~十島は過去を振り返って改めて教訓を思い出す。~
またも更新が途切れ途切れでしたが、明日からは通常運転に戻せると思います。
多分。
「僕は多分、一番やっちゃいけないことをしたんだー」
「一番やっちゃいけないこと?」
「うん。僕の才能、知ってるでしょー」
十島の才能は“閃”っていう見たものに対する答えをどんなものにでも返せるある種最強の才能だったはずだ。
「僕はねー、この目で自分をー、自分の寿命を見ちゃったのさー」
「寿命を?」
「そうー。興味本位だったんだけどねー。見てからすごく後悔したよー。そんなことしても誰も得しないー。するのは損だけー。まったく理にかなっていないのさー」
「だが、それがどう関係するんだ?」
「それがー、意外と関係するのさー。僕はこの才能の本当の恐ろしさ、運命の強制力ってものをー、思い知ったわけなんだー」
3年前の7月4日(金)、間之崎学園。
明日は、忘れもしない。
7月5日。
――――――――、僕は明日、死ぬ――――――――。
「紫瀬ー、今日は大切な話があるのー」
「何じゃん、藪から棒に」
金曜日の放課後、十島は染山を引きとめた。
「紫瀬、明日は絶対に、絶っっ対に、僕の寮から離れたところにいてね」
「? 何でだよ」
「何ででもー。とにかく絶対だから。それと、」
十島はそこまで言うと教室から走り去った。
そして、教室から出る間際、
「今までありがとう」
と呟いた。
「訳分かんないじゃん……」
教室に一人取り残された染山の声は響いた。
「やっぱり、泣いちゃったなー」
十島は急いで教室を出て、急いで自分の寮へと向かっていた。
その目に、大粒の涙を浮かべながら。
「きっと、怪しくなかった、はず。これで、紫瀬に、危害は及ばない」
走って泣いて、息も絶え絶えになったまま、十島は寮に着いた。
本当は僕の死因まで分かったらよかったんだけどなー。
十島は覚悟を決めて、自分の死因も“閃”で視ていた。
だが、その答えは不確定というものだった。
今まで十四年間生きてきて、こんなことは初めてだった。
外れることなら稀にあったが、不確定と言い切られたのはこの時だけだった。
ちなみに、この寿命に関しての“閃”は、外れている気がしなかった。
こういうときは絶対に当たるのだ。
何故だか知らないけれど、このときは外れている気がしなかった。
「人に迷惑をかけるような死に方だったら嫌だなー」
正直今の十島にはそのことが気がかりで仕方が無かった。
自分が死ぬのは分かる。
分かりたくもないけれど。
でも、自分以外の人まで死ぬのは嫌だ。
申し訳ない。
「本当ー、自分で視といてなんだけどー、空しいよなー」
その日、十島は一人部屋にこもって、泣き続けた。
というわけで突然の十島過去編!!