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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
122/144

~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(19)~

 元から不老不死の力を持っていた?


 何だよ、それ。


 “支配”して奪えば不老の力を得ることの出来る“全年齢対象オールエイジ”が狙いじゃなかったのか?



 するとMr.バッドエンドは俺の考えを読んだように言い放つ。



「ちなみに俺がそこの“時騙しの魔女”の才能を欲した理由だがな。その才能があればより多くの人間を騙し、破滅させられると思ったからさ」



「この“原点回帰”、他の顔や声を変える才能との組み合わせである程度の人間にはなれるが、子供や老人には成り難くてな。何せ自分の体をもとある姿へ戻す才能だからな。顔や声の変化は許してくれるようだが、背丈はどうやったって変えられないだろ」



()()()()()()()()。ただ、それだけの理由さ」



 …………。


 はぁ?


「ありとあらゆる人に成り代わり、陥れ、絶望に向かう背を蹴り飛ばす。それが俺様の至上だ」


「一言、お前に言っといてやる」


「手前の言葉なんか、聞きたくねぇんだよ」


 この外道が。


「よく物語の悪党が、美化されて描かれることがあるだろ? カタギには手を出さないとか、一般人には迷惑をかけないとかな。他にも、あえて主人公勢を生かしておくとかな。その後はどうせその主人公に倒されるんだろうが」


「俗に言う、一流の悪党というやつだ」


「俺は、こう思うのさ。一流の悪党よりも、三流の悪党の方が害悪だ」


「本当は、何かの信念を持って動いている悪党より、何も考えず、ただ本能に任せて人を苦しめるほうがよっぽど最悪だろう?」



「だから俺は、三流を名乗る」



「最悪の三流の小悪党として、手前等を殺す。むごたらしく残酷に、そしてただ己の本能に任せて」




「崩野、手前絶対に殺す!! この世に希望なんてないと、心の底からそう思わせて殺す!!」


 全身の毛が逆立ち、冷や汗が止まらない。



「これは、その予行だ」


 体中の感覚がアラートを鳴らす。


 が、気圧されていて動けなかった。


 瞬間移動で俺の背後に立ったMr.バッドエンドは右手で俺の頭を掴むと、地面に向かって振り下ろした。


 すんでのところで手をつくが、バランスは崩れたままだ。


「一つ才能を見せてやるよ。数多の内の一つだがな」


 そう言い放ってMr.バッドエンドの体からいきなり何本もの刃物が突き出してきた。


 それは崩野の体の中心を外して体中に切り傷を作り、服を地面に縫い合わせて動けなくさせた。


「これは体から刃を出す才能、“串刺し公(ブラド・ツェペシュ)”。体から出した刃を取り出すことも出来なくは無い。ただ柄も何も無いがな」


 Mr.バッドエンドは崩野に刺さっている刃を残して、体から外して鏑木の方へ振り返る。


「可哀想にな。悠久を生きた魔女でも、俺の前には等しく平等だ」


 Mr.バッドエンドはそのまま鏑木の頭を右手で掴んで持ち上げる。


 だが、鏑木は焦る様子も無い。


 それを見てつまらなくおもったのか、Mr.バッドエンドは鏑木をまた地面に戻す。


「流石は魔女。普通ならもがいてもおかしくないがな。アンタを“支配”して、お前らの前で殺してやるよ」

「やれるものならやってみなさいよ。貴方、何歳?」

「そうだな、今年は何年だ?」

「不老不死といえども、年月の感覚は持っておいたほうがいいわよ? 気持ちは分からなくもないけど。今年は2008年よ」

「だったら、596歳か。後四年でちょうど600だな」

「私は826歳よ、若造。舐めないで欲しいわね。経験が違うわ、経験が」

「面白ぇ。是が非でも“支配”してやる」


 そこまで言って崩野に振り返り、


「一ヵ月後だ。一ヵ月後にお前らの住んでいるところに強襲かけてやるから、復讐を考えてるんならそん時にでもするんだな」


 そして鏑木を連れて、Mr.バッドエンドは俺の前から消えた。

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