~テストは終わり、間之スポの準備は始まり、赤井は発見する。~
「まさか天音の得意なジャンルがゴシック系だとわな」
「う……、悪い……?」
「それ言うなら赤井君は普通じゃん」
「染山はラップ調っぽいっつーか、いかにも若者が好きそうって感じだったよな」
「お前若者じゃないじゃん?」
「しかし、篠崎さんは意外にアニソンに詳しいのですね」
「まったく、私も知らない曲ばっかだったわよ」
「そんなことより、カラオケで百点たたき出すような相馬のほうがどうかしてるわよ」
カラオケに行った後、みんなすっきりとした表情で帰っていった。
「あ、そうだ。聞きそびれてたんだけどさ」
そして寮に帰っている途中、赤井が紅に聞いた。
「何?」
「“間之スポ”って一体何なんだ?」
テスト初日にそんなことを富士先生がいっていた気がする。
「あー、簡単に言うなら運動会みたいなもんよ」
「そうか。ありがとうな」
どうやらあの口ぶりだと一学期に運動会があるらしい。
そのままある程度会話した後、お互いの部屋に戻った。
5月24日(火)
間之崎学園に行ってみると、校舎を見上げるようにして人だかりが出来ていた。。
「一体何があったんだ?」
「訪れたようね。この時期が」
紅は何か知っているようだ。
「一体何の時期なんだよ」
「昨日話したじゃない。“間之スポ”よ。そうね。色分けが決定されている頃かしら」
紅も人だかりに近づいていった。
「おいおい、待てって。もっと説明してくれよ!!」
慌てて赤井も追いかける。
校舎には垂れ幕のようなものが掛かっていて、1-B、2-A、3-Aと書かれているほうに紅と、1-A、2-B、3-Bと抱えてあるほうに白と書かれていた。
「もしかして、運動会の色分けか?」
みると、やった!! 今年はあの生ける伝説生徒会長と同じ色だ!! のような声が聞こえてくる。
「運動会じゃないわ。“間之スポ”よ」
「だったらその“間之スポ”ってのは何なんだ!?」
「正式名称“間之崎スポーツカーニヴァル”。この学園で1,2を争うメインイベントよ」
「どおりで気の入りようが違うと思ったら……。にしても入れすぎじゃないか? まだ競技の話ですらしてないのによ」
「え? 他の学校もこんなのじゃないの?」
いや、まだほとんど始まってないのにこの盛り上がりようはおかしいと思うんだが。
なんだか蒸し暑いような熱気を感じながら教室へ入った。
「えー、皆さん見たと思いますが、“間之スポ”の色分けが決定しました。私達の色は紅です♪ 頑張りましょう♪」
『うぉぉぉぉぉ!!』
凄い勢いでクラスが盛り上がった。
「すみません赤井君。外からきたあなたに少し聞きたいことがあるのです」
「何だ?」
「外の世界の運動会も、こんな風ですか?」
「な訳ないだろ。ここの生徒は祭り事好きそうな感じするからな。そのせいだろう」
「ですね。安心しました」
どうやら相馬だけはこの空気をおかしいと分かってくれた。
何事にも常識人は必要だよ、うん。
さて、今日の四時間目は体育である。
ようやく俺もここの学校の体操服を手に入れ、体育にちゃんと参加することが出来る。
ちょっと恐ろしいが。
「さて、今日も頑張るじゃん」
「ほどほどにねー」
「まったくだ。あ、トイレ行きたいんだが」
グラウンドに向かっている途中、トイレに行きたくなった。
「確かこの辺ってあんまり使われて無いトイレが……。右行って突き当たりくらいじゃん」
「分かった。ありがとう!!」
走ってトイレに向かう。
そのままトイレのドアを開けようとしたとき声がした。
「藤崎?」
そのドアは開けようとする前に勝手に開かれた。
「って、天音? ……天音?」
目の前にいたのは、上半身を裸にして着替えている最中の天音だった。
そして天音は何故か胸にさらしを巻いていたようで、胸の辺りに巻いていたであろう布が少し残っていた。
天音の顔が何故か真っ赤になっていく。
「――――――――――きゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
天音は金切り声のような悲鳴を上げると、思い切り空気中に放電した。
今回からは天音編!!
まぁ、読者の皆さんのほとんどは秘密ぐらいもう気づいてますよね……。