暗闇 影
日が少しずつのぼり、空気を暖めている。
けど、私たちはそんなこととは無縁の場所にいた。地下室だ。
外界からの光を一切受け付けず、今手に持っている蝋燭だけが、光を出すことを許されていた。
「…何処に向かってるんですか?」
私の服に皺をつけながら、そう問いかける。
幼さが滲み出ている。正直可愛い。
「知り合いのところさ」
「そうとは思えないんですが…」
「ま、つけばわかる。それより、引っ張らないでくれるかな?私の数少ない服なんだ」
「あっ、すみません…」
離された勢いで、前のめりになった。
ヘドは、手に残る感覚を寂しく思ってか、自分の手を握っていた。
「ほら、行くぞ」
行く先のなくなった手を握って、歩き出した。
その手は少し温かかった。
ーーー
「ここだ」
蝋燭ではない、紫がかった円盤。幾何学的文様がほのかに点滅している。
「これは?」
「これと対応する場所に行き来できる転移装置。さ、乗ってみろ。くれぐれも、途中で降りたりしたらダメだぞ。身体の一部がなくなるかもな」
そういうと、ヘドは上に乗ったまま少しも動かなかった。正直なやつだ。
「さ、行くぞ。って言っても、特に何もないけど」
ヘドがもう片方の目を閉じた。
身体を白い粒子が蝕んでいく。自分の身体がなくなっていくのは、なんとも言えない感じだ。視界が白一面で埋め尽くされる。
気づいた時には、そこはさっきまでいた地下室ではなかった。洞窟だ。
少し光が差し込んでいる。久しぶりの日光だ。
「わぁ…すごいです!一瞬で何処かに来れました!!」
反応が新鮮だ。しっかりしているように見えても、心は裏切れないみたい。
「さすがテレンさん!」
「ははっ…これに関しては私は何もしてないけどな」
光の方へと歩き出す。
「それでもすごいです!!さすが!」
そう言いながら、後ろについてくる。
おいおい…照れるじゃないか。やっぱり私ってすごかった?自称2流魔女に改名するか?
そう考えながら、洞窟を出た。
そこにいたのは、熊。
人の大きさを遥かに超える、大きな熊。足元には、原型のわからない肉塊が散乱し、白い雪を紅く染めていた。
太刀打ちできそうもない。
…やっぱりさっきの改名は嘘。三流で。
はいまた来週




