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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
139/144

~Mr.バッドエンドの本領。~(2)

 三時間後。


 先ほどの女子高生は泡を吹いて失神していた。


「……アンタ、すげぇよ……。あんな絶叫聞いたことがねぇ……。師匠と呼ばせてくれ!!」


 男は感動していた。


「おいおいおいおい、この程度で感動してくれるなよ。まだまだ本気じゃないぜ? この女の子、絶命して無いだろ?」

「殺すところまで行くんですか!! 師匠は一味違うぜ!!」


 二人は外道の会話を繰り広げていた。


「じゃぁ、この女を誘拐してきてくれ」

「分かりましたぁ!! 他に情報は?」

「間之崎学園の中等部2年だ。名前は――――――――――――――」




 更に数時間後。


「俺はどちらかと言えば待ち伏せる方のタイプなんだけどなぁ」

 男は間之崎学園の校門前に立っていた。


「ま、とりあえずいっちょ暴れますか!!」



「お姉ちゃん、今日の晩御飯何にするの?」

「そうねぇ、カレーにでもしましょうか」

「やったぁ!!」


 ……あれか。


 あの姉の方が、俺のターゲットか。


 見張り始めて数時間後、ようやくターゲットが門から出てきた。


「感動を禁じえない最悪に、褒め称えられるために。才能を、惜しげもなく」


「長口上もする気は無い。使わせてもらうぜ、“こことそこを繋ぐ扉(ボーダーゲート)”」


 さぁ、奪い取ろう。


 その矜持をもって。


「……何、ですか?」

「……?」


 姉妹は不思議な顔をして、急に目の前に立った俺にいぶかしげな視線を送る。


「新たな扉を開こうぜ? もっと新世界へ。開けよ“黒扉シャドウゲート”!!」


 瞬間、男の影がうごめきだし姉と男の足元に黒い円を作り出した。


 そしてズブリと影の中に二人が落ちる。


「えっ? 何これ―――――――」

「お姉ちゃん!?」

「さようならだ、永遠にな」


 男と姉は影の中に飲み込まれ、黒い円は閉じ、跡形も無く全て消え去った。


「え、お姉ちゃん、千里せんりお姉ちゃん!?」

 一人残された妹は、ただ叫ぶことしか出来なかった。




「よっと」

「きゃあ!!」

 その黒い穴の先は、あの部屋へと続いていた。


 空中にはぽっかりと先ほど通ってきた黒い穴が浮いている。


「おー、お帰り。しっかしお前のその才能も羨ましいかぎりだな」

「師匠に言われたくないな。あんたの方がよっぽどだ」


 ハハハハハハハハハハ、と二人の笑い声がこだまする。


「な、何? ここ、どこ?」


 妹に千里と呼ばれた姉は辺りを見渡してわめいている。


「じゃ、ここからは俺の時間だな。It's show time!!」


 待っていたのはMr.バッドエンド。


 始まるのは絶望。


「アンタの身も心も支配する、ちょっととっておきの方法を思いついた」


 両手を広げ、満面の笑みで近づいてくるMr.バッドエンド。


 感じたのは、忌避。

 薄気味悪さ。


「ひっ!」

 思わず後ずさりするが、そもそもここに出口はない。


 あっという間にMr.バッドエンドに組み伏せられてしまう。


「さぁ、俺と目を合わせな」

「え……?」


 正直言ってこんな気味の悪い雰囲気の男と目なんか合わせたくなかったが、組み伏せられているため仕方なく目を合わせられる。


「さぁ、準備は整った」

 Mr.バッドエンドは目を合わせた後で立ち上がり、懐からナイフを取り出した。


「え、まさか、私を、殺す気……?」


 立ち上がった千里はすぐにMr.バッドエンドから離れるように距離をとる。


「無駄無駄。どれだけ距離をとってもな。既に全ての準備は終了してるんだよ。あ、きっと君はもう二度と普通の精神じゃいられないだろうから、先に疑問を解消しとくぜ? どうやって君がここに連れてこられたか疑問に思うんじゃねーのか? それは、ここにいる男の才能、“こことそこを繋ぐ扉(ボーダーゲート)”による」


「ちょ、師匠!! 俺の才能を勝手に公開しないでくださいよ!!」


 ここまで千里を連れてきた男が声を掛けるが、それを無視して話を続ける。


「いーだろ別に。この男の才能は、入り口と出口を繋ぐ扉を一つ設定できる。この黒い円状の物がそれさ。入り口用の黒い円と出口用の黒い円をこいつはもっててな、どれだけ離れていようと設定した場所ならその円にもぐる事で反対側の黒い円のほうに行けるって才能だ。都市伝説とかなってる“悪魔の誘拐”ってのは、これを応用したもので、出口をここに設定しておいて、入り口だけ路地から少し出したところに作っておけば、落とし穴のように相手がここに滑り込んでくるって寸法だ」


「言っておくけどそんないいもんじゃありませんよ。入り口と出口の設定は必ず一つしか出来ませんし、どちらかを動かすにはもう一方を固めておく必要があるんですから」


「それで、君もこの男が持ってきた入り口を足元に仕掛けられて、ここに落ちてきたって訳だ。分かったかな?」


 千里は、この男たちが何を目的にしているのか分からず、困惑していた。


 そもそも才能を話して何の意味があるのだ?


 すこし部屋に目をやったが、黒い円はこの部屋からなくなっている。


「出口は塞いである、というか今俺が閉じてるから、出れるとか思わないほうがいいぜ?」


 ……無理か。


 考えが読まれたことに悔しさを感じる。


「よし、少し心はほぐれたかな?じゃ、始めるぜ? そんじょそこらの拷問よりえぐいから覚悟しとけ」


 Mr.バッドエンドはそういうと、いきなり自分の右腕に持っていたナイフを突き刺した。

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