~久しぶりの学校。~
この話は『Skills Cross』の続編となっております!!
『Skills Cross』を読んでからこちらを読むと本気で理解できると思います。
というか、こっちだけ読んでも多分理解できないと思うので、気になった人はGO!
ゴールデンウィーク明けの5月8日(月)。
学校に向かうと、校門に驚くべき人が立っていた。
「ほらー、袖口のボタンはちゃんと締めろよ」
そこには体育教師の桜島が何食わぬ顔で立っていた。
「!? “痛”!?」
紅と俺は身構える。
「そう身構えるな。もう俺は戦ったりする気は無い。後もう俺はただの桜島だ。“創造主”の潜入任務でしてた仕事だがな、結構気に入ってるんだよ。それに、ここの校長はかなり気さくな男だな。OKはすぐに出た」
「でもよ。警察とかからはどうしてるんだ? アンタがやったことは償うべきだ」
「言わせてもらうけどよ、人殺しはしてないし後遺症も残すようなことはしてない。気絶とかはすぐに直るし、酷くても1ヶ月くらいの怪我だぜ?」
「いや、そういうことじゃなくてな……」
「奉仕しろ。簡単に言うならボランティアだな。今回のごたごたを回収しろ、とか。ここの校長が自分からはたらきかけてくれたらしい。焔先生が警察のトップってのもでかかったけどよ」
本当にいいんだろうか?
一応悪の組織の幹部だったわけなんだが……。
「ねぇ、あなたなら知ってるはずよ。“創造主”はどこに行ったの?」
紅が桜島に聞いた。
「ん? あぁ、お前らを飛ばした瞬間移動者がいただろ? アイツの才能で俺を含む大体の幹部をビルから出した後、“月”の飛行機でちょっとヨーロッパにな」
「ヨーロッパ?」「“月”の飛行機?」
そんな簡単に飛行機なんて出ていないだろう。
それに“創造主”は左腕が切られているような怪我だった。
おいそれと普通の乗客に混ざっては飛行機に乗れないはずだが。
「あー、その“月”っていうのが普通に貴族ってやつらしい。だからプライベートジェットも用意できたんだろ? それでも、準備にはかなり手間取ってしばらくここには居たんだがな」
「「貴族!?」」
今時貴族なんているのか!?
「そこで驚くなよ。城持ってるってくらいだ」
「「城!?」」
そこでもう一回驚いた。
「おいおい、ここでそんな騒ぐな。ほら、他の生徒が寄ってきちまっただろ」
桜島にそういわれ周りを見渡すと、生徒がこちらを見ていたりしていた。
「しょうがないわね。でもいい? まだあなたを信用したわけじゃないから」
「あー勝手に疑っといてくれ」
紅の捨て台詞を軽く受け流して、桜島は他の生徒の指導に当たりだした。
そして、約一週間ぶりとなる2-A。
その教室に入ると――――――――――、
「お前らすごいな!!」
「一体何したの?」
「何があったんだっちゃ?」
「くそっ!! 叶先生が悪のテロ組織と戦ってたって言うのに、俺は何てざまだ!!」
「落ち着けって樹野。お前は実は悪者だった桜島先生が叶先生にとどめを刺そうとするときに身を挺して守ってたろ?」
「そうそう、それの速報ニュース。実はあれは桜島先生の弟さんだったんだって」
『な、なんだってー!!』
「で、桜島先生と入れ替えさせられてて、本物の桜島先生のほうは部屋で閉じ込められてたらしいよ?」
「へぇ。あの生きる最強みたいな先生も閉じ込められるなんてあるんだな」
赤井と紅が入ると、すぐにクラスメートが取り囲んだ。
途中までは質問攻めなのかな? と思ってたけど。
よく話が脱線するクラスだなここは。
もし質問攻めされたらまずかった。
守秘義務でまだ事件のことは何も喋れないのだ。
「赤井、今の話聞いた?」
「ああ。成程な。校長の話がうまいんだろうが、こんな嘘本当にばれないものなんだろうか?」
桜島の処分については、どうやら偽者だった、ということにしたらしい。
勝手に話しだした人垣を抜けて、席に向かった。
「おー、赤井と紅、ラヴラヴ登校じゃん?」
「うらやましー」
すると、席に向かうとよっと手を挙げてくる男と、席に座ってトロンとした目線を送る二人の男子が。
「染山、これは違うって――――――」
「否定はよくないじゃん」
「あのね十島君、私達はそういう関係じゃ――――――」
「いいんだよー、別にー」
二人は染山と十島だった。
「で、こんなことはともかくじゃん。質問攻めされなくてよかったじゃん」
「そうだな。こんなクラスで助かった」
「僕達もー、そうだったー」
「やっぱり?」
そうして四人で話していると、後ろからまた話しかけてくる声が。
「お前ら、元気してたか?」
「久しぶり……、ですね……」
藤崎と天音だった。
「ったくよぉ、手前は事情聴取が楽でよかったじゃん!!」
「ありがとうございー」
「素直に感謝してんじゃねえじゃん!!」
染山がこんなに怒るのにも訳がある。
藤崎に関しては“創造主”達のいたビルに行っていなかった。
だから、事情聴取も短く終わったのだ。
確かに染山からしたら警察から同じ賞状をもらっているだけに怒るかもしれないが、藤崎からすればその怒りは困ったものである。
「まー、落ち着こー、紫瀬」
十島がどーどー、と落ち着けていた。
そうしてようやく平和的な学園生活がスタートしたのだった。