~鍵音と高原、恩人に想う。~
久しぶりです。
やっと新生活で落ち着きました。
続きの展開が不安ですが、きっと大丈夫、と信じたい。
その後。
開口一番紅はこう言った。
「それ、赤井全然悪くないじゃない」
「お、おいおい、俺のせいで何の関係の無い女性や、翅村さんが……」
「……Mr.バッドエンドの名は伊達じゃないって事ね。傍から聞く限りじゃあ、赤井が悪いところなんてどこにも無いじゃない。結局巻き込まれ型なのね、とは思ったけれど」
紅は、何が言いたいんだろう。
「だから、どういうことなんだよ」
「話術、なのかしらね。赤井が全ての元凶みたいな言い方を延々されたんでしょ? トラウマになるレベルで。私だって中学生のときにそんな経験したら鬱になるわ。でも、私が証明する。赤井は悪くない」
「で、でも……」
「いいの!! 私が証明するって言ったでしょ、どんなことがあっても、私は赤井の味方でいてあげるわ」
彼女は俺の目を見てそう言った。
とても、強い目だった。
「信じて、いいのか?」
「当たり前よ」
その頃。
「何の用ですかね、Mr.バッドエンド」
「随分つっけんどんな態度だなぁ。俺は君の事をそれなりに気にかけていたんだよ?」
夜道を歩く二人に、Mr.バッドエンドが声を掛けていた。
「出来れば俺がこの“支配"の才能を失ってた時に奪われたその“神視点”……いや、“観測者”、返して欲しいんだが。高原」
「私は、貴方の“支配”の呪縛から解き放たれたんですよ。姫ちゃんのおかげでね」
「ええ、貴方なんかに私たちは負けない!!」
二人、高原と姫岸がMr.バッドエンドに食って掛かる。
「つーか、それは俺がお前に与えた才能だろう。借りたものは返せや」
「貴方が私にこの才能を与える代わりに私に何をさせていたのか、お忘れなんですか?」
「お忘れだよ畜生が。たかだか齢18の糞餓鬼が、俺様に向かって何言ってんだ? 今ここでもう一度支配し直してもいいんだぜ?」
「出来るものなら」
高原は挑発の姿勢を崩さない。
「はっ。OKOK。分かったよ。今お前と事を起こすのは面倒だ。ったく、どいつもこいつも赤井に感化されてんのか? 今日のこれは挨拶とでも思っとけ。俺が、帰ってきたとな」
Mr.バッドエンドはやれやれ、といった風に首を振ると、そのまま瞬間移動でどこかへ消え去ってしまった。
「赤井に感化、か」
「彼は私たちにとって恩人、当たり前よ」
「そうだね、Mr.バッドエンドに支配されていた俺たちを救い出してくれたわけだし」
「どうするの?」
「赤井君のサポート、だな。アイツがここに来たのは赤井君への復讐だろうし」
そうして高原は空を見あげて、考えを巡らせていた。