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【悲報】現代ダンジョン時代、俺の職業がLv.1チンピラ【詰み】  作者: 道雪ちゃん


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クリスマスパーティ

ゆるゆると書いてます。

変なところがあれば都度ストーリーに関わらない程度に直しております。

12月25日、神楽坂、ひより組拠点。


夕闇が迫り、リビングのクリスマス飾りが温かな光を放ち始めた頃。


約束の時間の三十分前、不意に来客を告げるチャイムが鳴り響いた。


「お邪魔します!」


キッチンで寧々と共に仕込みに追われていた鉄に代わり、透と涼が玄関へと向かう。


扉が開くと同時に、冬の寒さを吹き飛ばすような浅野の威勢のいい声が響いた。


リビングに雪崩れ込んできたのは、パーティ『サンフラワー』の面々だった。


「三上、今日はありがとうな! 楽しもうぜ!」


「うん! 浅野もお疲れ様。こちらこそ、今日は来てくれて嬉しいよ!」


ひよりと浅野が拳を合わせる横で、穂乃、栞、瑠奈の女子三人は、美しく飾り付けられた室内に歓声を上げた。


「これ撮ってもいいですか!?」「センス良すぎ!」と透に許可を取り、スマホでパシャパシャと写真を撮り始めている。


そこへ、エプロン姿の鉄と、その陰に隠れるようにして寧々がキッチンから顔を出した。


「おう、優吾! あれから調子はどうだ?」


「三上と同じでなかなか探索には行けないけどな。例の『二刀流タンク』の構想、涼さんとテッちゃんのアドバイスのおかげで形になってきたんだ」


浅野が自信を覗かせると、涼が小さく頷き、頼もしげに彼を見た。


「おう、優吾。頑張れよ。そのスタイル、完成すれば唯一無二の武器になる」


ハイ! と元気よく返事をした浅野だったが、ふと鉄の隣に立つ見慣れない美少女に気づき、目を丸くした。


「あれ……? どなた……?」


「ああ、紹介するね。新しく家族になった寧々だよ。寧々、俺の友達の浅野と、穂乃ちゃん、栞ちゃん、岡田さんだよ」


「枢木……ねね、です。ひよたんたちの……家族に、なりました。お願いします……」


消え入りそうな声で挨拶し、寧々は再び鉄の背後へと身を隠す。


「よ、よろしく!」と浅野が圧倒されていると、ひよりファンの栞が弾かれたように駆け寄ってきた。


「ちょっと三上先輩! またこんな可愛い子見つけてきて! もう、栞のこと忘れてないですか!?」


そう言って、栞がひよりの腕にギュッとしがみついた――その瞬間。


リビングの空気が、氷点下まで凍りついた。寧々の瞳から光が消え、彼女の周囲から「ドロリ」と重い、どす黒い圧が溢れ出す。


「寧々、ステイ」


透の鋭く、冷徹な制止。


その一言で、張り詰めていた糸が切れたように空気が軽くなった。


ひよりに呼ばれ、寧々は下を向きながらトボトボと、叱られた子犬のように彼の元へ歩み寄る。


「……約束の、ギリギリだったよ。気をつけて」


「ひよたん……ごめんね……」


「えっ……今の何……?」と困惑するサンフラワーのメンバーに対し、ひよりは苦笑いを浮かべて提案した。


「よし、ここは理解し合うためにも、女子はあっちのソファで話してきて! 寧々、いいよね?」


「ひよたんが言うなら……する……」


透が先導し、嵐のような予感を孕んだまま女子たちはソファ席へと移動していった。


「なあ三上、今のは一体……」


「ごめん、言うのを忘れてた。寧々は元々『百傑』なんだよ。上野の……」


「はあ!? なんでそんな凄い人が……って、あのCurrentでバズってた『人形姫』かよ!?」


ひよりがこれまでの経緯を話すと、浅野は戦慄しながらも、ひよりの肩を叩いた。


「なるほどな……。お前もお前で、とんでもない苦労をしてるんだな……」


「でも、新しい家族ができたことは、本当に嬉しいことだよ」




鉄がテーブルに色とりどりの料理を並べ終えると、ようやく女子たちも合流した。


寧々はまだオドオドしていたが、透が姉としてフォローし、会話が繋がり始める。


全員のグラスに飲み物が行き渡ったところで、ひよりが中央に立ち、グラスを高く掲げた。


「みなさん、今日は集まってくれて本当にありがとう! ……そして寧々、これから家族としてよろしくね。今日はいっぱい楽しみましょう! 乾杯!」


「「「「乾杯!!」」」」


聖夜の祝祭が、幕を開けた。



………



リビングで一杯目のビールをグイッと景気よく飲み干すと、涼は静かに立ち上がった。


「……さて、俺は持ち場に戻ります。火は起きてますから、どんどん焼いてきますよ」


「お、俺も……俺もお願いします!」


重厚な涼の背中に憧れを隠せない浅野も、慌てて酒とグラスを握りしめて駆け寄った。


「いいなぁ。俺も混ざりたいっす……」


二人の後ろ姿を羨ましそうに眺める鉄だったが、その肩に透の冷ややかな一言が突き刺さる。


「テッちゃんが飲んで外に行っちゃったら、寧々が大変だろ? 我慢しなさい」


「はぁい……。わかってるっすよぉ……」


肩を落とす鉄を見て、ひよりが思いついたように彼を呼び止めた。


「鉄、ひより組の構成員たちの中に、料理ができそうな人って……いないかな?」


「えっ、いますよ! ……そうか! 代わってもらえばいいんだ!」


鉄に確認して、すぐさま該当の2名の構成員を呼び出した。


「ごめんね、いきなり呼び出してこんなことお願いしちゃって……」


申し訳なさそうに頼むひよりに対し、現れた二人は顔を見合わせ、深く頭を下げた。


「滅相もございません! 命令をいただけることこそが、俺たちの幸せです。なぁ、兄弟!」


「当然だ! こんなことなら、いつでも呼び出してください。アニキたちにそんな仕事はさせられませんよ。キッチンは俺たちが担当します!」


そう言って、いかつい身体に似つかわしくないほどキビキビとした動きでエプロンを締め、キッチンへ向かう構成員たち。


自由の身になった鉄とひよりは、誘われるように庭へと出た。


そこには、夜の静寂に、ジュッと脂とタレの焼ける音と、香ばしい肉の匂い。


酒を片手にトングを操る涼の隣には浅野が、そしてその傍らには、涼の所作をうっとりと見つめる瑠奈の姿もあった。


「何の話をしてたの?」


ひよりが輪に加わると、浅野が赤く燃える炭を見つめたまま口を開いた。


「攻略のことだよ。メンバーの士気の上げ方とかさ」


浅野が熱く語る中、彼はふと思い出したようにひよりに頼み込んだ。


「三上、ごめん……。一つ、身勝手なお願いがあるんだ。……是非、テッちゃんの師匠たちとも話をしてみたい」


鉄の「通訳するっす!」という頼もしい後押しもあり、ひよりは指輪からフウとライを呼び出した。


二人の影が実体化すると、フウは賢者のように頷き、ライは浅野が「鉄が面倒を見ている者」だと察して、タンク同士の親愛を込めた柔らかな笑顔を向けた。


「よし、俺は一度中を見てくるよ」


ひよりがリビングに戻ると、寧々が女子たちの輪の端で緊張した面持ちで座っていた。


「寧々、どう? 話はできてる?」


「う、うん……。少しずつだけどね……」


「よかった。これからゆっくりでもいいからみんなと仲良くなってほしいな!あ、あと......」


ひよりは寧々に庭にフウとライがいることを伝えた瞬間、寧々の瞳がパッと輝いた。


「っ! 鬼……あの鬼たちがいるの!? ……ねね、外行きたい!」


気になっていた2体の存在を知り、寧々は居ても立ってもいられない様子で、エプロンの裾をなびかせて庭へと駆け出していった。



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