~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(6)~
今回は一週間以上更新してませんでしたね。
春ですし、色々大変だったのです。
今回は切り具合が無かったので少し短めです。
そのチャイムの音で、全員が硬直する。
「ゴメン、切る」
母さんがすばやく電話を切り、インターフォンの映像を確かめていた。
俺もそれを覗き込む。
「さっきの、白衣の奴ら……!!」
恐る恐る母さんはインターフォンを手に取った。
「赤井さんのお宅ですね? 赤井夢斗さんはご在宅でしょうか?」
その声は脅迫に近いものがあった。
こうやって丁寧に対応しながらも、もう相手には分かっているのだ。
ここに、いると。
「逃げなさい、夢斗」
「えっ!?」
「いいから!!」
母さんは裏に通じる窓を開けて、俺を押し出した。
そして俺が出るや否や、母さんは窓をぴしゃりと閉め、玄関へ歩き出した。
「えっ!? ど、どうすりゃ……」
今の状況について行けない。
が。
「逃げなきゃ……」
こんな訳の分からないことで、捕まるわけにはいかないんだ。
そうして俺は夜の住宅街を走り出した。
いくら、走っただろう。
ずっとずっと走り続けて、俺も知らないようなところに辿り着いてしまった。
目の前には、建設途中のビルが立っている。
一体、何なんだよ今日は。俺が何をしたって言うんだ。
「畜生っ!!」
「少年、随分と口が悪くなってるな?」
「!?」
答える声に驚き、慌てて顔を上げる。
「どうしたの?」
俺の叫びに答えるように目の前からあの、脱獄犯と言っていた男女、崩野さんと鏑木さんが声を掛けてきていた。
「あ、貴方達は……!!」
「そうそう、俺も君に聞きたい事があったんだよ」
真剣な顔つきで、言う。
「八人惨殺って、どういうことだ」
「……!? 違っ、俺じゃないんだ!! 何かの間違いなんだよ!! どうして俺が!? あんた達のせいなのか!?」
「ほらほら、そんな聞き方するから。パニックになってるじゃない。とりあえず、私達の仮住まいに案内しましょ? 今じゃあ皆指名手配なんだから」
フフ、と不敵に鏑木は笑った。