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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
37/144

~間之崎スポーツカーニヴァルは開催される。~

明日、岡山に行ってきますっ!!

 俺は今、開会式の会場のところで整列している。


 梅雨独特の時期だからか、湿気と熱気でモンモンとして正直熱い。


 そうして整列して待っていると、ドンと空砲の音が鳴った。


「ただいまより、間之崎スポーツカーニヴァル開会式を行います。一同、礼」

 司会の声がして、皆がいっせいに礼をする。


「国旗・校旗・都市旗の掲揚を行います。一同、回れ右。生徒、教職員は帽子を脱いで、ポールに注目願います」

 そんな声が聞こえて全員が後ろを向くと、3本のポールに一つずつ旗が上がっていた。


「直れ。児童、教職員回れ右」


「次に校長からお話があります」

 その声で間之崎学園校長、間之崎竜次郎が朝礼台に上る。


「姿勢を正して、礼」

 こういうところも外と変わらないな。


「えー、本日は雲ひとつ無い晴天で、生徒達の普段からの行いがうかがえます、今日この頃です」

 あの校長もやっぱりこういう場では普通に喋るのか。


「まぁ、わしが話すような話は今年も無いじゃろうな。みんなの様子から分かる。じゃあ、間之崎スポーツカーニヴァル楽しむこと!! 以上!!」

「姿勢を正して、礼」

 1,2,3.

 ちゃんと3つ数えて礼を――――――。


 早いな!!

 3行くらいしかなかったんじゃないか!?

 全然外と違うじゃねぇか!!


「次に、間之崎学園中高等部生徒会長高原衣さんのお話です」


 校長が降りた後、高原さんが朝礼台に上る。


 ……嫌な予感がする。


「えー、一言。一言だけ言わせてもらう」


 さっそく式なのに口調が普通だし。


「お前ら、楽しんでいくぞぉ!!!!」

『おぉー!!!!』


 間髪いれずに生徒からも声が上がる。


 想像してはいたけれど。

 これは、凄い開会式だな。


「以上だ。双方、赤も白も、健闘を祈る」

 そして颯爽と朝礼台を降りていく。


 この人、無駄にこういう動作だけはかっこいい。


 いや別にこういう動作以外でもかっこいいところはあるけどさ。


 ちなみにその後は普通の選手宣誓(スポーツマンシップに乗っ取るアレな)や、校歌斉唱があった。


 この辺りは特に外と変わらなかった。


 その後式は終わり、各々が自分の競技の開催場所や、応援席などに向かう。


「お前ら、どこ行くんだ?」

 とりあえず普段の面子に聞いてみた。


「どこって、決まってるじゃん」

「そうだよー。僕らのクラス競技もー、まだまだだしー」

「赤井君、あなたも一度は紅さんの姿を見ておいたほうがよろしいのではないでしょうか?」


 上から染山、十島、相馬がどうやら同じ競技のことを口に出している。


 紅?


「一体どういうことだ?」

「だから……」

「障害物マラソン大会だ。前半に仕事が無いやつとか応援が無いやつは大抵そこにいくぜ?」

 競技は天音と藤崎が答えてくれた。


「障害物マラソン大会? 何だそりゃ」

 

 聞き覚えの無い種目だ。


「この間之崎学園をぐるっと一周する徒競走で、その中に障害物を入れた――――」

「鉄人レースじゃねぇか!!」


 この間之崎学園は幼、小、中、高、大と5つを統合した超巨大学園だ。

 だから、その総距離は――――――、


「約10キロだろ? そんなものは皆承知してるさ」

「いや、おかしいだろ!! しかもこれ最初の種目なんだろ!? だったら――――」


()()()()()、さ。この鉄人レースはいわば能力の差を埋めるための一つなのさ。こういう大会に向いた才能者がそりゃごろごろいる。そういう奴の体力を少しでも減らすため、らしい。コイツは毎年教師陣と校長と生徒会役員で各クラス一人ずつ決められてるらしいから、これに選ばれるのは喜ばしいことなんだぜ? だって、選ばれればそれだけで十分に箔がつく。校長や教師陣にこの間之スポに通常参加ではいけないと、それこそ才能を認められるんだから」


 成程、そういうことか。


 なら、この種目にみんなの期待が集まるのも分かる。

 何せ、事実上の天下一武道会みたいなもんだからな。


「だがよ、10キロも走ったら、この先の徒競走とかは大丈夫なのか?」

「何言ってるのよ、赤井」


 その声は今まで会話に入ってこなかった篠崎だった。

 そういえばさっき紅と話をしていたような……。


「あの紅が、10キロ程度でへたるような娘じゃないくらい分かるでしょうが」


「え?」


 思わず間を置いて返したが、そりゃ一体どういうことだ?

 紅は曲がりなりにも女子、いくらすごいと有名でも……。


「紅さんは中学二年のころからずっと出続けているらしいですよ。これに」

 相馬が篠崎に補足説明する。


「それだけ、認められた娘なの。紅は」


 実を言うと、紅の才能を詳しく見たことが無い。


 だから、半信半疑だった。


 この時までは。

お土産はきび団子っ!!

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