~四人の邂逅、それは激動。~
「さてと」
解除、と白道が言うと最初に飛び出した女の子が動き出す。
が、すぐに地面にこけた。
白道は止めている間に女の子を縄で縛っていたのだ。
「え!? 何で!?」
自分の身に何が起きたのか、理解できないようだ。
「お、お姉ちゃん……」
「どうして!? いつ出てきたの!? 隠れてろって言ったじゃない!!」
小さめの女の子も、さっきの間に縛っておいた。
どうやらこの二人、姉妹らしい。
「さて、嬢ちゃん方。どうして俺らを襲ったんだい?」
白道が努めて優しく話しかける。
「どう見たって脅してるようにしか見えないよな……」
だが、白道の姿はチンピラのようだった。
「あんた達が、私達の町を襲ったんでしょ!!」
姉の方が急に二人に叫んだ。
「? 何の話だぁ?」
「成程な。その言葉で合点がいったよ。君達は俺達がこの町を襲った一味の仲間だと思ってるんだな?」
太陽が閃く。
そういうことか、と白道も頷いた。
「ふざけないでよ!! それじゃあまるで違うみたいじゃない!!」
「いや、違うから何とも言えないんだがな……」
頭を抱える。
「しょうがねぇなぁ。調べといてやる」
「……白道?」
「このまま疑われたままってのは嫌なんでなぁ。俺はお前よりも意外に情報通だったりするんでなぁ。あてはある」
白道はそのまま歩いていく。
「ふぅ……。まったくアイツは、素直じゃねぇんだからよ。嬢ちゃん、しばらく待っててくれ」
太陽は縄を解いていく。
「太陽、お前は残ってろぉ」
「何故だ?」
「嬢ちゃん達、ろくなもの食ってないだろぉ? 太陽、食わせてやれ」
「食わせてやれって……」
「じゃあなぁ」
白道はその町から出て行った。
「……、嬢ちゃんたち、何が食いたい?」
「は?」
「まだ食料とか残ってんのかな……」
太陽はそのあたりを漁ってみた。
「お、あったあった」
探した結果、地下室のようなところに冷蔵庫が生きていた。
どうやら自家発電があるシェルターのような部屋だった。
……だが、ここの家の者は隠れる前に殺されているようだったが。
「肉と魚、どっちがいい?」
「……アンタもやっぱり泥棒じゃない」
ついてきていた姉の方の女の子が言う。
「誰にも食われずに死んでいく食物を粗末には出来ないだろ。嬢ちゃん、名前は?」
「……無い」
「は?」
「思い、だせないの。町の皆が襲われたのは覚えてる。でも、どんな風に呼ばれていたのか、何も……」
余りの精神に対する衝撃による記憶障害というのはありえる。
「そうか。つらいことを聞いたか? すまない」
「別にアンタに謝られなくてもいいわ。まだアンタを信じてないし」
きつい目をされた。
が、最初よりは会話が出来ている。
「肉は、今は食べたくない」
「そうか、じゃあ魚料理にするな」
ごそごそと調味料などを探す。
「ただ、名前が無いってのは呼びにくいな……」
考えながら、調理を開始していた。