~Princessな天音、Knightな藤崎。~
完結編、です!!
謎がまた一つ解けましたよ!!
「さて、どこから話したらいいのかな?」
「やっぱり、女子なんだな……」
帰り道に赤井、天音、藤崎の三人で帰っていた。
「言っておくが、変な気を起こすなよ?」
やはり藤崎は普段とは思えぬ気迫と目つきのままである。
「俺だって人の彼女取るようなまねはしないっての」
「なっ!! 俺は別に、お嬢と彼女って訳じゃ――――――――」
「(じー)」
「お嬢?」
「(じじじー)」
天音は藤崎をジト目で見ている。
「と、とにかくです。お嬢、状況を早く説明しましょう」
「むー。大切なことなのにー。……、分かった。最初から話すとなると、やっぱり私の家系から話さなくちゃならないよね」
天音は少しむくれるも、語り始めた。
「私の家系は代々極道と呼ばれるやつでね」
「ヤーさんとか、マフィアでも思い浮かべとけ。ちなみに俺の家系はその天音家に代々使えてきた藤崎家だ」
「マジで!?」
そんなやつがこの間之崎に!?
だから藤崎が本気で睨んだときにヤーさんレベルのような目つきだったのか。
「私の家系は代々男が頭領としていたんだけど、私の父の代は何故か女子しか生まれなかったの」
「仕方ないから長女であるお嬢が、跡取りのために男として暮らすことを余儀なくされたって訳だ。ちなみに俺は、お嬢を守るために同年代として派遣された。才能もあったからな」
「じゃあ、天音はそのボスの娘って訳なのか。だから、お前がお嬢って呼んでるんだな。ならよ、そんな簡単に学校に入れてくれるもんか? 戸籍上は女子なんだから」
最近のよくある話じゃないんだから。
そう簡単にはいくまい。
「もちろん、普通の学校なら不可能。だけど、ここの学校は一風変わってるから」
「天音のお爺様、雷次郎様はここの校長間之崎龍次郎と知り合いでな。ここの校長は享楽主義というか、そういう訳ありの生徒も普通に受け入れるんだよ」
実際、赤井も無茶だと思えるような転校をしている。
十分納得できた。
「一つだけ聞くけどよ、それでいいのか?」
女子としての楽しみを楽しめないなんて、窮屈だろう。
「良いわけないだろうが」
天音の顔をちらりと見て、藤崎が言う。
「俺は、俺の本音はお嬢に女子として生活してもらいたい。だから、俺は天音の父さんに食って掛かったのさ」
「そりゃ凄いな」
「だがな、頭領、天音の父さんはちゃんと考えていた。ここ、都市のシステムが厳重なのは知ってるな?」
「ああ。親族でも入るのはかなり厳しいとか何とか」
「だからこそ、そのシステムの裏をついたのさ。つまり、今天音の姿を知ることが出来るのは、俺達だけってことになる」
「それがどうしたんだよ」
「焦るな。つまり、天音の組からは天音の姿が実際には分からないんだ。頭領はその間に天音の影武者を養子に引き入れる予定らしい。少し顔が変わってたとしても、成長したでごまかせるからな」
「なるほど!! 凄い策だな。そうか、だから誰にもこの秘密を知られたくないのか。じゃないともしかしたらこの入れ替わりがバレるかもしれないから」
よく出来ている。
天音のお父さんも天音同様頭は良いのだろうか。
「とはいえ、間之スポみたいな行事もあるから、学生生活の間は我慢してくれとは言っていたがな」
「だから、学生が終わったら二人で生活するんだよねー☆」
「ぶっ!!」
どんだけラヴラヴなんだこいつらは。
さっきの口調からして幼馴染のような存在だろうし。
「い、いや!? お嬢!?」
「その『お嬢』って呼び方も仰々しいからやだ。今まで通り天音って呼んでよ。二人っきりでもさ」
天音はそういいながら藤崎の左腕の自分の右腕を絡める。
「ま、待てって!!」
藤崎も相当焦っている。
しかし、本当にこいつらはラヴラヴなんだな。
赤井は遠目で達観したように二人を見ていた。
恋愛っぽい?
かもしれませんね。