13話 彩気
何やら不穏な空気を漂わせたまま「カフェでもう十分くつろいだから」とか言う理由でなぜだか今駅前の大きなショッピングセンター的施設のフードコートでテーブルを囲んでいる。『にらみつける』『ふぶき』『かみなり』という既視感全開のスリーコンボが今達成されてしまったのだ。ちなみに睨みつけているのはカルアだ。なぜだかさっきから不飛鳥に敵意をぶつけている。
「さてさて何から話そうか?」
「「知らんがな」」
何も知らない側からしたら何から話そうも何もない。話して貰いたいことすら分からないのだから。
「よくわからんけども、なんか基本的なとこから話してくれー」
「基本的というと、君たちはどこまで知っているのかなと疑問が浮かぶわけだが…その様子じゃ大雑把な説明しか受けてないようだね。せいぜい知っているのは異能と特異能という言葉ぐらいだろう?」
「んー」
「テキトーだね…」
「…てか周りに人いっぱいいるけどOKなわけ?」
「それに関しては先輩がうまくやってるから。じゃあじゃあ説明しよう」
カルアは不飛鳥を睨みつつ、不飛鳥はカルアを警戒しつつ、氷雨は頬杖をつきつつ、楽しそうにどこからかホワイトボードを取り出した間明と共に会合は始まった。
「まず、異能についてだが、正しく言うと『彩気』なわけだ。才気と彩色を掛けたわけなんだけど、なぜ彩色なのか。考えてみよう!」
唐突にふられた。いや知らんがな。キュキュっとマジックペンの軽快な音がちょっとムカついた。
「そう言えば。一人につき異能は一つじゃないとか」
「まさに。様々な種類、様々な組み合わせはまるでパレットだろう? そこから彩色と出たわけだ。次に、そもそも彩気と呼ばれるのは『錬技』と呼ばれるステータスの一塊を、まあ場合にもよるんだが一人分まとめてであって、錬技もまたそれを構成するものがあるわけだ。いわゆる種族値や特性だね。種族値や特性が、相互干渉して一つの錬技になり、錬技が組み合わさって彩気、いわゆる異能になるんだ。まあこの辺のことは『学園』で習う学問的な内容だし、覚えなくても今は問題ないよ? 彩気=異能だけ覚えておけばね」
「……なるほど?」
急に情報を詰め込まれると情報処理が追いつかない。生返事の意図を汲んでくれたようでまだ説明してくれそうだ。
「具体的に分かりやすく言えば、電子制御、磁場干渉という特性があり、錬技である操電、飛刃、招風などと絡み合って『風刃雷刃』になる。ちなみに特性に関しては微々たるもので、特性一つでは基本同系統の彩気には劣るから、もっと細かい組み合わせで成る電子制御といった彩気には操作性で負ける。知っておくと使えるかもよ?」
「あの、そこまで自分のこと喋っていいんですか? 上官…」
「んまあ、ちょびっとしかバラしてないし大丈夫でしょー多分。このぐらいなら先輩が知ってるだろうし」
何やら手の内を晒しすぎるのは御法度と言うのはどこでも同じらしい。当たり前か。とりあえず説明を続けて欲しい。氷雨が余計につまんなそうな顔してるし。
「特異能っていうのはそこまで詳しく説明する必要はないかな? 知っていても君達に得するかというとそうは思えないし。ご存じの通り、一般的にはあり得ないような彩気のことかな。基礎的な説明はここまでだと思う」
「…レベルについて話していないだろうが」
なぜか不機嫌気味のカルアからの指摘に間明は横目でカルアを見てから、少し間を置いて喋りだした。
「…あーそうそう。忘れてたけどレベルについても話してなかったか。まあそのままだよ。彩気もしくは錬技の熟練度合いを指すことが多いかな。勘づいていたかもしれないがこの世界はどこかゲームに似ている。レベルが上がると彩気が『進化』することもある。事前に判明している進化などは我が結社にてリストアップされているけど、特殊な条件の上で進化するものあるようでその辺りは不明かな。それと一つ。連鎖的に思い出してくもんだねー。レベルは基本1からだが、『0』もいる。君みたいに。『鑑定』することでやっと使えるようになる物だが、我々は『神秘』と呼んでるよ」
やばい、長話すぎてきつい…。
氷雨は賢いのかバカなのかよく分からない戦法に出ていた。寝ている。スマホのカメラアプリで録音しながら。
「ふうん。…えっ、あっ? 俺?」
「そうだね。なんで知ってるかは企業秘密だ。まだ話題があるんだけどまあ頑張ってね? 先輩達についてだね」
「それは私が話そうか。どちらにしろ話すつもりだったんだ。コイツの鑑定に行くとなれば私達については話さなければならなかったからな。まあ間明が説明したことよりは簡単で、内容も分厚くはない」




