~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(33)~
「危ない!!」
その動きに一番早く反応したのは崩野だった。
「ぐっ!?」
Mr.バッドエンドの手から拳銃が弾かれて飛ばされた。
懐から拳銃を取り出していたMr.バッドエンドは、圧縮空気を手元に直撃させられたのだ。
「でも終わりだ」
次の瞬間、Mr.バッドエンドが消えていた。
弾き飛ばされた空中の拳銃の方へ瞬間移動をし、キャッチして構える。
そこまでは崩野も予期しておらず、動けなかった。
Mr.バッドエンドと赤井の目が合う。
動体視力は並程度の赤井だったが、その時だけは、飛んでくる銃弾がゆっくりに見えた。
一瞬が長く、遠く、永久に思われるような感覚。
その銃弾は、まっすぐ俺の左胸へと向かっている。
直感的に、死ぬことを理解した。
死ぬ。逃れられない、避けられない。
それを十分理解したうえで、赤井は。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――嫌だ。
死にたくない。
死にたくない。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないしにたくないしにたくないしにたくないシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイシニタクナイ!!!!
平然に生活していれば、絶対に有り得なかったであろう、究極的渇望。
そして、平然に生活している人間でも、これほどの貪欲な願いは浮かび上がっただろうか。
それはとても動物的で、人間が永年追い求め続けたもの。
赤井としても、初めての渇望。生への欲求。
走馬灯のように走るその願いは、ある感覚を呼び起こす。
――――――――――――これ、現実か?
本当なのか?
なのだとすれば。
認めない。
許さない。
こんなところで死ぬなんて有り得ない!!
その気迫は、目を合わせていたMr.バッドエンドにも強く伝わった。
とても齢13の少年のものではない。
異質。
この世界とは別次元の何か。
Mr.バッドエンドに、やはり俺の直感は間違っていない、と思わせるには十分だった。
運命は、書き換わる、上書きされる。
そして、銃弾が当たる直前に赤井の前が真っ暗になった。