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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
111/144

~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(8)~

「まず、鏑木と赤井君が見たって言う巨大な剣を落とした男についてだ。おそらくそこが、君の最悪の始まりだ」


「始まり……?」


「そう、その男が全ての元凶だろう。俺が知っていて、今このタイミングで現れる男なんて、一人に限られるからな」


「そ、そいつは……」


「俺も本名を知っているわけじゃない。ただ、そいつの異名なら知っている」





「Mr.バッドエンド。最悪の思考と最悪の才能を持った化物さ」


「Mr.バッドエンド?」

 何だか芸名みたいな異名だが……?


 それが、あの剣の上に立っていた人なんだろうか。

 言われてみればなんか気持ち悪いようなオーラを放っていたような……。


「おいおい。そんなポカンとした顔するなよ。君をこんな状況、殺人鬼に陥れた張本人だぜ?」


「はぁ!?」

 その人が、俺を殺人鬼に!?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 テレビニュースをくすんだ蒼い目で、どろりとへばりつくように見ていた一人の男がいた。


「へぇ、あの“時騙しの魔女ファントムウィッチャー”と一緒に走ってた子は赤井君っていうのか」

 ほう、とすこし頷きながらその男は少し前のことを思い出していた。



 少し前、夕方に遡る。


「おいおい、しっかりしてくれよ。“時騙しの魔女ファントムウィッチャー”が追い駆けられてるぜ」

 赤井と“時騙しの魔女”が走り抜けていた道のかなり上空で、男が見張っていた。


「それにしても、あの一緒に走ってる子は何なんだろうねぇ。巻き込まれた一般人かな?」

 頭を傾げて少し考えながら、両手で炎を出し追っていると、急にその男が頭を上げた。


「あぁ、良い事思いついた!! これはいいね、うん、最高だ。どうせあのまま普通に生きて普通に死ぬような少年だ。巻き込んであげよう」

 両手を目の前に突き出して、それでもなお喋る。


絶望(バッドエンド)にな」

 次の瞬間巨大な剣が空中に現れる。


 そしてそれを重力の赴くままに地面に落した。


(とはいっても微調整してっと)

 巨大な剣は二人と白衣の連中が別れるように地面に突き刺さった。


 どうやら少年がこっちを見ている。こっちとしては好都合だ、()()()()()


 右手を顔に一回被せて、少年がいなくなったのを確認してその剣から飛び降りる。


「楽しく、なってきたぜぇぇぇぇ!!!」

 その顔は、少年、そのものだった。


 そして着地の少し前くらいから両手で炎を出し、速度を弱めてふわりと立った。


「お前、一体何者だ!? あいつらの仲間か?」

「んー? いいや違うぜ? 俺様はなぁ――――――」


 名乗っとくべきだろうか。


 ま、いいや。


 どうせ一人瀕死にするのを除けば、全滅させるんだし。


「Mr.バッドエンドだ。遭っちまったのが、お前らの運の尽きだな」


 何者なんだ?


 白衣達は剣を落してきた男に動揺を隠し切れず、こんなとき翅村さんがいたらなぁ……と皆が思っていた。


「お前何者だ!!」

 そんな時、一人が銃を構えて目の前のMr.バッドエンドと名乗った男に構える。


「折角名乗ったのに名前を理解されないとは、悲しいねぇ?」

 オーバーなリアクションで残念がる男。


「どうする? この男」

「一応取り締まっておいた方がいいでしょう。こんな大剣を落とせるんだ。肉体強化系の才能者でしょう」

「その線で」


 白衣の連中はカチャリと銃を構えた。


 緊迫した空間がその場を包んだ。


 ただ、その空間にはあまりにも不純物が多かった。

 くすませ腐らせぐちゃどろに。


 そのオーラは絶えず男から流れている。こちらは銃を大勢で構えているというのに、何の変わりも無い。


 全員が理解していた。この男は、普通ではない。


「う、うわぁぁぁ!!」

 その空間の異常さ、アンバランスさに耐え切れなくなった空気に敏感な白衣の一人が、叫びながら銃を構えて引き金を振り絞った。


 バァンと音が鳴り響いて銃弾が男、Mr.バッドエンドの右太ももを貫いた。

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