~射的で特殊能力を使うのはやめましょう。~
昨日は六時から寝てました。
ごめんなさい。
出店、白道side。
「白道、射的やろうよ射的!!」
「……俺は太陽ほど上手くないぞ?」
そういいながらも、俺は肩を組まれているので引っ張られるように叶に連れて行かれる。
「よっ、お二人さん。一回二百円で五発だ!!」
「私が出すっ!!」
叶は台に二百円をバンッ、と出した。
「さぁ、白道、やっておしまい!!」
「俺は悪の幹部かぁ?」
そういいながら銃を構える白道の姿は、誰よりも様になっていた。
パン。
そう言って一発目が放たれる。
それは見事に小さな人形に当たり、落ちる。
「やったやった、白道。一つ目ゲットだよ!!」
「だがよぉ、あれくらいちっちゃいのでも落ちるのがやっと。他のは狙えないぜぇ」
ふぅ、と溜息をつく。
と、白道の耳元で叶があることを呟いた。
「お前も悪い子だなぁ」
「子供じゃないもの、大人だものー」
それを聞いて白道はにやりと笑った。
「なぁ、兄ちゃん、両手で撃っていいか?」
白道はもう片方の台に置いてある銃を片手に取る。
「んー、兄ちゃんが一人で使うんならいいぜ」
その屋台のお兄ちゃんも、まさか片手でまともに当てられるとは思っていないのだろう。
「OK.交渉成立だ。じゃあ、いくか」
銃を構えると、叶がそこに手を置いた。
「衝撃ショット、四連」
パン、と音は同時。
「白眼視!!」
その瞬間、最初に撃った弾のほうが景品に当たる前に止まる。
ついでに屋台の兄ちゃんも止まる。
そしてまた両手で一発ずつ撃つ。
「解除」
その弾が止まっていた弾の真横に来た瞬間にそう言った。
パァン!!
そう音を立てて大きなぬいぐるみが4発同時に弾に当たり、右の方に縦に一列当たり、回転しながら落ちた。
その時、何か小さな箱のようなものも一緒に落ちた。
「??? そんな馬鹿な!?」
屋台のお兄ちゃんも驚いていた。
「イェイ」
「やったなぁ」
俺と叶はハイタッチをかわす。
あの時、叶は“私が弾に衝撃を加えるから、白道は白眼視で弾を4発同時に当てて”と耳打ちしていたのだ。
げんなりした屋台の店主に大きな袋をもらい、それを白道が担ぐ。
「あぁ、こいつは俺にはいらねぇから」
不意に白道が大きなぬいぐるみを投げた。
「え、良いの?」
「そんなの持っててもしょうがないだろぉ?」
叶はぬいぐるみに顔をギュー、と埋めながら小さな声でありがとう、と言った。
「何かいったか?」
「何にもー」
白道にはその呟きは聞こえなかった。
「白道は、いつもそうだった……」
「ん?」
「あったときから、ずっと……」
叶は、白道と会ったときのことを思い出していた。