表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】  作者: 道雪ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/126

待ち望んだ日

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

 三上ひよりが、光が差し込む出口へと爽やかに去っていった後のことだ。


 嵐が過ぎ去った後の静寂が訪れるかと思いきや、神楽坂ダンジョンのロビーは、かつてないパニックに包まれていた。


「な、なんなんですかあの人! 怖そうな人たちと、見たこともないモンスターをぞろぞろ連れてましたよ!」

「こっちも黒いスーツを着た人が、緑色のバケモノとガラの悪そうな人たちを連れて、一瞬でモンスターを狩ってました……」


 次々と受付に駆け込んでくる、顔を真っ青にした初心者探索者たち。彼らの言葉を整理すればするほど、妃那の頭の中には「?」が浮かんでいく。


(え、なにそれ……。三上さんのことだと思うけど、彼は一人で入っていったはずじゃ……)


 だが、その後も三上ひよりらしき人物の、あまりに現実離れした目撃情報が次々と届く。中には「影から人が湧き出てきた」という、オカルト染みた報告まであった。


(そういえば、姉さんが言ってたっけ。『なんとか組のボス』って。……もしかして、あの禍々しい職業のスキル? あんなに可愛いのに、一人で軍団を率いてるの……?)


 混乱するロビーを宥めながら、妃那の胸の奥には、恐怖ではなく熱い高揚感が込み上げていた。


 ――


 全ての対応を終え、夜の静まり返った神楽坂ダンジョンのカウンターで、妃那は一人、深く息を吐いた。


「あぁ……本当によかった。辞めないで、頑張って続けててよかった……」


 明日も、彼は来てくれる。このどん底のダンジョンを「気に入った」と言ってくれた。


 今のままの神楽坂では、いつか彼に愛想を尽かされてしまうかもしれない。もっと、彼にふさわしい、活気のあるダンジョンに変えていかなきゃ。


「探索者の意識改革は……少し時間がかかるわね。まずは、うちのスタッフから変えていこう。スマホいじってる場合じゃないんだから」


 妃那の瞳には、かつての「死んだ魚の目」の面影はなかった。


 そこでふと、大切なことを思い出す。自分に希望を運んでくれた「天使」のことを、誰よりも先に報告すべき相手がいる。


 ――

 自宅に戻り、真っ先にスマホを手にした。コールは二回で繋がる。


「もしもし、お姉ちゃん?」

『妃那ちゃん、どうしたの? いつも私から電話するのに、珍しいじゃない』


 電話の向こうで、姉の那奈が驚いたような、でも嬉しそうな声を出す。


「お姉ちゃん、聞いて。今日、三上さんがうちにきたよ」

『えっ? 三上くんが!? そっかぁ、あの子、そっちまで遠征してたんだぁ』


 那奈の声が一段と明るくなる。ひよりの名が出ただけで、姉の溺愛っぷりが伝わってきた。


「なんかね、昨日ご家族と散策に来た時にうちを見つけたから、来てみたんだって」

『ふふっ、三上くんらしい。ねぇ、どうだった? 可愛いでしょ?』

「うーん……可愛いと思ったけど……すごく、かっこよかったよ」

『えっ? かっこよかった?』


 那奈が少し意外そうに聞き返す。妃那は、今日の出来事を一気に捲し立てた。


「うん。だって、さらっとうちの未踏階層を更新して、7層まで行っちゃったんだもん。神楽坂の記録、塗り替えられちゃった」

『あら……。ふふっ、もしかして三上くん、自分が記録更新したこと気づいてなかったでしょ?』

「うん、そうなの! 教えたら、なんか謝られちゃった」

『あはは! やっぱり三上くんらしいね。無自覚なんだから』


 姉の笑い声を聞きながら、妃那は改めて自分の決意を噛み締める。


「あたしもね、三上さんのおかげで頑張ろうと思えたよ。明日も来てくれるって言ってくれたから」

『ええっ!? よかったじゃない! ……あ、ちょっと妃那ちゃん、三上くんを独り占めしちゃダメだからね! あの子は私のお気に入りなんだから!』


 急に「お姉ちゃんモード」から「ライバルモード」に切り替わる那奈に、妃那はいたずらっぽく微笑んだ。


「大丈夫だよ。三上さんね、お姉ちゃんのこと『俺のお姉ちゃんみたいな人です』って言ってたよ。だからお姉ちゃんは、ちゃんとお姉ちゃんでいてくださいね」

『もう! そんなこと言われたら、あたしも今すぐそっちに行きたくなっちゃう!』

「だめだよ、明日もお仕事でしょ! じゃあ、また報告するね」


 電話を切った後、妃那は夜空を見上げた。


 明日の受付では、今日よりももっと素敵な笑顔で彼を迎えよう。


 神楽坂の夜明けは、もうすぐそこまで来ていた。



.........



【新宿じゃないよ】神楽坂ダンジョン攻略スレ【神楽坂だよ】Part.4


101:名無しの探索者

おい、今さっき受付で妃那ちゃんがすごい声出してたぞ。

なんか可愛い子が受付にいたけどなんかあったのか?


102:名無しの探索者

知ってるモデルでも来たんじゃないの?一応新宿ではあるからな。


103:名無しの探索者

さっき一層の奥でたぶんその子とすれ違った。

後ろにヤカラ集団と、岩みたいな巨躯の化け物がぞろぞろ続いてたんだが。

お嬢かなにか?


104:名無しの探索者

>>103

お前もか!

俺も見たぞ。黒スーツの集団が、緑色のバケモノと一緒に魔物を一瞬でなぎ倒してた。

なんなんだよあいつら。


105:名無しの探索者

その集団、めちゃくちゃ殺気立ってて近寄れなかったわ。

本人は「こんにちはー」って可愛い笑顔で挨拶してくれたけど、後ろの連中が「邪魔をするな」って目で睨んできて、マジで石化した。


106:名無しの探索者

1層で固まって動けなくなってる奴らが大量にいるの、そのせいかw

「天使が死神連れて歩いてる」って慌ててる初心者がいたぞ。


107:名無しの探索者

受付で泡食ってる奴が多いのそのせいか。

何もしないで帰ろうと思ってたけど気になってきたわ。


………


143:名無しの探索者

おいおいおい!!

[神楽坂ダンジョン:踏破記録更新 7層 ]

出たあああああああああ!!!


144:名無しの探索者

マジかよ!


145:名無しの探索者

今、あの天使が受付に戻ってきた。

……あれ? 一人だ。さっきのヤクザみたいな連中どこ行った?


146:名無しの探索者

妃那ちゃんと話してるとこ聞いてたんだけどさ。

「初心者っぽい人たちがぼーっとしてましたけど大丈夫ですか?」とか聞いてるぞw

いや、お前のせいだよ!!www


147:名無しの探索者

妃那ちゃん、驚きすぎて言葉失ってるな。

「7層まで行ってきました」って……。

神楽坂の歴史、一瞬で終わって新しい章が始まった感じだわ。


148:名無しの探索者

あの子、明日も来るって言って帰っていったぞ。

妃那ちゃん、最後泣いてなかったか?


149:名無しの探索者

泣いてたな。

ずっとこのダンジョンの現状に悩んでたみたいだし、

あんな圧倒的な希望見せられたら、そりゃ感極まるだろ。


150:名無しの探索者

てかあの子男の子だったのか……。

明日、俺も本気で潜るわ。

あんな凄いの見せられたら、ロビーでスマホ弄ってるのが馬鹿らしくなった。


151:名無しの探索者

だな。

明日から神楽坂、面白くなりそうだわ。


ブックマーク、リアクション、評価をしていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ