10話 ペンギン
―道中にて―
「気にはなっていたんですが。あの子達ってなんで先輩といるんです?」
「あっちが家主でそっちは偶々だ」
歩きながらなぜか雑に扱われつつ、とりあえず着いていくこととなった。道を知っている間明が前で間明と知り合いのカルアがその後ろを着いていき、最後尾は例の2人組だ。
「あのね。まだ私信頼できないんだけど。なーんかあの人信用に置けないんだけど。ねえわかる?どぅゆーあんだーすたん?」
…わからん。わざわざ雑な英語で攻めるな。そもそもほぼ活躍してないのになぜ急に仲良くなってんだ…? ほんとに何もしてないし恩人補正はないことになるんだが…。
「まあアイツの知り合いなら大丈夫だろ。あれ? じゃあ間明は何歳になるんだ…?」
「15以下には見えないでしょ?ほらやっぱり怪しい。」
こいつなんでそんな誇らしげなんだなんかイラつくなあ…。
「どっちにしろ。今は信じるしかないだろ?」
「そうだけどさ…」
まだまだ不服そうなサメさんとまあのんびり歩いていると気が付けば、前にヘンテコなヤツが立ち塞がっていた。隣のサメと同類の。やけにファーがいっぱい着いたペンギンジャケットが。
ペンギンと判断するに至ったフード部分は元からではないのか、ジャケットと材質が違って後から縫い付けたもののようだが…こういうのってそんなに世間に多いの? 流行ってんの?
カルアと同じぐらいちっこいソイツは両手を前に突き出して言い放った。
「こ、コスチュームを発見せり! 上官私やりましたよ! 捕縛対象阿比留氷雨! て、抵抗するんじゃなーいっ! ですっ!」
「「……」」
気づけば、カルアと間明は気づかず目的地へ向かったようでもういない。ややこしいことになってきた。ていうか『捕縛対象』ってまさか…
「お前…」
「君…」
「な、なんですか? て、抵抗しても無駄ですよ、よっ、よよよよよよよー! なんですか! じりじり近づいてこないで下さい怖いですっ!」
「「間明の部下か」」
「ぎょっ?! な、なぜ上官のことをー?! ま、まさか上官はもう…? それだとさすがに私にも敵いませんが…」
「ほら言ったー! やっぱ信頼置けないじゃん!」
「一旦黙れ魚介類話が進まない」
「びっ?!(泣)」
なぜか自慢気なサメが余計な発言をしかねなかったので黙らせた上で、都合の良い方向に想像が加速しているようなので遠慮なく利用させてもらい、丸め込むことに大成功。
―キッチンカーの前にて―
「…とまあ、詳しくはお話しできませんが連絡手段を失い、上官ともはぐれてしまい、間違った人に吹雪を当ててしまいそうになったりと、色々あったわけです。お分かりいただきですか?」
なぜかケバブサンドを食べながら説明してくれたところによるとそういうことらしい。言われてみれば、逃走中途中で一人減っていたような。というか。
「お前最初制服じゃなかったか? なんか特保の」
「下に着てますよ? あくまで上着ですから。…イタイ子扱いされるので皆の前では着てないだけです」
「…すぐ打ち解けてなかよく話しちゃってさ。まあいいけど。ふん!(ぷいっ)」
まだ拗ねている氷雨に後でなんか奢ってやるからと言うと「ま、まあ? 仕方ないなーうん仕方ない。そこまで言われちゃったら…えへへ」と現金な反応が帰ってきたのでそっちは置いといて。
「そういえばさ。間明がよく行ってるカフェとかって分かる?」
「こ、この辺ですしええ分かりますが。何故です?」
「案内して欲しいんだけど。そこに間明とカルア待たせてるし」
「え゛っ?! じょ、上官はご存命ですか?! なんですか私を騙し取ろうって魂胆ですか? そうは行きません!」
「いいからいいから~。別に騙し取っても弱そうだし取りゃしないさ~」
「え…。あ、いや、これで私上官の隊では序列2位ですよ! 2位なんですからねっ! まあとりあえず案内はしますがそこからは場合によっては敵同士ですっ!」
なんとか案内役をこぎ着けることに成功した。
氷雨は思うところがあるようだったが。
「あ、あのさ。君って意外と毒吐くよねえ…」




