表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】  作者: 道雪ちゃん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/27

新しい装備を買いに行こう

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

翌日。ひよりは、新宿にある探索者向けの実用品店を訪れていた。


ここは一流のブランド店というわけではないが、その分「実戦」に特化した、質実剛健な装備が揃うことで有名な、知る人ぞ知る名店だ。


店内には、モンスターの牙を通さない革製品や、魔法耐性のあるアイテムが整然と並んでいる。


ひよりは店の自動ドアを潜りながら、昨夜父・慶一郎に見せられた映像を思い返していた。


(父さんの言った通りだ。……視線と、オーラ。まずは形からハクをつけないと。フウくんやライくんが、俺の隣を歩く時に『俺たちのボス、格好いいだろ』って思ってもらえるようになりたいんだ)


ひよりは、Vシネマの主役たちがやっていた「顎を少し引き、視線を鋭く保つ」動作を意識した。そして、レジの奥にいた中年の店員に、自分なりの「凄み」を込めた低い(つもり)の声で話しかけた。


「……すみません。一番、凄みが出るやつを……ください」


「えっ……?」


店員は一瞬、その少年のあまりのギャップに絶句した。


女の子と見紛うような透き通る肌、柔和な顔立ち、そして鈴を転がすような澄んだ声。


それなのに、その瞳にはVシネマ仕込みの(ひよりなりの)鋭い、けれどどこか捨てられた仔犬のような懸命な光が宿っているのだ。


「す、凄み……ですか。……ああ、なるほど。お若いですし、舐められたくないというわけですね。それでしたら、こちらはいかがでしょう」


店員はプロの顔に戻り、一着のスーツを取り出した。


「最新の『防刃クロムスーツ』です。軍事用の特殊繊維で編まれており、リザードマンの爪も防ぎます。さらに、この『漆黒のネクタイ』と、物理攻撃力が微増する『魔銀のタイピン』。これらを合わせれば、見た目は一流の、そう……『組織のエージェント』のようになりますよ(あぁ、なんて可愛いんだ。無理して背伸びしたい年頃なんだろうなぁ……応援したくなっちゃうな)」


「……いいですね。それ、全部ください」


店員が心の中で温かい視線を送っていることなど露知らず、ひよりは真剣な面持ちでそれらを受け取ると、試着室へと向かった。


カーテンを開け、鏡の前に立つ。


体に吸い付くようなフィット感の黒の防刃スーツ。糊の効いた清潔な白シャツ。そして、その胸元には鋭く控えめに輝くタイピン。


これまでの「動きやすさ重視」の、どこか幼さの残るチンピラウェアとは一変した。


そこには、静かな威圧感と、どこか一線を超えてしまった者のような「危うさ」が同居した少年がいた。顔立ちは相変わらず可愛いままだが、そのギャップが余計に、見る者に底知れない恐怖と魅力を抱かせる。


(よし……。これならフウくんやライくんも、恥ずかしくないはずだ。俺、少しは『上』の男に見えるかな)


ひよりが会計を済ませ、新調した「戦闘服」に身を包んで店を出ようとした、その時だった。


入り口近くのコーナーでマジックアイテムを品定めしていた一人の女性と、ばっちり目が合った。


「……っ!? ……ふぁっ!?」


「世田谷の剣姫」こと、赤城 凛だった。


彼女は驚きのあまり、手に持っていたアイテムを落としそうになった。


掲示板で一目惚れして以来、こっそり見守り(尾行)続けていた「儚い天使」のような少年。


その彼が今、目の前で「裏社会の構成員」のような冷徹なオーラを纏って立っているのだ。


(ひ、ひよりさん……!? その格好……! 可愛いのに、なんだか凄く『悪い男』の色気が出てて……かっこいい……!)


ひよりは凛の視線に気づくと、Vシネマ流に「唇の端を少しだけ上げる、余裕の笑み」を浮かべようとした。


……が、やはり少し照れてしまい、ぎこちない微笑みになってしまった。ひよりは軽く会釈をすると、颯爽と店を後にした。


新宿から戻り、いつもの世田谷ダンジョンの入口に立ったひよりは、潜る前にふと自分の指先に意識を向けた。


体の奥から湧き上がる魔素が、昨日までとは明らかに違うことに気づいたからだ。


「……ステータス表示」


目の前に半透明のウィンドウが浮かび上がる。



■ 三上 ひより レベル:20 職業:構成員

HP: 180 / MP: 65

筋力: 48 / 器用: 58 / 耐久: 48

敏捷: 96 / 魔力: 0 / 知力: 60 / 運: 50

・スキル

威圧 Lv.6 / かつあげ Lv.5 / 逃げ足 Lv.5 / メンチを切る Lv.2 / 言いがかり / 因縁をつける / 指切り / 察知 Lv.2 / 盃を交わす / ケツ持ち Lv.1 / 招集

・装備

名刀・鬼灯 (筋力+12 / 器用+5)

防刃クロムスーツ(耐久+6)

防刃シャツ(耐久+6)

漆黒のネクタイ(器用+5 / 耐久+1)

魔銀のタイピン(筋力+3)

・実質ステータス(補正込)

筋力: 63 / 器用: 68 / 耐久: 61

敏捷: 96 / 魔力: 0 / 知力: 60 / 運: 50



二層、三層での激しい戦い。そして、フウとライが供給し続けてくれた膨大な経験値。


それらが臨界点を超え、ついにひよりを「次の段階」へと押し上げていた。


『チンピラ』から『構成員』へ。それは単なる呼称の変化ではなく、明確な力の進化だった。


特に追加されたスキル【招集】の説明文を読み、ひよりは息を呑んだ。


スキル:招集

消費MP:40 / クールタイム:7日に1回

効果:使用者の下位職(現在は『チンピラ』)を召喚する。さらに下位ランクの場合、消費MPは半減(Lv.1チンピラならMP20)。

派生効果【昇格】:一度召喚した者をランクアップ(進化)させることができる。消費MPは40。


「これがあれば……もっとたくさんの仲間を、守れるようになるんだ」


自分の体に満ちる力が、より重く、より冷徹に統率されているのを感じる。


ひよりは、新調した黒い袖をギュッと掴んだ。


「構成員……。俺、ちゃんとみんなを守れる、立派な大人に近づけてるのかな。……行こう。もっと、強くならないと」


黒いスーツの裾を翻して、ひよりは再びダンジョンの深淵へと足を踏み入れた。


ブックマーク、リアクション、評価をしていただけると幸いです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ