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【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】  作者: 道雪ちゃん


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百傑の誕生、不退転の誓い

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

世田谷ダンジョン13層、最深部。  


先ほどまでの地獄のような威嚇音と咆哮は、嘘のように消え去っていた。


巨大な空洞に響くのは、崩れ落ちた女王蟻の巨体から漏れ出す魔素が、空気に触れて弾ける微かな音だけだ。


 ひよりは、女王の亡骸の傍らで、虹色の眩い光を放つ結晶をそっと拾い上げた。  


【強欲】のスキルが引き寄せた、最高レアリティのドロップ品。だが、その輝きを映すひよりの瞳は、どこか翳っていた。


「……20名」


 ひよりの視線の先、激戦が繰り広げられた場所には、今はもう誰もいない。  


 自爆蟻の毒液を浴び、ボスであるひよりや、仲間の盾となって影に沈んでいった黒スーツの男たち。


 厳密には、ひよりが再招集すれば彼らはまた姿を現すだろう。


 だが、ひよりにとって彼らは単なる召喚対象ではなく、同じ覚悟を背負う「家族」だった。


「……ひよりん」


 透が歩み寄り、ひよりの肩にそっと手を置く。  


 その指先は微かに震えていた。


「レベルアップしたよ。……私たち、この攻略で61になった。これで名実ともに『百傑』の仲間入りだ」


 透が掲げたタブレットには、Lv.61と表示されていた。  


 百傑。


 それは60レベル以上、日本でわずか60名、世田谷では「不動剣陣」のメンバーも到達していない、探索者の夢。


 それを、ひよりはたった一戦の蹂躙で踏み越えたのだ。


「透。……俺、怖かったよ」


 ひよりがポツリと漏らす。


「俺がもっと上手く指示を出していれば。俺がもっと速く女王を仕留めていれば。……みんな、あんな消え方をしなくて済んだはずなんだ」


 ひよりの脳裏には、影に沈む瞬間にあの金髪の青年や構成員たちが見せた、誇らしげな笑みが焼き付いていた。  


 彼らはひよりと仲間を守れたことを喜んでいた。だが、それがひよりには辛かった。


「……俺、もっと強くなる。誰も手が出せないくらい。誰も俺たちを、俺の家族を傷つけようなんて思わないくらいに。――もう、誰も消させない」


 ひよりのその言葉と共に、周囲に漂っていた魔素がひよりの体内に強引に吸い込まれていく。  


 その纏う空気はもはや、誰も近寄らせない「孤高の王」の威厳に満ちていた。


「……その決意、受け取ったよ。君が王なら、私はそのための道をどこまでも整備するまでだ」


 透が静かに微笑む。  


 二人と涼は、進化を遂げたフウ、ライ、そして生き残った80名の構成員を影とリングに戻し、ゆっくりと地上への帰還を開始した。


 世田谷ダンジョン・地上ロビー。  


 ここは常に喧騒に満ちているはずの場所だ。だが、今は異様な静寂が支配していた。


 皆、見ていたのだ。  


 数時間前、一人の美少年が100名もの黒スーツ軍団を引き連れて、歩くだけで恐怖をばら撒き、未踏の13層へと消えていった姿を。


 そしてゲートの光が収束し、彼らが姿を現した瞬間、ロビーの温度が数度下がったかのような錯覚を誰もが覚えた。


「……っ!」


 居合わせた探索者たちが、反射的に道を開ける。


 先頭を歩くのは、冷たく鋭利な刃物の様なオーラを放つひより。  


 その後ろには、まるで戦場の硝煙をそのまま纏ってきたかのような殺気を放つ幹部たち。  


 ロビーを歩くその足音は、整然としていながらも、大地を揺らす鼓動のように響いた。


「那奈さん。ただいま戻りました」


 受付カウンターへ辿り着いたひよりが、いつもと変わらぬ穏やかな声で告げる。  


「おかえりなさい三上くん。怪我はない?」


「……俺は無事です。でも、大切な家族を20名、失いました」


 ひよりのその言葉に、那奈は胸を締め付けられるような思いをした。  


 彼にとって、あの軍団がどれほど大切な存在か、彼女は知っているからだ。


「……そう、だったんだ。……でも、三上くん。あなたが無事に戻ってきてくれた。それが、私や妃那にとって一番の救いなの」


 那奈はカウンター越しにひよりの手を包むように重ねた。


「三上くん、忘れないで。あなたが大切にしていた『安全第一』の気持ちと、あなたが強くなっても、その優しさだけは失わないで。みんな、あなたが傷つくのが一番怖いんだから」


 那奈の温もりに、ひよりの張り詰めていた肩の力が、少しだけ抜けた。


「……はい。ありがとうございます。那奈さん。……あ、攻略の報告をさせてください。13層、踏破しました。ボスも、討伐完了です」


「13層を踏破……!」


 ざわめきが波紋のように広がる中、透が冷静に端末を那奈に差し出した。


「ボスの討伐時間は35分。不動剣陣の半分以下のタイムです。それから那奈さん、これを見て。女王蟻が発動した『フェロモン』の解析データだ。既存の攻略データにはない異常行動だよ」


「……っ!!」


 那奈がデータを確認した瞬間、彼女の顔から血の気が引いた。  

 そこに記されていたのは、不動剣陣の攻略時にはなかった、ボスの「変異」と、それを正面から粉砕した「ひより組」の圧倒的な戦闘ログだった。


「……すぐ、本部に報告します。白鷺さん、貴重なデータをありがとう。……三上くん」


 那奈が震える声で呼びかけ、管理システムの更新ボタンを叩いた。


 ピコン、と高い音が響く。  ロビーの壁一面を占める巨大なリーダーボード。  世田谷ダンジョンの歴史が刻まれるその最上段に、新たな名が刻まれた。


【世田谷ダンジョン13層:踏破成功 パーティ:ひより組】 【三上 ひより Lv.61 / 白鷺 透 Lv.61】


「……レベル、61……。三上さん、白鷺さん。……名実ともに、お二人は本日をもって『百傑』入りとなります。おめでとうございます!!」


 一瞬の静寂。  その後、ロビーが爆発した。


「うおおおおおおおっ!!!」 「百傑だ! 本物の百傑が、世田谷に二人誕生したぞ!」 「嘘だろ……!?」


 狂乱のような歓声。  


 畏怖、賞賛、嫉妬。あらゆる感情が渦巻く中、ひよりはただ静かに、自分の拳を見つめていた。


「……これで誰も文句は言えなくなったね、ボス」


 透が誇らしげに囁く。  だが、ひよりはゆっくりと首を振った。


「……いいや、透。まだだよ。上には、もっと上がいる。俺は、もっと強くなる。……那奈さん、透。これからもよろしくお願いします」


 その瞳には、一時の勝利に酔う様子など微塵もなかった。  


「……ええ。もちろんです」 「当たり前だよ、ひよりん」


 世田谷に新たな「伝説」が刻まれた。  

Lv.1チンピラから若頭へ。そして、誰もが認める日本の守護者「百傑」へ。


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よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
透が同レベルって言うのが違和感あるわな。
既出や説明済みならゴメンね、百傑なのに60人なの?
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