序章 剣士とその友達と弓使い。
第1〜3話をまとめて、少しだけ修正しました。許して……
『BATTLE AND LIFE ONLINE。通称BALO。
今現在、日本を中心に爆発的な人気を集めているVRMMORPG。
まず「MMORPGとはなんぞや?」という人のためにMMORPGについて説明しよう。
MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲームの略)とは「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」のことである。
つまりVRMMORPGは「バーチャル世界でたくさんの人と交流ができるゲーム」、ということになる。
数あるVRMMORPGの中でもBALOは、戦闘とスローライフ、その両方が体験できる珍しいVRMMORPGだ。
基本プレイは無料で─────……』
「……へぇ、、、スローライフ……」
スローライフ、か。 送ってみたいなぁ……
記事を読むのをやめた私は、スマホ片手にそんなことを思うのだった。
──────…………
────……
……今、私の目の前には何故だか買った覚えがあるVRヘッドセットがある。
「………………買ってしまったぁ……」
おかげで今月のお小遣いはすっからかんだ。
「……やらないのももったいないし、とりあえずやるか!」
悲しい現実から目を背けながらVRゴーグルを付け、BALOを起動した。
──────………
────……
──…
1秒後には、目の前が無機質な空間に変わっていた。
「おお〜……これがバーチャル……」
現実と見紛うようなクオリティだ。
私が感心していると〈プレイヤーネームを入力してください〉とウィジェットが出てきた。
「んーーー……プレイヤーネームかぁ……」
「私の本名が、『雨宮 凜華』だから…………リン!」
安直だが、まぁいいだろう。
「リ、ン、っと……」
私が入力し終えると、ウィジェットが〈職業を選択してください〉という文言に切り替わり、無機質な部屋に様々な装備が出現した。
「へぇ……いろんな職業があるなぁ……」
戦士にタンク、魔法使いといった定番の職業から、調合師や鍛冶師などの生産職も充実していた。
「魔法使いもいいなぁ……でもやっぱり、スローライフを送るなら、生産職とかがいいのかなぁ……」
めっちゃ迷う。 誰かに決めてもらいたい…
ふと目の前に〈ランダム〉という項目があることに気づいた。
「ん……?〈ランダム〉……?これ、自動で決めてくれるってこと……!?」
私は迷わずにランダムを選択した。
──────…………
────……
「んっ……うわーーっ!!!」
目の前には、たくさんの人が交差する街が広がっていた。
「凄い凄い凄い凄い!!!これがVR……!」
ん……?あれ……?私が今手に持ってるのって……!?
「け…、剣!?」
剣、ということは……まさか…………戦士!?
「────スローライフを送りたかったのに、なんでーーーーー!?」
スローライフを送りたかったのに…… なんで剣士なの!?
「どうして……よりによって………… うぅ……」
……とは言っても、、、ランダムを選んだ自分の責任でもある。致し方なし…… 大切な職業選択を運否天賦にした罰なんだろうか。
「しょげてても仕方ない!モンスターを狩りに行こう!」
せっかく戦士になったんだ、モンスターを狩ってお金を稼ごう!
──────…………
「よーし!狩るぞーーー!」
私は平原に足を運んだ。弱いモンスターが多いからだ。
「ん?足元に何かいる?」
「ぷよっ、ぷよっ…」という鳴き声を発しながら、スライムが体当たりしていた。
「スライムだーー!かーわーいーいー! …うう、、、えいっ!」
少し惜しみつつも、スライムをぶった切った。可愛いとはいえ敵は敵。私の経験値とさせてもらおう。
「パンパカパーン!」という音とともに、〈レベルが上がりました Lv1→Lv2〉と書いてあるウィジェットが表示された。
「レベルが上がった!」
────────…………
──────……
私は夢中になり、気がついたら五時間ほどモンスターを狩り続けていた。
「はー…… ゲームって楽し〜〜!」
今まであまりゲームには触れてこなかったが、こうして集中してみると楽しかった。
「そろそろ今日はログアウトするか〜……」
──────………
────……
──…
「ふい〜〜…… 楽しかった〜〜〜!! …………ぐ〜〜……」
私は、興奮も冷めぬまま眠りについた。
───────…………
それから一ヶ月だろうか、毎日モンスターを狩った。
「ふーーー…… ……そういえば、今どのくらいG溜まってるんだろう?」
私は、メニューを開き、所持品の欄を確認した。
「……!?12万……!?えーと……10Gで1円だから…………1万2千円分!?」
一ヶ月で稼げるお金にしては安いと思うが、無料で……しかも、遊ぶだけで発生するお金にしては大金だ。
「こんなに稼げるの!?」
「??? …どしたの?リン?」
「あっ、レイ!」
このプレイヤーは『reyNyan.(レイニャン)』。本名は『切崎 冷奈』だ。全くのゲーム初心者で私の友達。
ちょうど2週間前、私が学校で冷奈にBALOの話をしたところ、「面白そう」ということで冷奈もBALOを始めてくれた。そこから二週間ずっと一緒にプレイしてるが、とにかく上達が凄まじい。天性の才能なのでは???
「聞いてよ!一ヶ月でね……」
私は、いまさっき驚いたことをレイにも話した。
「へ〜…そんなに……」
「そう!すごいでしょ!」
「私も頑張らないとな〜……」
とか言いつつ、短剣でモンスター五体を一気にキルするの辞めてくれませんかね?
──────…………
────……
それから、また一ヶ月がたった。あっという間の日々だった。
「ん?あれ、誰かいるよ?」
「ホントだ…… 弓を使ってるね」
「弓使いかな?」
このゲームでは、自分の職業が専門とする武器以外でも使えるため、剣士などの可能性も捨てきれないが……
この仕様はおそらく、最初MPが少ない魔法使いや生産職に配慮した仕様だろう。そもそも、生産職は専門の武器が無いし。
「お、矢を放った」
きれいな弧を描いた矢は「グサッ」と、見事モンスターに命中した。
「「おお〜……」」
私はいても立ってもいられなくなり、走り出した。
「あ、リン!ちょっと!」
────……
「あの〜〜!!」
「はぁ……はぁ……あの!エイム!凄いですね!」
「あ…ありがとう、ございます???」
「リン!この人完全に混乱してるじゃん!」
「すいません、うちのバカが……」
今バカって言った!?ひどいっ……!
「にゃはは〜…。全然〜。」
「良かったらフレンド登録しませんか!」
「いいよ〜。僕はルナ。よろしく〜…。」
「ピコン」という通知音と共に、ルナさんのフレンド申請が来た。
「よろしくお願いします!ルナさん!」
「呼び捨てでいいよ〜…。あと、敬語も必要なし。僕達、同年代な気がするから〜…。」
「あ、はい!よろしくおねが…… よろしく、ルナ!私はリン!」
「私はレイって言います。よろしく」
「二人とも、よろしくね〜…。」
なんか、喋り方といい、雰囲気といい、私の知り合いに似ているような……?
───────………
────……
その日はルナと一緒に狩りをして、ログアウトした。




