~競技その一、障害物マラソン~ (5)
ちょっと短め。
毎日更新、頑張ってしてみようかと思います。
さて、この障害物マラソンについて、一つ説明しなければならないことがある。
共闘制度と呼ばれるものである。
この競技はいわば才能を大いに使って楽しむ遊び、のようなものに近い。
だからこそ、こんな制度がある。
競技中に握手を交わすことで成立し、自分を除く二人までなら共闘できる。
この制度をとった場合、共闘している中でも最後にゴールしたものの順位が、全員のゴールとなる。
「赤旗先輩、私の邪魔なんてしませんよね?」
「当たり前だろ? 俺はお前よか場数踏んでんだ。それにこいつは宴、俺も本気を出さないといけないしな。行くぞ」
先ほど共闘の契りを交わした瀬々薙と宴はもうすでに第二障害を突破していた。
「やはり共闘すると違いますね」
「そりゃまぁな。しかし、お前の才能使えるな」
「それほどでもありませんよ」
「謙遜するな。ほら、そう言ってる間に前に見えてきたぞ」
二人が走っている前には紅がいた。
「さて、仕掛けるか」
「まったく、あんな男にこんなに差をつけられるとは思わなかった。跳ばして行くわよ!! ――――――ん?」
紅は全力で走り抜けていた。
土煙を巻き上げながら。
そんな時、いきなり上が暗くなった。
?
思わず上を見上げると、赤旗を持った男と一人の小柄な女子が降ってきていた。
「何でっ!?」
「おぉっと!! これはこれは意外な展開だぁ!! 二人のデッドヒートで終わるかと思ったがぁ、乱入者が現れた!!」
実況も思わずこの展開には叫ぶ。
「いったいこれは何なんだ?」
赤井も思わず不思議に思う。
「今入ったじょーほーですが、あの二人、宴宗十郎と瀬々薙一理選手はあの共闘制度を使っているそうです!!」
共闘制度って、最初に説明された?
「とりあえず、状況を見てみるじゃん」
「宴は皆で楽しむもんだ。そうだろ? “無令効”」
上から降ってきた宴が紅の前に立ちはだかって言う。
『“無令効”?』
紅と赤井の声が合わさる。
「命令など無効果だ。何故ならこれは、宴だから!!」