スキルの確認と初戦闘
ゆるゆると書いてます。
変なところがあれば都度直しております。
ダンジョンに併設されたショップは、活気があるというより、どこか殺伐とした熱気に包まれていた。
俺は握りしめた軍資金を確認し、今日買える装備を眺める。
「えっと……鉱石のバット、黒い革鎧、革の小手……。あとは、念のための短刀だな」
店員は俺が選んだ装備一式を見て、言葉を失ったような顔をした。
育ちの良さが隠せない俺の顔。なのに装備はトゲトゲしい黒革と、鈍く光る金属バット。
どう見ても「世紀末からやってきた新人チンピラ」だ。
「……あー、その、なんだ。お前みたいなタイプは珍しいが、頑張れよ」
店員の同情を含んだ声に、俺は曖昧な笑みを返す。 頑張るしかない。俺、これでも真面目な大学生なんだ。
ダンジョンの入口前。 免許証を取り出し、心の中で唱える。
「ステータスオープン」
脳内に浮かび上がるのは、俺の不甲斐ない現実だ。
■ 三上 ひより レベル:1 職業:Lv.1チンピラ
HP: 30 / MP: 3
筋力: 3 / 器用: 4 / 耐久: 3
敏捷: 10 / 魔力: 0 / 知力: 6 / 運: 10
・スキル
威圧 Lv.1 / かつあげ Lv.1 / 逃げ足 Lv.1
・装備
鉱石バット (筋力+5)
黒い革鎧 (耐久+2)
革の小手 (耐久+1)
(予備:短刀)
実質ステータス(補正込)
筋力: 8 / 器用: 4 / 耐久: 6
敏捷: 10 / 魔力: 0 / 知力: 6 / 運: 10
「うわっ……俺のステータス、低すぎ……?」
筋力も耐久も、イメージでしかないけど平均的な「戦士」の半分以下じゃないだろうか。
なのに敏捷と運だけが突き抜けている。
「逃げ回って、幸運を掴むしかないってことか……」
俺は世紀末ルックでバットを肩に担ぎ(店員さんに『こう持つべき』と指導された)、地下1階へ足を踏み入れる。
「あれ……やべー奴じゃん……」 「あの装備にバットってw 世紀末すぎんだろw」
周囲の冒険者の笑い声を背中で受けながら、ようやく一体のゴブリンを見つけた。 小さくて醜い、最初の敵。
「……よし。まずはスキルを試す」
まずは『威圧』。 「……お、おらぁ。……怖がってくれませんか?」
ゴブリンは「何だこいつ」という顔で首をかしげている。 ……だろうな。俺の顔、今たぶんめちゃくちゃ引きつってるし。
気を取り直して、次は『かつあげ』。
「か、金出せ! 物出せ!」
その瞬間、ゴブリンの目が血走った。
「ギギィィィッ!!」 「えっ、ちょ、そんなに怒る!?」
どうやら、元気な相手に『かつあげ』を使うのは、単に相手を挑発して激怒させるだけの効果しかないらしい。 怒り狂ったゴブリンが棍棒を振り回す。
「ごめん! そんなに怒ると思わなくて! バットで何回も叩くなんて可哀想だし、話し合……痛いっ!?」
情けをかけた瞬間、ゴブリンの攻撃が革鎧を叩く。 ボコボコにされる中、俺は確信した。 このバットは人を殴るためのものじゃない。自分を守るための盾だ。
「なんだよ……もう帰りたい……っ!!」
HPがみるみる減っていく。 俺は最後の頼みの綱、消費MP3を全て注ぎ込んで『逃げ足』を発動した。
「うおおおおお!」
体が驚くほど軽くなる。 背後から飛んでくるゴブリンの投石を、残像を残すような動きで回避し、俺は階段を猛ダッシュで駆け上がった。
……帰宅後。 ボロボロになった革鎧と、傷だらけのバットを抱え、俺は自室で息を整える。
「……逃げ足、使えてよかった。これがなかったら、俺、初日で死んでた」
今日の教訓。 『威圧』と『かつあげ』は、使いどころを間違えると自殺行為だ。 でも『逃げ足』だけは、裏切らない。
「次はもっと、コスい……いや、戦略的な戦い方を考えないと」
生き残るための、チンピラへの第一歩だった。
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