~間之スポに対する姿勢にも赤井は驚く。~
5月26日(木)、間之崎学園。
「今日から“間之スポ月間”ですよ!! 思う存分、準備に精を出してくださいね!!」
朝のHRでいきなり富士先生が訳のわからない発言をしだした。
「分からないだろうから言っておくけど、“間之スポ月間”ってのは、この日から一ヶ月間は“間之スポ”の準備が熾烈になるってこと」
「……、ま、準備が始まったって考えとけばいいのか?」
「そうね。この日から部、同好会、各種委員会、それに私達くらいの高学年だとそれ以外でも仕事が回ってくることになるわよ」
「大変だな」
今から一ヶ月間はかなりここがごたごたするのか。
「後、今日は放課後に応援練習がありますから。頑張ってくださいね♪」
最後に今日の報告をして、朝のHRは終了した。
「今日私風紀委員の仕事でみんなと一緒に食べられないから」
「俺と十島も同好会関連で動かなくちゃならないじゃん」
「私は生徒会の仕事があるから」
そう言い、紅、染山、十島、篠崎は昼休みに慌ててどこかへかけて行った。
「しかし、紅が風紀委員で、篠崎さんは生徒会とわな」
残った赤井、藤崎、天音、相馬は食堂で昼ごはんを食べていた。
「それよりも、食堂も結構静かになったなぁ」
藤崎がそういうのも無理は無い。
普段は人がいっぱいで混雑するほどの食堂が、ほとんど行列を作っていない。
「……皆、他の場所で食べたり出来るように……、弁当とかにしてるんじゃないかな……」
「ですが、これを見ると“間之スポ”が始まるなという気になりますね」
どうやらこの時期の食堂の光景は皆にとっては当たり前らしい。
そうして昼休みは、特に何が起こるわけでもなく終わった。
問題はその日の放課後だった。
「応援練習って言っても、具体的には何するんだ?」
「そればっかりは応援団長によってまちまちだから、わかんないじゃん」
俺達は応援練習のために校庭に集まっていた。 見ると、他の学年の生徒も集まってきている。どうやら、紅色のチームは全員ここに集合するようだ。
集まった後は整列して座り、そのまま五分ほど経つと朝礼台のところに誰かが上った。
「今日はわざわざ放課後に呼び集めてすまなかった!! 今から俺達紅色の状況を説明しようと思う。まずは、俺が紅色の団長だ!!」
その男は右手を天に掲げた。
『おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
と、地鳴りのような歓声があたりに響く。
「やっぱり生徒会長が団長になったんだ!!」
「これは俺達の勝利が間違いないぜ!!」
という声も、辺りから聞こえてくる。
朝礼台に上ったその男とは、生徒会長高原衣その人であった。
「ていうか、団長と生徒会長なんて両立できるのか?」
「あの人ならできるじゃん!!」「出来ないことは無いって!!」
素朴な疑問は熱狂的なファンによって潰された。
というかやっぱり、ここの生徒会長の支持率が高すぎる気がする。
これがカリスマ性なんだろうか。
「次に、俺達の応援団長を紹介したいと思う!! さぁ、上がって来い!!」
「おうよ!!」
颯爽と声を響かせて、もう一人の男が朝礼台に上がってきた。
「彼の名前は――――――――」
「いい。俺が言う」
高原さんが説明しようとしていると、その男はマイクを取った。
「俺の名前は宴宗十郎。まぁ、見ての通り隣に立つ生徒会長とは打って変わって無名の新人だ」
宴、と名乗った先輩はゆっくりと語る。
「だが、この“間之スポ”にかける意欲は、誰にも負けねぇ」
宴先輩の目はとてもギラギラとしていた。
「手前等ぁ、この祭りに、いやこの宴に、命をかける覚悟はあるかぁ!!!」
『おおおぉぉぉぉ!!!』
「おおおぉぉぉぉ?」
赤井は一人そのテンションについていけずにいた。
命かけるレベルなのかこれは?
「じゃあ手前等、今から応援の練習するぞ!!!」
『おおおぉぉぉぉ!!!』
このテンションで小一時間応援の練習をした後、ようやくこの集会は終了した。
最近赤井君驚いてばっかりですね。
異文化とのふれあいというのは得てしてこーゆーものなのです!