日はぐっすりでした。
姉妹は変わらず少しの間止まっていたが、決心したような顔をすると、太陽を睨んだ。
「良い目だ」
太陽は笑顔になる。
「てぇい!!」
二人で太陽に突っ込んでいく。
「えっ!?」
と、思ったが姉のほうが一旦止まる。
「どうしたの!?」
妹もそれを見て止まる。
「……今のまま行ってたら、五秒後に二人とも倒されてた」
「う、そ!!」
“一寸先の未来”で見た景色は、二人が地面に倒れていたのだ。
「才能も本当か」
「お前、加減する気ゼロじゃねえかよぉ……」
白道は気がついていた。
人にはそれぞれオーラ、のようなものがある。
例えば、この人は安全そうだな、とかあの人には近づいちゃいけないという風な。
また、そのオーラを隠すことも出来る。
例えば、今まで安全そうに見えた人が急に豹変したり、近づいちゃいけない人が実は優しかったりという風な。
気とも呼ばれている。
その気が、隠されていながらも、本気であった。
普通の人間には気づけない小さな挙動。
「心配するな、武器まで使う気は無い」
「いやぁ、そういう問題じゃねぇんだがなぁ……。おい、嬢ちゃんたち。そこで怯えてる場合じゃないだろ? 一時間しかねぇぞ、まぐれ当たりでも狙うつもりでいけよ」
白道が止まっていた姉妹に言う。
「……まずは、私が行く!!」
姉の方が太陽に走っていく。
太陽はそれを見ながら、行動に移る。
まず右手で襟元を掴もうとしたが、それを見透かしたように姉は後ろに一歩下がる。
「読めてま――――えっ!?」
だが、急に太陽の腕が伸びた。
そして襟元をつかまれ、後ろへと投げられてしまう。
「お姉ちゃんが……、どうして!?」
「???」
姉妹で?を浮かべている。
「簡単だ。さっきは右足を下げて右腕を出してたが、コイツ途中から右足を前に出して移動しやがった」
その説明は白道がした。
「これくらいなら、最近出てきた無才能の最強とか言う“紅鬼”じゃなくたって出来る」
最近有名になってきつつある男の名前を呟きながら、姉妹を見る。
「諦めて、たまるもんですか!!」
姉妹は立ち上がり始めていた。
「やっぱり私が行くよ!! お姉ちゃんはフォローをお願い!!」
妹が太陽に走っていく。
「分かったわ!!」
姉は太陽を見据える。
「面白い。ちょっと、本気出してみるか?」
そう太陽が言った瞬間、姉の顔がこわばる。
「よく聞いて!! 右上、左上、中心」
「えっ!?」
そういった瞬間、太陽が右上と左下に手を伸ばしてくる。
だが、驚いた顔をしながら妹は華麗に避ける。
その後の中心への打撃も難なく避け、左に回りこんで太陽に拳を撃とうとした瞬間。
「避けてぇ!!」
姉がそう叫んだ。
次の瞬間、太陽の左足が服に引っかかり、そのまま蹴る動作で投げられてしまった。
「拳の動作が遅い」
太陽は冷たくそう言い放った。
「本当に、一撃なんて入れられるの……」