表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
115/144

~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(12)~

「るー……る?」

 それだけ聞いたのではよく分からない。


「面白い名前ね、“支配ルール”なんて。一体どんな才能なのかしら」

 鏑木さんは少し状況を楽しむような口ぶりだ。


 流石魔女。


「面白がってる場合じゃない。俺も友達のつてとあの男から聞いた話でようやく判明した才能だ。それだけ知られていなかった才能。どんなものかと思って聞いたんだがな……。えぐいなんてもんじゃなかった」


 すこし拳が震えながら、崩野がゆっくりと言う。


「名前から想像出来る通り、その才能は相手を支配することが出来る。心の底からな」


「……精神系の才能? その程度ならいないことは無いでしょう? 話に聞いたところじゃ、無条件で男女問わず魅了して恋させるなんて才能もあるらしいし。それに比べたら……」


「そこで終わればな」

 鏑木さんの言葉を崩野が途中で止める。


「支配するモノに関しては、無条件だ。そして、才能を持った相手を完全に支配したとき――――――」





「その相手の才能すらも掌握し、支配し、自らのものとできる。つまりあの男、Mr.バッドエンドは相手の才能を奪うことが出来るということだ」





「は……、それ、本気で言ってるの……?」


 鏑木さんから血の気が引く。


 俺も才能のことは詳しくないけれど、それが異常だってことはわかる。

 才能を、奪うことが出来る?


 才能って、超能力の一種なんだろ?

 そういうのって、奪う奪われるとかじゃないだろ?


 一体何なんだよ、才能って。


「奴が今どれほどの才能を保持しているかはわからないが、百はくだらない」


「だからこそ最悪なのさ。さらに支配された者に自分が奪った才能を移す事まで出来る。支配した相手はMr.バッドエンドの言う事を何でも聞くわけだから、最強の軍隊だって作れる」


 おそらく、とその先に付け足す。


「今回奴が動いた理由は、お前にあるだろう。鏑木絹」 


「私?」

 首をかしげて鏑木さんが聞く。


「お前の才能、“全年齢対象”はキング・オブ・レアだからな。奪うには輝いて見えるだろうよ」


 その言葉を聞いて、鏑木さんは崩野のところへ歩いていく。


「アンタまさか、そのために私をあそこから出したわけ?」


 いつ掴みかかってもおかしくないような怒気が、鏑木さんから滲み出ていた。


「すまない」

 崩野は本当に申し訳なさそうに謝った。


「それですむなら――――」

 鏑木さんが右手を振り上げる。


「だが、俺はあの男に復讐するためならどんな手だって使うつもりだ」

 振り上げられた右手は、崩野の気迫で止められた。


「それに鏑木、お前も俺から離れれば困ることになるぞ? 俺ならある程度の攻撃は防げるが、お前一人ではすぐに身も心も支配されて終わりだとは、思うがな」


 鏑木さんは右手を下ろして、フフッと笑った。


「復讐なんてしようとする人間はやっぱり、悪に堕ちるのかしらね? 今の口ぶり、完全に悪役よ? でも気に入ったわ。その度胸、他人を省みない無神経さ、それでも願いを叶えようとする貪欲さ」


 フフフフ、と胸に手を当てて笑い出す鏑木さん。


「お、おい? いいのか? 俺はお前を危険に晒そうとしてるんだぞ?」

 その挙動に一番慌てていたのは、崩野だった。


「いいわよ。どうせあの施設にいたって面白いことなんて無かったでしょうし。スリルを求めるのも悪くないわ。私はあなたの30倍弱は生きているのよ、この程度の些事さじどうってことないわ」


 つまり、崩野に利用されたってことを含めて、鏑木さんは認めたってことか?


 理解できない。


 鏑木さんは、一体どういう人生を歩んできたんだろうか。800年強も。


「赤井君、そこで黙ってみているようだけれど、他人事じゃないんだよ」

「え?」


 急に話の矛先がこちらに向く。


「悔しくは無いのか? あの男のせいで、君の人生はむちゃくちゃだろ?」



 ……そうだ。


 知らない事件の指名手配なんかにされて。


 一生無実の罪で逃げ続けなきゃならないのか?


 ふざけるな。


「それに君の才能チカラを借りる必要もあるかもしれないしな」


 俺の才能?


 そんなものあるわけが……。


「それは、“才能帰却スキルキャンセラー”。君の才能チカラだ」

ようやく、といったところでしょうか。


最悪の敵、Mr.バッドエンドの才能も公開されたというわけで。


赤井君はこの相手にどう立ち向かうのかっ!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ