表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
119/144

~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(16)~

「ったく、どこ行った!?」

 最後に鏑木さんを見た地点まで走って行き、その辺りにいた人に聞いて教えて貰った方向へと三人で走っていた。


「大丈夫なんでしょうか、鏑木さん」

「知るか!! こいつはガチでやばい!! 翅村、才能使っていいか!?」

「どれほどやばい相手かは知らんが、お前に目立って欲しくは無いんだがな……」


 崩野はそれをOKと判断したようで、いきなりバンッ!! と音がしたかと思うと一っ飛びで横にあった家の屋根の上まで辿り着く。


「先に行っとく!!」

 そしてブースターでもついているかのように崩野はすごい速度で屋根の上を飛ぶように走り始めた。


「ほへー」

ほうけている場合ではないぞ。残念だが奴はあれでも脱獄犯。目を離すわけには行かないからな」

「もう見えなくなってますけど」

「…………心の目で見ろ」


 意外に翅村さんは面白い人なのかもしれない、と思った。





 その後しばらく走り続けたが、鏑木さんと崩野の姿は見えず、俺と翅村さんはしょうがないので聞き込みを続けながら手当たり次第に歩き回っていた。


「あいつ等、まさか二人して逃げたんじゃあるまいな……」

 だったらシャレにならないぜ――――、と翅村さんがイライラとして小石を蹴り上げた時だった。


 空から崩野が降って来た。


 だが、崩野の様子はとてもいいとは思えなかった。


 シャツには血の染みが広がっていて、ところどころ切り傷も見受けられた。


「ど、どうした崩野!?」


 何が起きたのかわからず、翅村さんは慌てている。


「奴に、あってきた」


「Mr.バッドエンドに、会って来た」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ったく、見失うとは……」


 俺は“時騙しの魔女”、鏑木を探して街中を飛び回っていた。


 ちなみにこのブースター付けたような飛び方は、足元に圧縮した空気を作り出して、その一方だけの圧力を抜くことでジェット噴射のような形で飛んでいる。


「もう“支配”されました、なんてシャレにならな――――――――」


 その言葉は途中で遮られた。


 何故なら。


「久しぶりだな、崩野響輔。元気してたか?」


 目の前にいきなり現れた男に驚いたから。


 それは明らかな瞬間移動。俺は屋根の上を走っていたのだから。



 そしてその顔は、一日たりとも忘れた事の無かった。


「Mr.バッッッドエンドォォォォォ!!!!」


 脳が認識するよりも早く俺は動いていたのだろう。


 Mr.バッドエンドは俺の目の前に姿を現すや否や地面へと弾きとんだ。


 俺自身驚いた。ここまでこの男に憎しみを抱いていたのか。


 何せ自分で反撃した記憶が無い。


 突然現れた衝撃で、逆に俺の脳は冷水をかけられたように冷ややかだが、体はヒートアップしてしまって止められない。


 体が勝手に動いているような感覚だった。


 俺は倒れたMr.バッドエンドに対して、“エア・ガン”を連射する。


 これの原理も簡単なものだ。指先に空気の圧縮した弾を作り出し、ある一点だけ圧力を抜くことで空気を噴出させその圧縮された空気塊を飛ばし、相手に当たると同時に残っている空気全てを破裂させる。その衝撃波で相手を倒すものだ。


 これには色々レパートリーがある。


「“エア・ガトリング”!!」

 これは両手を開いて相手の方向に向け、“エア・ガン”よりも圧倒的に早く空気弾を打ち込む技。


「“エア・ショット”!!」

 これは見た目は“エア・ガン”と同じだが指先に集める圧縮空気の弾を幾つも引っ付け重ね合わせ、そのランダムな空気塊が相手に当たるとはじけ、複数の部位へ効果的に攻撃できる技。


「“エア・バズーカ”!!」

 俺はフィニッシュに入ったのだろうか。


 この技は“エア・ガン”を強化したもので、圧縮している空気量がエアガンの5倍という代物だ。

 両手を合わせて、それを開くようにして圧縮空気が入る空間を作り、打ち出す。


 その爆発は威力もさながら、何より爆発音は凄まじい。


 ドォン!! と周りのガラスがビリビリとなり、本当に爆弾が爆発したような音があたりに響き渡った。



 俺はほぼ無意識のうちに技を打ち切るほどに全力を出したらしい。


 Mr.バッドエンドは動いていないことから、おそらく全ての攻撃を受けたはずだ。


 事実俺の真下でMr.バッドエンドは血を噴出して白目になって地面に倒れている。


「……終わ、った?」


 随分とあっけないものだな。


 復讐なんてこんなもの、ということか。


「何だ、この程度か。ハ、ハハハ」

 

「それで終われば苦労しないよなぁ」


「!?」


 その声は後ろから聞こえてきた。


 

 まさか。



 そんな馬鹿な、有り得ない。



 この目で倒れているのを見たんだ。



 いるはずが無い。



 幻聴だ。



「どうして振り向いてくれないんだ? 崩野響輔」


 だって、さっき血まみれだったじゃないか。


「“絶望(Mr.バッドエンド)”がそう簡単になくなったら、苦労しないってなぁ!!」


 紛れもなく俺の背後には。


 Mr.バッドエンドがいた。

 次の一話でついにSklls Crossの120話に到達!!


 わーぱちぱち。


 そしてこちらの話にもようやく目途が……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ