~テストとは人をおかしくする幻術の一種である。~
今回はバカとテストと召喚獣のパロっぽいところが入っています。
ではではー。
「うおぉぉぉぉ!! テストだぁぁぁ!!」
このクラスの特徴その一。
テスト前に無駄にテンションが上がる。
「も、もう駄目だ……」
このクラスの特徴その二.
テスト前に地獄にでも行ってきたような顔をしている奴がいる。
「主よ……。我を助けたまへ……」
「観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時……」
このクラスの特徴その三。
テスト前に色々な宗教の色々な祈りの言葉が聞こえてくる。
今回の中間テストは五日間に分けられて行われる。
基本正午くらいに帰ることができるが、何より教科が多い。
テストが二つある(英法と英解のような)ものも含めると、11教科もある。
三年から文理で分かれるのが原因だろうが、流石進学校である。
初日、一時間目は化学だった。
『次の分子式の名称を答えなさい。Na2CO3』
赤井の答え。
「炭酸ナトリウム」
コメント。以下省略。
[正解です。CO3が炭酸であることさえ知っていれば簡単ですね]
藤崎の答え。
「炭酸な」
[どうして炭酸まで分かってナトリウムが分からないんですか?]
染山の答え。
「エヌエーツーシーオースリー」
[読み仮名ではありません]
二時間目、現代文。
『次のカタカナを漢字に直しなさい。フリョクの大きい船を設計する』
染山の答え。
「浮力」
[正解ですね。特に言うことも無いでしょう。]
赤井の答え。
「腐力」
[どうなんでしょうかね。生ごみの力でも使うんでしょうか、それとも別の力を使うんでしょうか]
藤崎の答え。
「風慮玖」
[よくその字が書けました]
三時間目、世界史。
『古代中国の戦国時代を統一した国名を答えなさい』
赤井の答え。
「秦」
[秦の始皇帝という言葉はかなり有名ですからね、正解して欲しいものでした]
染山の答え。
「心」
[心の通ったいい国だったんでしょうね]
藤崎の答え。
「真」
[ラスボスでしょうか。それともパワーアップしたのでしょうか]
そうして今日のテストは終了した。
「って藤崎やばくないか!!」
「いつものことだから心配するな……」
藤崎は放心状態になっていた。
「あんなに勉強……、教えたのに……。二人っきりで……。個人レッスンが必要……」
「ぶっ!!!」
天音の親切からの発言に、藤崎は飛び起きた。
「おいおい、どうしたんだよ」
「い、いやいやいやいや、天音、そういう発言はどうかと……」
「だってそうでしょ?」
さっきから藤崎がやけに慌てている。
何があったのだろうか。
「とにかく……、今日もみっちりと教えるからね……」
テスト二日目、三日目もこの調子で過ぎていった。
だが、明らかにみんなの体力の低下が見て取れた。
藤崎に至っては煙が出てるし。
「俺達は一体何と戦ってるって言うんじゃん!!」
注:テストです。
「やってられるかぁぁ!!」
「うぉぉぉぉ!!」
明らかに同類と思えるような奴らはテンションがおかしくなっている。
そんなクラス中がおかしくなったまま、テスト最終日を迎えた。
「藤崎ぃぃぃ!!」
藤崎はもうすでに生きているのか死んでいるのか分からないような顔をしていた。
「お前の仇はかならずとるじゃん!!」
「これが最後の戦じゃぁ!! 者共、準備はいいか!!」
『うぉぉぉぉぉ!!』
もうテンションは深夜のノリだった。
そうして、テストは終結を迎えた。
「は、あはははははははは!! 終わった、終わったのだよ!!」
藤崎は急に生気を取り戻したように復活した。
「遊ぶぞぉぉぉぉ!!」
『おぉぉぉぉ!!』
「皆さん、遂にテンションがおかしくなりましたね」
相馬は傍観している。
「まったく、紅ですらあの様子よ」
篠崎が指差した先には、右手を天高く上げて喜ぶ紅の姿があった。
「カラオケに、行くじゃん」
「発散するぜ!!」
「ひあうぃごー!!」
染山、藤崎、赤井がいつものグループでカラオケに行こうと誘ってきた。
「せめてもの常識人だと思っていた赤井君ですらあのざまですか。いやはや、テストとは恐ろしいものです」
「でもー、カラオケは楽しみー」
「久しぶりね、行きましょうか」
「もちろん私も行くわ!!」
「ちゃんと、歌えるかな……」
全員の同意も得て、カラオケに行くこととなった。
テストとは恐ろしいものですよね。
本当に嫌で嫌で。