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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
52/144

~太陽と月影、過去の因縁。~ (4)

 

 どうせアイツの防御部分は上半身程度。


 下半身と顔面が吹っ飛ぶがいい。


 白道は自分のスーツの中から手榴弾を片手に持ち、ピンを抜く。


 それを太陽が居る所に投げつける。


 もちろんこれで倒そうとは思っていない。


 白道はその次に手榴弾を二個片手に持ってピンを抜く。

 それを地面に投げつける。


白眼視ホワイトアイズ!!」


 そう白道が言った瞬間、地面にある手榴弾の動きが止まる。


 ドォン!!


 手榴弾が爆発し、太陽は転がりながら出てくる。


「ちっ!!」

 太陽は両手に一丁ずつ拳銃を持って出る。


 その瞬間を見計らって、白道は目の前に持っていた白いマントを投げつけながら、


「解除、そして白眼視ホワイトアイズ

 と叫ぶ。


 太陽の足元にあった手榴弾が、不意に動き出す。


 白道は近場の爆風をマントの時間を止めることで絶対の防御としているのだ。


 これが白道の基本スタイル。


「おっと!!」

 だが、その手榴弾が爆発するかしないかの刹那、バァン、と拳銃の音が響く。


 放たれた銃弾は二発。

 あまりにも同時で銃声が重なって聞こえたのだ。


 次の瞬間、手榴弾が爆発する。


 だが、その爆発は、空中で起きた。


「おいおい、マジかよぉ……」


 太陽はあの一瞬で手榴弾を空中へ撃ち飛ばしたのだ。


「解除」

 その瞬間、空中で不自然に固まっていたマントがふわりと落ちる。


「なるほどなるほど、大体お前の才能ってのが分かってきたぞ」

 太陽が不意にそう言い出した。


「あぁ?」

 俺の才能は、かなり分かりにくい部類に入る。


 見たものの時間を止める、なんて才能は俺は人生で見たことが無い。

 それに、想像するのも難しい。


 だが、目の前の男は違っていた。


「おそらく、お前の才能は見たものの時間を止めるって所か。時間を止めている間の物体はいかなる攻撃も効かなくなる。ってところだろ?」


 当たっていた。全て。


「おいおい、どうしてそこまで、俺の才能が分かるんだよぉ……」


 よく瞬間移動の才能者と間違えられることはある。てっきりこいつもそう言うかと思っていた。


「瞬間移動系とか疑わなかったのかぁ?」

「周りからの話を聞いている分ではそう思ってたんだが、それとはどうも違う気がしたんだ。その疑問が確証に変わったのは、お前がいきなり俺の後ろに現れて機関銃をぶっ放したときだったな」


 あの時?

 特におかしなところは無かったはずだが。


「普通瞬間移動系の才能者でも、機関銃を撃つとなると狙う時間がどうしても必要になるだろ。いきなり場所、視界が変わるんだからな。だが、あの時はいきなり撃ってきた。後ろに居ると分かったのは撃たれ始めてからさ。それは、もっと別の才能なんじゃないかと思ってな」


 油断していた。


 しくじった。


「そしてさっきの手榴弾とマントで分かったって訳だ。これ以上説明は必要か?」

「いらねぇよぉ」


 なるほど、面白い。


「だがよぉ、それが分かったからって一体なんだって言うんだ、よぉ!!」


 白道はスーツから手榴弾を両手に二つずつ取り出すと、その四つともピンを引く。


 そして太陽に投げつける。


 白眼視ホワイトアイズ、と心の中で叫び、マントを硬化させる。


 ドォン、ドォン、ドォン、ドォン、と立て続けに四発音が鳴る。


 白道はマントの下から手榴弾を転がし、マントの白眼視化を解き、手榴弾にかける。


 そして更にスーツから手榴弾を抜こうとした瞬間だった。


「遅いぜ、お前」

 両目に太陽の拳銃が突きつけられていた。


「下手に動くなよ? 撃つぞ?」

 白道は、動けない。


 白眼視ホワイトアイズの発動条件は、視界である。

 見たもののみ時間を止めることができる。


 今の状況では、拳銃を止めることはできても太陽自身は止められない。

 腰にはまだ四丁も拳銃が残っている。

 この男の早撃ちは先ほどから見ていた通りだ。


「“才能分析者スキルアナライザー”、伊達じゃないってことかよぉ……。だが、油断してるぜ?」

「何をだ」

「俺の手は手榴弾に直結している。つまり――――――」

「自爆、か?」


 ここまでされてはやむなし。

 相手を殺せるだけまだマシというもの――――――――、


「お前、そんなこと考えるタマじゃねぇだろ」

「……バレた?」

 みすみすこんなところで死んでたまるか。

 死なばもろとも? 糞喰らえだな。


「ハハハハハ!!」

「アッハハハ!!」

 二人ともが同時に笑い出した。


「お前、面白いなぁ」

「お前こそ、こんな状況でギャグかます奴だとは思わなかった」

 太陽は銃を下ろした。


「いいのかぁ?」

「本当は良くはないがな。ほら」

 右手を差し出してきた。


「???」

「俺と一緒に仲間になってみないか?」

 つまり、これは、この俺、白道月影に握手を求めているのかぁ?


「悪くねぇ」

 俺は、その手をとった。


「報酬は俺9割お前1割なぁ」

「ふざけるな、俺が9割お前が1分慈善事業に寄付が9分だ」

「骨の髄まで偽善者かよ、お前は」

「偽善者でも善を行ってない奴よりはマシだろう?」

「違ぇねぇ」


 その後、俺達は夜まで酒場で飲み明かした。

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