プロローグ 非日常へ飛び込め
日常と言うが、細かい定義はあるのだろうか。
普通と言うが、細かい定義はあるのだろうか。
常識と言うが、細かい定義はあるのだろうか。
答えを求めるならきっぱり捨ててみるべきだ。
―非日常へ飛び込め―
「退屈だ...。」
全くもってアオイハルというものを謳歌していないオールバック(ヘアバンド装備)コーコーセー来留彰は机に項垂れかかり嘆いた。彼は「自分で言ってはなんだが、わりとイケてる顔」と自称しているような目鼻立ちに、半袖のワイシャツにスラックス、ムキムキとまではいかないが少しは鍛えているのであろう筋肉質のいわゆる普通の少年だった。
「刺激が欲しい...。」
と、不意に目立つ赤髪がひょっこり現れた。
「くーるるー!」
「......なんだお前か...」
…想像と現実はいつだって違うものである。期待したってそこには絶望が待っているのだ。
「なんじゃとおお?! くるるいくらなんでもそれはないだろっ?!」
ちょびっと涙目になる赤髪こと帆住涼であったが彼が彰のことを「くるる」と呼ぶ理由は単純だ。来留を「来る」と「留守」の「留」で読んだだけである。
「あーあ...刺激が足りねえ...。」
「おい! 無視すんなよくるる! おい?!」
そんなこんなでこれが彼の日常だった。
―変容ハ突然―
―放課後―
(退屈だなー...なんか起こんないかな...)
そして気づく。
「やべっ! フラグか?!」
…。
―直後なんか降ってきた。
「は?! まさか神のお告げ的なやつか!」
なぜかテンション上がっちゃってるお上り高校生はさておき、
「…しょーねん。」
ぺたっとつぶれてる銀の糸が全身に絡まって所々白い色彩が見える変なのからお呼びがあった。なんだろう。全く何か分からないが少女だろう。そしてすごく関わっちゃいけない気がする。
しかしコイツ来留彰はそこらの凡人とは一味違った。降ってきたちっこいのにこう切り返す。
「…人?」
「そこからかい?」
…そこからです。
「まあいい。養え。」
唐突すぎて空白の時間が生まれてしまった。
「…は?」
―刺激が強すぎじゃなかろうか。




