第7話夢見るあの頃⑤
「馬鹿野郎!」
ガンっ!
頭に拳骨が落ちる。
「今回は倒れているお前がすぐに見つかったから助かったけどな!見つからずに死んでもおかしくなかったんだぞ!」
「そうよ、オルニアくんが大人たちと一緒にきて、スキルを使ってくれたから見つけられたのよ!」
「あれほど森に入るなと言ったのにお前は!」
はぁ...
と父はため息をこぼし
「無事でよかった。」
強く抱きしめられた。
俺は自然と涙が出て、ごめんなさいとしかいえなかった。
特に怪我が無く倒れていた原因は極度の不安と緊張だったんだろうと結論になった。
「お前のせいで俺まで怒られたんだからなぁ!」
「そうだぞ!見つけてやったのによぉ!」
ユーラとオルニアに文句を言われた。
「ごめん...」
「もういいけどさぁ、それよりお前忘れてないよな?」
「え?」
「罰ゲームの件だよ!ハーフの子を遊びに誘いに行くってやつ。」
「そうだぞ、あれは明らかにお前の負けだかんな。」
「わ、わかったよ。」
「遊ぶ人数が増えたら楽しいしな。今度からチーム戦でゲームができるかもだし。」
「わかったよ。でも、村の外に出ることしばらく禁止された。」
「うわーー、まじかぁ。」
「でもまぁ、されるか。」
二人がそりゃそうかと納得した。
「それとなんだけど」
「まだなんかあんの?」
「俺、多分スキルでたわ」
「「...それ先にいえよーー!」」
ベッドで目が覚めてからなんとなく感じていた。
外に出て、頭が冴えてきて、ようやく確信した。スキルが出た。
「ねぇ!どんなスキルなの!?」
「なんか、よくわかんないけど、とにかく全ての能力が上がってるっぽい。」
そう、俺のスキルは【全ての能力が上がる】スキルらしい。どのくらい上がっているとかはあまりわからないし、名付きのスキルでもなさそう。
「えー!全部?それめちゃくちゃすごいじゃん!」
「走って比べてみようよ!」
【疾走】持ちのユーラと比べてみる。
スキルをゲットした今なら勝てるかもしれない。
「おう、いいぜ」
わくわくする
結果、普通に負けた。
「うん、でも前より絶対に早くなってるよ。」
「よかったじゃんか!他にもいろいろ上がってるんだろ!?」
「うん、どれくらいかはわからないけど。でも、今比べてみた感じ【疾走】ほど上がってはなさそう」
「でも、お前、鍛えれば冒険者目指せそうじゃん。」
そう、もし鍛えて伸びるのであれば冒険者になれるスキルだと自分でも思っていた。
「ていうか、森で何があったんだよ。このタイミングでスキルが出たんだから、何があったんだろ?」
「魔物から必死に逃げたとか?」
「いやぁー?そんなことはしなかったと思うんだよね。記憶ないけど。」
「そっかー。思い出したら教えてくれよ。」
森で何があったのかはあれからずっと思い出せていない。
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