表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】  作者: 道雪ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/125

新しい家族ができたよ

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

大学の講義を終えたひよりは、足早に指定された病院へと向かっていた。


凛から聞いた「考察勢さんは入院している」という言葉が、胸に小さな棘のように刺さっている。


(……どんな人なんだろう。いつもスレで助けてくれる、優しくて頭の良い人。何かお礼をしたいけど……)


考えながら歩く道すがら、ふと目に留まった花屋へ立ち寄る。


店内に並ぶ色とりどりの花。


ひよりの脳裏に、なぜか鮮やかな「オレンジ色」が浮かんだ。


「お困りですか?」と声をかけてくれた店員に、ひよりはイメージを伝えた。


「これはマリーゴールドといいます。花言葉は『真心』、そして……『予言』。イメージの贈り物にはぴったりですよ」


(真心、そして予言……。本当に、考察勢さんそのものだ)


ひよりはそのオレンジの花束を大切に抱え、病院の静かな廊下を進んだ。



………



指定された個室の前。ひよりは一度深呼吸をして、ノックをした。


「……どうぞ」


中から聞こえたのは、鈴のように澄んだ、けれどどこか中性的な響きの声。


ドアを開けると、そこには柔らかな陽光を背に、ベッドに腰掛けた一人の人物がいた。


短く切り揃えられた黒髪に、陶器のように白い肌。


男性のようにも、女性のようにも見えるその人は、ひよりを見た瞬間、ふっと目元を和らげた。


「ひよりん。……会いたかったよ」


その一言に、ひよりの視界が突如として滲んだ。


初めて会ったはずなのに、その声にはスレで交わした幾つもの「絆」が宿っていた。


理由もわからず溢れる涙。


「ごめん、なんだかわからないけど……」


「いいよ。とりあえず、こっちに来て座って。……マリーゴールドか。私の好きな花なんだ。ありがとう、ひよりん」


透の笑みは、ひよりの涙を優しく溶かしていくようだった。



………



透は静かに、自分の身の上を話し始めた。


恵まれた才能を持ちながら、自由を奪った病のこと。


自分の命を削ってでも立ちたかった「理論士」としての夢のこと。


「やり残したことはあるけどね。……自分の描いた戦術で、生で、あんなデカいモンスターを倒すところを見たかったな。画面越しじゃなくてね」


自嘲気味に笑う透。


その瞳には、諦めきれない未練が、深い澱のように沈んでいた。


ひよりは、彼女の細い手を見つめ、静かに、けれど力強く告げた。


「……透さん。それ、僕が叶えられるかもしれない」


「えっ?」


「透さんなら、僕のスキル……わかるよね?」


透の鋭い眼差しが一点を見つめる。


数秒の沈黙。その知能が導き出した結論は――。


「……『盃』かい?」


「うん。涼や風雷コンビにしか使ったことがないから、人間にどう影響するかはわからない。でも、種族は問わないんだ」


「……私の推測が正しければ、盃を交わすことで君のレベルやステータスと同期し、私の体は君の眷属……『家族』として再構築される。本当に推測でしかないけどね」


透の瞳に、初めて「希望」という名の光が灯る。


「透さんは、どうしたい? 僕の眷属……『直参』という形になるんだけど」


「それを聞くのかい? 私は、自分の夢も力も、すべて君に全ベットするつもりでここに呼んだんだよ」



………



ひよりは、持ってきたお見舞いの袋から、まだ封の開いていないペットボトルのお茶を取り出した。


「あ、えっと……お酒じゃなくて、お茶でもいいかな?」


照れ臭そうに頭をかくひよりに、透は声を上げて笑った。


「ははは! いいじゃないか。君はマフィアのボスじゃない、大学生だ。それに、私はお茶が好きだしね」


「……わかった。じゃあ……」


ひよりは透の真っ直ぐな瞳を見つめ、心からの言葉を紡いだ。


「透、君が必要なんだ。……僕の家族になってほしい」


透は少しだけ目を見開き、いたずらっぽく微笑んだ。


「……いいよ、喜んで。ただ、今の……プロポーズみたいで少しドキドキしたよ」


「な……っ!?」


狼狽えるひよりと重なるように、無機質なシステムメッセージが響き渡る。


『スキル【盃を交わす】を発動。対象:白鷺 透を登録』

『個体進化を開始します――』


透の体が淡い光を放ち、熱を帯びる。


病に蝕まれていた細胞が、ひよりの魔素を取り込み、「直参」へと塗り替えられていく。


『個体名:白鷺 透が「直参」に種族進化しました』

『Lv.51 参謀官としての能力を再構築。全ステータスを同期・統合します』



………



「はっ……!?」


光が収まった後、透は自分の手を見つめ、驚愕の声を漏らした。


体内の重苦しい倦怠感が消え、視界はこれまでにないほど澄み渡っている。


「……信じられない。このステータス……知力390。これが、君の背負っている世界なのか」


ひよりと同期したことで、透はもはや「病弱な一般人」ではなくなった。


戦場には立たずとも、その知能はその場を俯瞰し得るほどに研ぎ澄まされている。


「一度、体を検査してもらってね。異常がないといいんだけど……」


「大丈夫。……今ならわかるよ、ひよりん。私が成すべきことが」


透は誇らしげに、けれどどこか甘えるように微笑んだ。


「透は夢のことあるのはわかるけど、なるべく遠隔で指示して。でも、もし戦いを見たいなら、僕やライくんの後ろにいてね。絶対に守るから」


「それもプロポーズかい?」


「違うってば!」


病室に響く二人の笑い声。


オレンジ色のマリーゴールドが、新しく生まれた「家族」を祝福するように鮮やかに咲いていた。


■ 白鷺 透(参謀 / 直参) Lv.51 職業: 参謀官

HP: 240 / MP: 680

筋力: 26 / 器用: 375 / 耐久: 26

敏捷: 26 / 魔力: 380 / 知力: 390 / 運: 85

透ジョブツリー

Lv.1|理論士(ランク1)

Lv.10|戦術士(ランク2)

Lv.20|戦略士(ランク3)

Lv.40|参謀官(ランク4)


ブックマーク、リアクション、評価をしていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
武力集団にキレる頭脳が加わって最強に見える…!? いや、多分日本限定で見てもひより組って相当上位ランクのチームなんじゃ?
職業:インテリヤクザ になるかとも思いましたが、ちょっと意味合い違いますよね。
おぅ……一回死んだのかこれ笑 パーティーを組むのに近いと思ってたんですけど、悪魔に何かを捧げるレベルじゃなくて、もはや魂とか存在ごと吸収されてひよりの一部になった様な…… 組織に属して権威とか利益を…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ