~十島に訪れるはずの残酷な運命。~ (2)
「お前、どうやって外にいたこいつらを倒したんだ?」
十島を捕まえようとしていた男は目の前の染山に警戒を強めていく。
「別に、十島の家に行こうとしたら何か変な服着た柄の悪いおっちゃんたちがいてさ、何かあったのかと思ったら一人が十島の家に入ってったじゃん。そんで俺も行ったら、ガキはさっさとどっかに行っとけって言われたんじゃん。それでも行こうとしたら、なんやかんやでちょっと戦闘ってきた」
「なんやかんやってなんだよ!!」
「まぁ、ちょっと無理に行こうとしたじゃん」
「それにしても……、どういうこった? あいつらがそう簡単にやられるとは思えないな。一体、何をしたんだ?」
そうして男は懐にあった黒光りする金属、拳銃を右手で染山に向けた。
「紫瀬!!」
「心配するな、じゃん」
染山は十島に右手の親指を上につきたてて見せた。
「駄目、紫瀬。落ち着いて。これは僕の問題だ。気にしないで、そして帰って」
「そんな目で言われて黙って引き下がるような奴は本当の友達じゃないじゃん」
えっ……。
気がつくと、目から涙が溢れていた。
あ、れ――――――――。
こんな不意打ちであっちゃったから、かな……?
駄目だよ、茶仁。ここで気を迷わせちゃ。
もうお別れするんだから。
拳銃の一撃だ、 僕が庇わなければ、紫瀬は死ぬ。
こういう死に方かなー。
「あー、俺に銃はほとんど無意味な脅しだと思うじゃん?」
そういって紫瀬は一歩、また一歩と男と十島に近づく。
「それ以上近づくと、撃つぞ」
「構わないじゃん?」
男は引き金を引き絞る。
そして、染山が動きを見せた。
何の意図も無い一歩を踏み出したのだ。
「紫瀬!!」
その瞬間十島が染山を庇うように前に出た。
「っ馬鹿!!」
だが、そんな十島を更に押しのけて染山は前に出た。
その瞬間、チュンと消音機の音が部屋に響いた。