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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
36/144

~間之スポ開催、の観戦者たち。~

またしても投稿が……。


ということで今回は文字数が多めです。

 6月24日(金)、間之崎学園。


 その日の間之崎学園は、一味違っていた。


「優勝、するぞー!!」

『おぉー!!』


 そんな掛け声が辺りから響いてくる。


 そう、今日から三日間。

 間之崎スポーツカーニヴァル(V発音注意)が始まるのである。


「まったく、燃えあがってんな」


 何故か、ここにいると、


「俺もいっちょやるか!!」


 テンションが上がる。



「さて、今日は皆さんお待ちかねの間之スポですっ!!」

『イェーイ!!』


 クラスのみんなもテンションがマックスまで上がっている。


「絶対勝つぞー!!」

『おぉー!!』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 場所は変わってここは間之崎スポーツカーニヴァル観戦用スタジアム。

 間之スポは非常に大きなイベントであるため、観戦者も非常に多い。そのため、このような大きなスタジアムから巨大モニターでの観戦となる。また広範囲で同時に色々な種目が開催されるため、手元にも小型のモニターを手渡される。(ちなみに、壊したりしたら弁償しなければならない)


「さてさてぇ、始まってきたねぇ」

 そのとある一角。


「あいつ等は、全く遅いんだからよぉ」

 座っている男は目に白い包帯をくるくると巻いており、おそらく目は見えていないのではないかと思われる。どうやってここまで来たのであろうか。


「たしかこの辺か? A-23ってのは」

「ほら、椅子に書いてあるわよ」

「お兄ちゃんが見られるよー!!」

 その包帯を巻いた変な男の横にとある3人家族が座り込んだ。

 家族は父と娘二人の3人のようだった。

 父は普通の感じだが、娘は二人とも天真爛漫な感じだった。


「お前にしては珍しいな。自分の金使って俺達を呼び寄せるとは。しかも、ここS席レベルの良い席じゃないか?」

「そりゃそうだなぁ。お前らのほかにも色々呼んでんだぜぇ? ちったぁ感謝しな」

 3人家族の父親と思われるほうが、目に包帯を巻いた男と話し始めた。


「ところでよ、それ、お前見えてんのか?」

 父親と思われるほうが包帯の男に聞いた。

「これは日光を遮断するためだ。こいつの後ろから少しは見える。観戦するときは外す」

「そうか。まさか家族全員呼んでくれるとは思わなかったな」

「言っとくが、呼んだのはお前達だけじゃないからなぁ?」


 包帯の男がそう話していると、その反対側にもある家族が来た。


「父さん、しっかりしてくれ。一年に一度の娘の晴れ舞台だろうが」

「あぁ、空が眩しいな。別にネットの中継で良くないか?」

「せっかく招待状をもらったんだから良いだろ」


 それは息子と父の二人組のようで、息子は好青年のような男、それに比べて父親は髪もぼさぼさ、目には隈がありどこか山奥から出てきたような感じだった。


「ありがとうございます、さん」

 その息子のほうが包帯の男――――、白道に礼をする。


「気にすんな。これは全部あの事件のとき祈にもらった金だからなぁ。あれは俺一人じゃあどうしようも出来なかったからな、別に構わない。それに、人類最強のアンタに借りを作るのも、悪くねぇ。さんよぉ」

「殊勝な心がけだな。ぜひとも普段からそうしてくれ」

 紅桜ではないほうの白道の隣の男が笑う。


、手前もちったぁ俺に感謝しな」

「ツキ、心があいかわらず小さいなぁ。俺とお前の仲だ。連れない事言うなや」

「ツキって、この人が白道さんなの?」

 は白道と肩を組む。


 太陽の隣の小さな女の子は白道の顔を覗き込んでいる。


「彼女が、もしかして……」

「あぁ、俺の妻、美月だ」

「こんにちは」

 娘のように見えた小さな女の子の一人は、太陽の妻、美月だった。


「話は太陽から聞いてる。しかしまぁ、本人の前で言うのもなんだが……、お前、本当に犯罪じゃないのかぁ?」

「黙れ、お前には美月の魅力が分からないのか?」

「そんなに褒めないでよ太陽ぉ」

「多分その魅力が分かったらやばい気がするんだが」

 白道は旧知の友の一面に頭を抱える。


「はくどうさんですか? このたびはよんでくださってありがとぉございます」

「そういう君は葉月ちゃんだね? 練習したのかい?」

「そうなのですよっ!!」

「……太陽にはもったいない可愛い子だな。結婚したくなってきた」

 うるせー、と口を尖らせる太陽。


()()()ももう一人前に仕事してるんだから、お前もいい加減結婚しろよ」

「いや、ちょっとまだアイツってのは心の準備が……」

「さっさとしろよ? お前おっさんになるぜ?」

「もうかなりやばいさ。そうだな……、これが終わったら、本気で考える」

 白道は少し考え込む。


「お前も結婚しろよ」

「父さん、俺はまだ大丈夫だから」

「そう言ってる間に時間は過ぎていくぞ。俺みたいな男でも母さんみたいな素敵な女性と結婚できたんだ。母さん……」

「現実を、受け止めろ」

「もう死んじまったもんなぁ……、呼んでも誰も答えてくれないもんなぁ……」

「母さんというのは、杏奈あんなさんのことですか?」

 紅桜とその父親が話している最中に考え込んでいた白道が入った。


「知っているのかい?」

 目に涙を浮かべながら桜の父親が聞く。

「まぁ、同じ職場だったからな。確かにありゃぁ、良い女だったと思うぜぇ」

「だろお?」

 正気の無いようなうつろな目で賛同する。


「しかし、あの女が一部では有名なアンタの奥さんとはなぁ」

「俺はただ、パソコンが好きな大人さ。幼馴染の杏奈は、そんな俺を認めてくれた唯一の女だったからなぁ……」


 この男は、くれない火切かぎり

 firecutterという最強のハッカーと呼ばれている。

 この場合でのハッカーというのは、クラッカーと違い善意を持つ者である。


 一人の男が悲嘆に暮れていると、ドン、という空砲の音がする。


「はじまるみたいだよっ!!」


 葉月ちゃんの声で全員がモニターを見ると、どうやら開会式が始まるところのようだ。


「さて、俺も外すか」

 白道も目に巻いていた包帯を外した。

8月15日まではペースがこんな感じになります……。

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