未完の名画・嘆きのマドンナ
ゆるゆると書いてます。
変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。
9層の死神を退け、一行が辿り着いた第10層。
そこはこれまでの迷宮とは一変し、静謐な空気が漂う古い美術館のような景色が広がっていた。
広場の中央には、鈍く光る転移石が鎮座している。
ひよりは歩み寄り、自身の免許をかざして登録を済ませた。
「ひよりん、ここは通路が狭いから軍団員を出せないや。動きやすいようにひよりんと直参だけでいこう。テッちゃん! しっかり守ってよ」
透がタブレットを操作しながら周囲を警戒する。
「大丈夫透ちゃん! ボスには触れさせないから!」
鉄が威勢よく応え、一行は奥へと続く回廊へ足を踏み入れた。
通路の両脇には、不気味な絵画や歪んだ彫刻が隙間なく並んでいる。
それら全てが、侵入者であるひよりたちを値踏みするように凝視している。肌を刺すような粘り気のある視線が、一行を襲った。
「仕掛けられたデバフだね。なかなか嫌な性格をしてるよ。気持ちを強く持たないと絵画に引きずられるよ」
透が警告を発した直後、壁の絵画から無数の白い手が這い出し、一行に襲いかかった。
鉄がツインタクティカルトンファーを回転させ、迫る手を弾き飛ばしながら反撃する。
「透、一気にやっちゃってもいい?」
「いいよ。大丈夫」
ひよりの確認に透が頷く。
「フウくん、暴風で裂いちゃって! 鉄と涼は魔銃で乱射!」
指示を受けた三人は、応答する間もなく行動に移した。
フウが巻き起こした鋭利な暴風が、両脇の絵画を額縁ごと引き裂いていく。
悶絶するように伸ばされた最後の手を、鉄と涼の魔銃が放つ光弾が蜂の巣にし、一瞬で通路を沈黙させた。
「終わったね。透ごめん。なんか視線が気持ち悪くて強引にやっちゃった」
「私の戦略が意味がないほどのパワープレイだね。笑っちゃったよ」
透が肩をすくめると、ひよりは「三人ともありがとう。このまま進もう」と微笑み、さらに奥へと進んだ。
………
強引に突破し続けた最奥。
そこは巨大な特別展示室を思わせる、静謐でいて狂気的な空間だった。
「みんな、出てきて」
ひよりが静かに声をかけると、周囲の影が意志を持つように蠢き、黒スーツの構成員たちが次々と這い出してきた。
「各隊、配置について。ここが踏ん張りどころだよ」
透の指示で、構成員たちは一糸乱れぬ動きで各隊長の元へと集結する。
正面の壁一面を覆うのは、高さ六メートルに及ぶ巨大なキャンバス。
《未完の名画・嘆きのマドンナ》
顔の定まらない聖母の輪郭から、祈りと拒絶が混ざり合った無数の「手」が蠢いていた。
「……なんか、すっごく悲しい匂いがする。でも、通らせてもらうね」
ひよりが『鬼灯【焔】』を抜き放った瞬間、戦いの火蓋が切られた。
「鉄隊、突っ込め! あの絵の視線を全部こっちに向けさせろ!」
鉄が先陣を切り、鉄隊の面々が取り回しのいい盾でボスの《拒絶のはためき》を弾き飛ばす。
構成員たちは各々の武器で蠢く手を叩き潰す。
幹部構成員たちは昇格したことで、新たに装備された魔銃のハンドガンで最前線を力ずくでこじ開けていく。
「フウ隊、遊撃開始。鉄たちが作った隙間に潜り込んで」
フウを筆頭に、敏捷な構成員たちが影のように地を這い、テクニカルな動きでマドンナの側面を削り取っていく。
だが、ボスのHPが削れるにつれ、キャンバスから「……懺悔セヨ……」という不気味な思念が放たれ、フロア全体に「懺悔」のデバフが広がった。
「デバフが来てるよ! 涼隊、みんなに根性入れ直して!」
透の指示に、涼隊が即座に動く。
「おい、シャキっとしろ! 獲られてえのか!」
涼が『スキル:円陣』を展開し、構成員たちが『スキル:ケツ持ち』で仲間の背を叩く。
物理的な「喝」と猛烈な「メンチ切り」が呪念を押し返し、強引に状態異常をねじ伏せた。
しかし、正面からの攻撃はキャンバスに吸い込まれ、新たな手を生成する糧にされてしまう。
「正面はダメ! 側面から撃って! ライ、ひよりんを死守!」
「ガアアアッ!!」
ライ隊がひよりと透の前にV字の鉄壁を敷き、飛来する絵の具の滴を完璧に遮断する。
「……透、あそこだ。一瞬隙を作るから、撃って」
ひよりがライの盾を蹴り、高く宙へ舞う。フウ隊が手を斬り飛ばし、鉄隊が魔弾で注意を逸らしたわずかな空白。
ひよりは風のように駆け抜け、名画をざっくりと切り裂いた。
「透! 今だ!」
透が構えた『Alligator』が火を吹く。
剥き出しになった聖母の核を、特大の魔力弾が轟音と共に弾き飛ばした。
『……まだ、描いてほしかった……』
微かな声と共に、巨大なキャンバスは床に溶け落ちた。
『レベルが上がりました。Lv.61 → 62』
『スキル:影渡りを習得しました』
「……えっ? 影渡り……?」
ひよりの脳内に、構成員たちの影を踏み石として空間を支配する、新たな感覚が流れ込む。
「……ふう。お疲れ様、みんな。いい道を作ってくれて、本当にありがとう」
ひよりは柔らかく微笑み、家族同然の仲間たちを労った。
………
地上に戻ると、受付の女性が時計を見て絶句していた。
「えっ……10層踏破……本当に、もう……?」
「はい、無事に戻りました。お気遣いありがとうございます」
ひよりは丁寧に頭を下げると、涼たち三名に向かって、今日一番の明るい声で言った。
「さて! 約束通り、今からお買い物だね。小春にお土産も買いたいし……みんな、何が食べたいかな?」
「肉っすよ肉!」と盛り上がる鉄を、涼が「うるさい」とツッコむ。
そんな賑やかなやり取りを背に、ひより組は活気あふれる中野ブロードウェイの喧騒へと溶け込んでいった。
.........
三上ひより@ひより組
皆様、報告の投稿が遅くなってごめんなさい。
現在ですが、10月で中野ブロードウェイ、赤羽、大井埠頭ダンジョンの3つを周り、各10層まで踏破しました!
現在はレベル64です。たぶん公式にも上がってると思いますのでチェックしてもらえたら嬉しいです!
次の日曜日は秋葉原に行きます!楽しみー!
#三上ひより #ひより組 #踏破報告 #レベル64 #次は秋葉原
ダンジョンニュース速報【ダン速】@dungeon_news_sokuho
【速報】闇王、止まらない!
本日、三上ひより氏(Lv.64)が大井埠頭ダンジョン10層を踏破。
中野、赤羽に続き、わずか一ヶ月足らずで3箇所のダンジョンを攻略するという驚異的な遠征ペースを記録中。来週末は秋葉原へ。
#ダンジョン #百傑 #三上ひより #闇王 #超速攻略 #秋葉原
白鷺透@ひより組
うちのボスがまた結構ペースで攻略を……。
大学生なので、平日は控えさせてるけども。
とはいえ、大井埠頭10層までのログを見る限り、ひより組の連携はさらに洗練されています。
秋葉原の機械系モンスターに対しても、すでに最適な解は用意してあります。来週も、盤面は我々が支配します。
#白鷺透 #ひより組 #マエストロ #参謀の独り言 #盤面支配
赤城凛@不動剣陣
ひよりさん、3か所の攻略お疲れ様です。
その驚異的なスピード、同じ探索者として敬意を表します。
来週の秋葉原遠征も、道中お気をつけて。陰ながら応援しております。
一緒に行きたかったなぁ。
#赤城凛 #不動剣陣 #三上ひより #踏破報告
片倉志乃@八咫
来週の日曜日は、仕事の関係もあり東京へ向かう。
せっかくの遠征だ。合間にどこか適当なダンジョンへも足を運ぼうと思う。
久々の東京、少し気が引き締まるな。
#八咫 #東京遠征
|
一般探索者1
ええっ!?志乃様が東京に!?やっぱり新宿とか銀座の難しいところに行くんですか!?
|
一般探索者2
難易度の高いところにいくんですよね!八咫の力を見せつけてやってください!応援してます!
|
片倉志乃@八咫
(返信)ああ。期待に応えられるよう、全力を尽くすのみだ。
ねね@人形館
気になる人がキャストしてた……。
あそこは、いい部品がいっぱいあるんだよね。
会ってみたいなぁ……。
#人形館 #運命の赤い糸
ソロキャン探索者@焚き火中
奥多摩ダンジョン4層の隠しスポットでキャンプ中。
闇王のニュース、刺激になるなぁ。
こっちのリザード肉、ハーブソルトで焼くと最高に美味い。
ダンジョン内は火力が安定しないのが難点だけど、それがまたいい。
#ダンジョン飯 #ソロキャンプ #焚き火の音
ダンジョンデート推進委員会
【おすすめ】初デートで行くなら「井の頭公園ダンジョン1層」!
モンスターが可愛いスライム系ばかりで、景色も公園の延長線上。攻略後に近くのカフェでパンケーキ食べるのが鉄板ルート。
#ダンジョンデート #恋活 #初心者おすすめ
筋肉ダルマ@パーティ募集中
【募集】新宿ダンジョン10層攻略パーティ。
現在:重戦士(俺)、魔法使い(女)、僧侶(男)の3人。
条件:レベル50以上。盾持ちか、タフな前衛求む。
「漢」な奴、来てくれ!DM待ってんぞ!
#パーティ募集 #新宿ダンジョン
秋葉原のショップ店員
来週の日曜日、闇王が来るってマジ!?
うちの店、ダンジョンから近いからちょっと怖いけど楽しみ(笑)
限定のキャラストラップ、ひより組の誰かが買いに来たりして。
#秋葉原 #闇王降臨 #秋葉原ダンジョン #お店紹介
通りすがりの探索者
中野、赤羽、大井埠頭……これ全部ほぼソロでしょ?
ひより組の勢いがマジで知れ渡りつつあるな。
#闇王 #ひより組 #秋葉原
ブックマーク、リアクション、評価をしていただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。




