17話 サイト.7
向こう側の連中は、揃いも揃って自分の都合で帰るもんだからこっちの疑問は殆ど消化されていない。
言いたいことを言って、聞きたいことを聞いて、『時間』になれば帰る。
――時間?
なんにせよ。
備後の置いていった紙切れ、よく分からないが、薄茶のごく薄い折りたたまれた何かだった。いい意味で嫌な予感がするので後でにしよう。とんでもないものの気がする。
◇―◇―◇―◇
氷雨は割とすぐ起きて、特に別状はなさそうだ。
「んー。なんで私寝てたわけ?」
…そういえば乗っ取られたのは戦闘中だったか。備後の説明は省き、軽い説明をする。一々頭を乗っけてきたぐらいで文句を垂れるのも面倒になったので、そっちはもう忘れることにした。
「まあ、後で話す。それと、お前のスマホに話し合いのデータ多分あるから聞いとけ」
「りょー」
思い返せばここまで見越してたなあの狂人。自分の知ってる情報に興味がないから寝るが、身体を返した後で正確な情報を持ち主に把握させるために録音はしておくとか…。何を考えてそこまでしたのかが全く分からん。
――なぜアイツは不飛鳥とあんな言い争いを?
疑問ばかりだが今のところ消化できそうにない。
そりゃあ本当は大したことはないのかもしれない。本当にそのままの意味で、表面上のことが真実なのかもしれない。
でもやけに怪しい。間明が何か隠しているのはおそらく。備後は隠す以前に話す気が頭からなかったな。
知らないことだらけ。
◇―◇―◇―◇
カルアは相変わらずぐでーん。
「おー待ちくたびれたぞー。老婆になるだろうが」
…ならねえだろうが。つっこみチョップ。
「あでっ。それと、なぜさっき民間人ごときと談笑してたんだ? 知り合いには見えないが…」
「まずお前になんで知り合いを把握されてるのか気になるんだがな」
「居候生活開始直後の2週間は暇だったからつけてた」
衝撃の事実!!
カルアの頬を引っ張りながらも会話は続く。
「アイツに関してはいいから。とにかく準備できたぞ」
「あいあいあかっらからありゃくあやえー」
とりあえず解放。
コイツ知らない間に他にもやってそうだ。何度か冷蔵庫の中身が消えていたのはカルアか。ゆるすまじ。
「とりあえずトぶから近くにいろ」
「「トぶ?」」
カルアが指を鳴らすとそこは…
「うおー。なんかファンタジーって感じだな」
「夢かあ……ありゃ普通にイタイ」
絵に描いたような異世界的建築の数々。立地としてはかなり広そうだ。一部物理法則を無視してそうな空中庭園もぽつぽつと。
遠くに見えるあれ、城?
どうやらここは広場的な場所のようだ。噴水が真ん中にあって、円形の。ベンチもあるし、掲示板(木製)も立っている。
島の端ではないのであまり下を見ることはできないが、近くの上空を雲が流れるのを見るとやはりここは空のようだ。
そして一番驚いたのは…
「おいおい! あれってあれだよな! エルーンとかいうやつ!」
「ああ。すごいだろう! 異能はアイデンティティー。一般社会じゃ生きていけない人が『DCRU』には多いからな! ……ただ。お前人のこと指差して騒ぎ立てるもんじゃないぞ」
そらそうだ。突然指差されて喚き立てられれば不愉快だろう。まして知らないヤツに。珍しいものでも見るような目で。
気を付けないとトラブルって不味いことになる。勘が言っている。
◇―◇―◇―◇
気づいておけば良かった。イマドキ自分の城建てるヤツがどんなヤツかぐらい。まともじゃないことぐらい。
なんだか知らないが一応報告がいるらしい。立場上匿われるということになっているのだから当たり前か。
あの城に行かなければいけないと言われたときは少し驚いたが。
だって遠いんだもん。
実際はあっという間だった。
さっきも同じで距離を無にしたらしい。なんでもアリすぎる。




