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Skills Cross ~Another Life~  作者: 敷儀式四季
間之スポ編
105/144

~赤井の過去、どうしても忘れられない記憶。(2)~

「……一体何が、どうやって!? 才能が、消された!? いや、今は――――」

 顔を驚きに染めながらも、行動は簡単だった。


「“全年齢対象(オールエイジ)”!!」

 そう叫ぶとともに、さっきと同じく白髪が黒く染まり、肌も戻っていく。


 最初に見たような美人に元に戻り、髪をかき上げながら俺にその人は問いかける。


「貴方が何者かは、今はどうでもいいわ」

 その人は凛とした佇まいで俺を見て、ゆっくりと俺の後ろに視線を送る。


「どうしてくれるのよ、貴方のせいで追い詰められちゃってるのよ?」

 その口調はうらむようなものではなく、いたずらをした子供を叱るようなものだった。

 俺も視線の方に目を向けると、白衣を着た男たちが拳銃を構えて立っていた。


「投降していただけませんか?」

 その中のリーダーと思われる男が拳銃をしまって両手を広げて歩いてきた。


「嫌よ。もうめんどいもの。あの施設」

 べー、と舌を出してこっちにまた振り返った。


「アンタ何歳?」

 何の質問かわからないが、一応答えておく。


「……中一、ですが」

「私を助けなさい、男でしょ、中学生になったんでしょ?」

「何なんだアンタ!?」


 状況がよくつかめないんだが。


「君には危害を加えないから、さっさとそこをどいてくれないかな?」

 リーダーと思われる男の言葉は、外見こそ見繕って丁寧だが、有無を言わせない何かがあった。


 思わず後ずさる。


「ほら、さっさといきなさいよ」

 だが、下がった後ろにはあの美人がいる。


 どうしろっていうんだよ!!


「やれ」

 リーダーと思われる男が手をこちらに向けると、俺の方へ走ってくる。正確には俺の後ろのこの人を狙っているんだろうが。



「おいおい、やばい状況になってんじゃねぇか。何やってんだよ、“時騙しの魔女ファントムウィッチャー”」

 探すの苦労したぜ。と続ける。


 

 それはすぐ傍の家の屋根の上から聞こえた。


 振り向くとそこには、一人の男が立っていた。

 

 悠然と、何事も無いかのように。


 男は白いTシャツに白いダボダボのズボンという、およそオシャレとはかけ離れた格好をしていた。

 

「や、奴は……!? 、崩野!! 鏑木かぶらぎは後回しだ、先にあの男を追い詰めろ!! 才能スキルの使用を許可する!!」

『了解!!』


 リーダーの言葉で、白衣が動く。


「おいおい、遅すぎだぜ? “エア・ガン”」

 屋根の上の男、崩野は両手を銃の形にする。


「あれは!? まずい、避けろ!!」

 リーダーはメンバー全員に呼びかけている。


 何が起こるっていうんだ?


「主任、何を――――――!?」

 その言葉は最後まで紡がれなかった。


 声を上げていた白衣の一人が、いきなり弾きとんだ。


 その時無風だったはずのこの空間に、一瞬だけそよ風のようなものが吹いた。


「ばーん」

 崩野の手で作った銃がクイッと上を向く。

 するとまたもう一人目の白衣が、本当に銃で撃たれたかのように頭を弾かせた。


 実際には何も起きていない、はずだ。銃声も何も聞こえない。


「これは……、一体どういうことですか、主任!!」

「俺が、向かう」

 白衣をたなびかせて、リーダーの男、主任が地面を思い切り踏み跳んで、一回の踏み切りで屋根まで辿り着いた。

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