旧友
「うんうん、元気そうでなによりだわ〜。それで、その子供は何?もしかして…」
「おめでとう、テレン。やっと…」
「勝手に決めつけんな。そもそも、この前会ったのが、5、6?年前だろ?そんな簡単な思考すらできないのか?」
相手が辞めない限り、空想は無限に広がる。
放っておくと、訳がわからない世界が出来上がってしまうのが恐ろしい。
「ふふっ、冗談よ。貴方にはまだ早いってことはわかってるもの。それで、何がどうなって今に至ってるの?」
「あー、えっとな。拾った」
「そうでしょうね。それで?」
「弟子にした」
「…えっと、どういうこと?」
「気でも狂ったか?」
「お前らには私が、気が狂って盲目的に暴れ回ってる狂人にでも見えるのか?」
「見える」
「………」
なんともまあ。人を怪物にまで仕立て上げるとは。偏見ってのは恐ろしいもんだ。
「…まあ、な。正直、私だってこんなことするとは思ってなかった」
一つ、視線が突き刺さる。私の頬から頭頂部を貫いて。
「けど、こいつの目を見て思ったんだ。こいつは私に似ている。一度、何かを失った私にな」
息を吐き出して、
「なんとなくだが、昔の気持ちを思い出した。そしたら放って置けなくなった。この思いを、心のうちに秘めて生きることは苦しかったから。だから、弟子にした。少しでも、楽になればいいと思って。ま、こんなこと言っても、余計狂ってるようにしか見えないかもな」
頭を掻き、自嘲した。
「…狂ってるわね。でもまあ、いいんじゃないかしら?貴方の目的は、誰にも邪魔されず、平和に暮らすこと。けど、貴方の性格がそうさせたんでしょうね。昔から、困ってる人には優しいもの。魔女が人間を弟子に取るなんて、初耳だけど」
「そうだな。新しさに触れることで、刺激も得られるだろう。悪くない判断だと思う」
思ったよりも肯定的なようだ。てっきり、もっとボロクソ言われるもんかと。
「それじゃあ、目的はその子を鍛えるってことで合ってる?」
「ああ。私の戦い方は、はっきり言って参考にならん。というわけでだ。ディス、頼んだ」
「その前に、お前。名前は?そしてなぜ、片目を隠す?」
「あ、えっと。名前はヘド、です。僕はその、片目が、ないんです」
視線がたくさん突き刺さった。穴が空きすぎて現代アートにでもなりそうだ。趣深いものになりそう。
「…おい、テレン。大事なことは先に言え」
「そうよそうよ。何?つまりこの子も魔女だって言うの?」
おっと、鑑賞者が文句をほざいてる。
「ああいや、違うらしい。なんやかんやあって、今こうなってるんだとか。詳しくは聞いてない。言いたくなさそうだしな」
「…ふむ、そうか。わかった。基礎的なことは俺がしてやろう。その先は、まあ自分でなんとかしてもらうしかないな」
「話が早くて助かる。頼んだ」
「…そうなのね。まあ、とりあえず帰ってから詳しく話しましょうか。子供達が待ってるわ」
ため息を吐き出して、アニはそう言った。
それほどまでに、私の芸術作品が美しかったのかな?
うん




