~豹変するのは二人とも?~
「藤崎、話がある」
放課後、あのことについて藤崎に赤井は話しかけていた。
「余計な詮索はするなと言っただろ」
座っていた藤崎は、やはり鋭い目つきで返した。
「残念だが詮索させてもらう。とりあえずだが―――――――――――――」
「天音は女子なんだろ?」
よく考えればおかしな点はいくらでもあったのだ。
着替えのときにいつも必ずいなかったり、たまに女子のような悲鳴を上げたりしていた。
「そこまで気づいているというのなら、俺も、口封じをしなければならないんだがな」
藤崎はゆっくりと手元にあったプリントを持って立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!! 別に俺は誰にも話しちゃいない!! それはお前が見張ってたから証明済みだろ!?」
今日は一日、藤崎の視線を感じて正直相当つらかった。
普段の藤崎からは想像もつかないような視線だった。
「これから、バラすとも限らない」
「そんなことするか!! お前達が隠していたいっていうなら俺は何もしないっての!!」
赤井は藤崎の圧力に呑まれながらも、大声を上げることで萎縮を防いでいた。
「それに、どうしてそんなことしてるんだよ!! 天音が女子として生活しちゃいけない理由でもあるのか!?」
「詮索はするなと、言った筈だ」
藤崎は持っていたプリントを上に振り投げようとした。
その時、
「藤崎、待って!!」
と、後ろから藤崎を止める声が聞こえてきた。
「天音……」
藤崎を止めた相手、天音は俺と藤崎の間に入ってとおせんぼのような形をして赤井を守っていた。
「勝手な推測だけど、赤井君は信じられるような気がするんだ。だから、話してもいいんじゃないかな」
珍しく、天音がはきはきと喋っている。
その声は透き通っていて、やはり女子のものだった。
「どこまで話すおつもりで?」
藤崎が天音に聞く。
心なしか、藤崎の天音に対する態度が少しおかしいような気がする。
まるでどこかのお姫様とその騎士のような。
「全部話しておいたほうが良いんじゃないかな」
「ですが……」
「いいの。じゃないと赤井君も、ずっと何で私達がこんなことをしているのか気になりっぱなしでしょ?」
天音がそういうと、こちらを振り返った。
「別に藤崎だって好きで始末しようとしてたわけじゃないし。今から話すことは、赤井君を信用して話すから。ちょっと衝撃かもしれないけど。とりあえずここは誰かに聞かれるかもしれないから、帰り道に歩きながらでも話そうか」
天音は自分のかばんを取ると、赤井と藤崎両方の手をとって教室から出て行った。
次回に謎が明らかに!?
多分。
早めに更新します。